新人歯科衛生士さんのためのお悩み相談室
現役の歯科衛生士さんから頂いたお悩みや疑問に歯科衛生士の萬田久美子先生が回答するお悩み解決動画です。 今回の主なお話のテーマはこちら
今更聞けない歯科知識のコーナー
- ・根分岐部へのスケーラーの当て方について教えてください。
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根分岐部の解剖学的特徴の理解
根分岐部のスケーリングを行う前には、その形態を理解することが必要です。新人の歯科衛生士は、学校教育で解剖を学んでいても、実際の臨床では根分岐部の位置や歯根の断面形態を意識して処置を行うことが難しく、三次元的にイメージすることができずに、うまくアプローチできない場面に直面します。最初のステップとして、根分岐部の位置を正確に把握するためには、CBCT画像を用いて三次元的なイメージを頭の中で構築したうえで、まずはファーケーションプローブを用いた測定から始めると良いでしょう。CBCTを撮影していないケースであればデンタルエックス線をトレースして歯根形態を確認し、三次元的な形態をイメージすることも有効です。このようにすることで、水平的および垂直的な根分岐部の位置を正確に把握することができます。また、歯根の離開度を確認することも重要です。たとえば、上顎大臼歯の6番と7番を比較すると、6番のほうが近遠心的にも頬舌的にも歯根の離開度が広いことが多く見られます。これも、デンタルX線やCBCTの読影によってあらかじめ予測することが可能です。さらに、歯根の断面形状には凹凸があるため、その形状を理解しながら(可能であればCBCT画像で正確に把握しながら)、器具をどのように当てるかを考える必要があります。何も考えずに施術を行うのではなく、あらかじめ根分岐部の状態をイメージし、戦略を立ててSRPを行うことが非常に重要です。
根分岐部SRPの手技
根分岐部の解剖学的形態が理解できたら、いよいよ実践に移ります。 まず、超音波スケーラーかハンドスケーラーのどちらを使用するか、選択に迷うことがあるかもしれません。ハンドスケーラーのフェイス幅と超音波チップの太さを比較した研究では、超音波チップのほうが狭い根分岐部に挿入しやすいとされていますが、近年ではフェイス幅が狭いスケーラーが市販されていますし、マイスケーラーを所有してさまざまなフェイス幅の器具をシャープニングして使用している方も増えています。そのため、ハンドスケーラー・超音波スケーラーのいずれも選択可能となってきました。しかしながら、根分岐部にハンドスケーラーを操作する際には注意が必要です。従来の垂直的なモーションでは、根分岐部の陥凹した形態にトゥを沿わせることが難しいため、その場合はスケーラー挿入後にわずかな回転運動を加える「ツイストモーション」を用いることで、効率的に歯石を除去することが可能です。また、根分岐部専用の特殊な器具として、ダイヤモンドコーティングされたファーケーション専用スケーラーが開発されています。この器具は、先端部分が360度ダイヤモンドでコーティングされており、根分岐部に挿入後、前後運動により効率的な歯石除去が可能です。従来の器具では対応が困難であった根の離開度が狭く、歯石の蓄積が著しい症例に対して、この器具は適応します。一方、超音波スケーラーは、ハンドスケーラーで物理的にアプローチしにくいケースに適しています。超音波チップ自体が振動しているため、チップが当たっている部位に対して効率的に歯石を除去することができます。また、超音波チップにはさまざまな形態があり、ファーケーションプローブのように湾曲した形態のものを選ぶことで、より複雑な根分岐部にも対応しやすくなります。
まとめ
根分岐部のSRPを行うには、まず解剖学的な理解を深めることが非常に重要です。形態を理解していなければ、ハンドキュレットのトゥの当て方や、超音波スケーラーのチップの選択、挿入方向などを三次元的に把握することができません。解剖学的な理解をもとに、ハンドキュレットを歯根の陥凹に沿わせるようにツイストモーションで操作し、物理的にキュレットが当たらない部位には超音波スケーラーを活用することで、効率的なSRPが可能になります。ただし、根分岐部は形態が非常に複雑であるため、非外科的なアプローチには限界があることもあります。どこまで介入できるかについては、歯科衛生士自身がしっかりと検討・評価を行いながら、実践していただきたいと思います。Q&A
Q1: 根分岐部へのアプローチが難しい理由は何ですか? A: 根分岐部は形態が複雑であり、歯石が多く付着しやすいため、アプローチが困難です。 Q2: 患者ごとのアプローチで重要な点は何ですか? A: 本文では根分岐部の位置や歯根の凹凸に注目して解説しましたが、歯肉の薄さや骨吸収の程度によってもアプローチが変わります。 局所的に深い骨欠損が存在する場合、ハンドスケーラーのブレードが長いタイプは挿入が困難になるため、ブレードの短いものを選んで使用します。 ブレードが短い器具は、シャンクの屈曲が緩やかなことが多く、深いポケットに挿入する際に歯冠部にシャンクが当たりやすくなります。そのような場合には、超音波スケーラーの使用が推奨されます。 モリタ友の会の会員様としてログインされている場合は 「根分岐部へのスケーラーの当て方」について更に詳しい動画が下記に表示されます。本WEBINARは
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著者萬田 久美子
歯科衛生士
略歴
- 2000年 太陽歯科衛生士専門学校 卒業
- 2003年 森田デンタルクリニック 勤務
- 2010年 アメリカミシガン大学 研修
- 2013年 スウェーデンイエテボリ大学 研修
- 2013年 スタディーグループ「PASSION」SRP・シャープニングセミナー専属講師
- 日本歯周病学会 認定歯科衛生士
- 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 認定士
歯科衛生士学校を卒業後、歯周治療に軸足を置き国内外問わず研鑽を積む。 高齢者の歯科衛生士業務を得意とし、SRP・シャープニング講師やメーカーセミナー、執筆活動等を精力的に行っている。 <主な活動歴> 2017年 第60回 春季日本歯周病学会 学術大会 シンポジスト 2017年 中部歯内療法学会 学術大会 基調講演



