TOP>MoreSmile>超音波スケーラーの当て方や動かし方を詳しく解説!

MoreSmile

超音波スケーラーの当て方や動かし方を詳しく解説!

超音波スケーラーの当て方や動かし方を詳しく解説!
超音波スケーラーの当て方や動かし方を詳しく解説!
歯科衛生士を目指す学生にとって、「臨床に出てすぐの習得が難しい」という声が挙がる超音波スケーラーの当て方。
森田先生の『お悩み事ご相談フォーム』にも、「超音波スケーラーの当て方について解説してほしい」という声が寄せられました。

今回は歯科衛生士の森田先生監修のもと、超音波スケーラー使用前に確認するポイントから、実際の動かし方や当て方を解説します。

チップの選択方法

新人歯科衛生士の方は、初めて歯石を取ったりSRPをされるときに、超音波スケーラーを選択される方が多いのではないでしょうか。 超音波スケーラーを使用するにあたり、まずはチップを選択する必要があります。 ここでは、チップの選択方法について解説します。

チップ選択前に確認すること

何となくチップを選択し、口腔内に使っている歯科衛生士さんも多いと思われますが、 チップを選択する前に確認すべきポイントは以下の2点です。 探知やレントゲンで最初にしっかり確認しておきましょう。 ・どのくらいの大きさの歯石がどのくらいの量ついているか ・どういった性状の歯石がついているか

チップの形状

使用前のポイントを確認した後は、付着している歯石の状態に応じた形状の超音波チップを選択しますが、チップにもさまざまな種類があります。 それぞれのクリニックによって置いているチップが異なりますが、自身のクリニックあるチップにどういった特徴があるのかをきちんと把握した状態で選択しましょう。 チップを選択するときに注目する点は『細さ』と『断面』です。 ペリオチップP2やルートプレーニングチップP5などの細い形状のチップは、メンテナンスで残った深い部分のポケットにアプローチできます。 また、ユニバーサルチップS1などの少し太くて角ばっているチップは、歯肉の縁上に使用できるため、大きな歯石にアプローチが可能です。 上記の2つに比べて特徴的なのがフラットチップS11、S12で、ビーバーの尻尾に似ているため、別名ビーバーテイルとも呼ばれています。 歯面に対して下顎前歯の舌側面はステインや歯石が多く付着している場所です。下顎前歯の舌側面にアプローチするケースに対して、このチップだけ例外的に、歯面に90度に当てて操作することで広い範囲でステインや歯石を除去することができます。 このような特徴的なチップがあるということも知識として持っておくと、効率的にスケーリングができるでしょう。 断面については、丸い形状か楕円形か、あるいは角ばっているかによって歯石の除去効率が変わります。 丸いものは歯石の除去効率が低く、角ばっているものや太いものは除去効率が高くなっています。 さまざまなチップを紹介しましたが、チップごとに出力の上限があるため、必ず守るようにしましょう。

チップの作業部位

チップは、先端の2㎜、3㎜を使用します。 使用していくうちにチップの先端が摩耗しますが、摩耗が進むと歯石の除去効率が低下するため、チェッカーを用いて現状どのくらい摩耗しているかを都度確認することが必要です。 チェッカーの上から3つ目のラインまで摩耗が進むとチップの交換時期となるため、必ずチェッカーで摩耗の進み具合を確認した上で使用するようにしましょう。

チップの装着方法

チップは指を使って軽い力で回しながら、先端のネジ山に装着します。 最後に締める際、トルクレンチを使用しますが、トルクレンチを強い力で何度も締めてしまうとネジ山が潰れて壊れやすくなるため、注意しましょう。 トルクレンチは必ず1回のみ、カチッと音がするまで回してください。

超音波スケーラー操作前に確認すること

超音波スケーラーを操作する前に、以下の2点について確認しておきましょう。 ・超音波スケーラーの持ち方 ・超音波スケーラーの作業部位と角度

超音波スケーラーの持ち方

超音波スケーラーは、執筆状変法で把持をします。 第一指と第二指で超音波スケーラーを把持し、右の第三指は超音波スケーラーをコントロールする役割をします。 また、力加減はフェザータッチを意識して操作をします。力が入りすぎないよう、必ず軽く握るようにしてください。

超音波スケーラーの作業部位と角度

作業角度は、一般的なピエゾ方式の場合、0~15度以内で操作をします。 角度がつきすぎると歯面を傷つけてしまう恐れがあるため、なるべく歯面に沿わせて使用しましょう。 作業部位は先端から2~3㎜で、レストはしっかりと確保してください。

超音波スケーラーの動かし方

超音波スケーラーの動かし方をモーションといいますが、モーションには以下の3種類があります。 それぞれについて実際の動かし方、また、実際どのように口腔内に当てるかについて解説します。 ・スウィーピングモーション ・ペッキングモーション ・イレ―ジングモーション

スウィーピングモーション

スウィーピングモーションは、大きく横に振幅させるように動かす方法です。 適応症例は、歯肉縁上の歯石や浅いポケットの中です。 また、スウィーピングモーションを行う際の超音波スケーラー使用には1つ注意点があります。 水が出る前に歯面にチップを当てて動かしてしまうと発熱し、患者さんに痛みが生じることがあるため、必ず歯面から離した状態で水が出たことを確認してから歯面に当ててください。

ペッキングモーション

ペッキングモーションは、上下に動かしながら歯石を除去していく方法です。大きな歯石が付着している際に上から叩くような操作を行います。 またペッキングモーションはチップを選択する際に1つ注意点があります。例えば縁下に大きな歯石がある場合、可能であれば太いチップを選択すべきですが、歯肉の薄い患者さんの場合は太いチップは入りません。 歯肉のバイオタイプを見ながらチップを選択しましょう。

イレージングモーション

イレージングモーションは、細いチップを選択し、深いポケットに入れ、細かくジグザグに動かしながら少しずつ上に引き上げていく動かし方です。 深いポケットの際に適応されます。

実際のアプローチ方法

実際のアプローチ方法について、イラストを使ってご説明します。 ①が歯の根面、②が歯石としてください。 超音波スケーラーは、『マグネット方式』と『ピエゾ方式』の2種類があります。 一般的には『ピエゾ方式』の方がよく使われていますが、まずはご自身のクリニックの超音波スケーラーの種類を確認しましょう。 また、超音波スケーラーは歯石に対して上からアプローチをし、剥がし取るといった作業を行う機械です。 超音波スケーラーに対し、ハンドスケーラーでSRPを行うときは、歯石の下にハンドスケーラーを回しこんで歯石を剥がし取る方法になるため、それぞれの方法の違いについても認識しておきましょう。

マグネット方式

マグネット方式の超音波スケーラーは、超音波が楕円形に振動するタイプです。 尚、超音波スケーラーをマグネット方式で使用する場合は、チップは側面、内面、背面の3面を使用します。 チップの先端が歯面に当たって傷つけてしまわないように注意しながら操作しましょう。

ピエゾ方式

ピエゾ方式の超音波スケーラーは、超音波が横に振動するタイプです。 尚、超音波スケーラーをピエゾ方式で使用する場合は、チップは側面の1面のみを使用し、チップの先端から2mmが歯に接するように操作します。 また、操作を行うときの角度は、歯面に対して約0度から15度の角度で操作を行います。 角度が付きすぎると歯石が取れないだけでなく、根面を傷つけてしまう可能性もあるため 必ずこの作業角度を守るようにしてください。

部位ごとの操作方法

超音波スケーラーは、部位ごとによって操作方法が異なります。 『上顎』と『下顎前歯』の操作方法について、解説します。

上顎

上顎で操作が難しいと言われるのが最後臼歯の遠心部です。 例えば右上7番の遠心面はミラーがなくては見えず、アプローチの仕方が難しくなっているため、ミラーで遠心面を見ながらレストを口腔外に置くとアプローチがしやすくなっています。 ミラー越しにチップの先端を確認しながら操作しますが、左上7番も同様に、口腔外にレストを置くと操作がしやすくなります。 特に頬側遠心隅角面は見えにくくなっているため、ミラー越しに遠心隅角部をしっかり目で見て確認しながらアプローチしましょう。 もし頬粘膜に張りがある方、あるいは筋突起が出ている方に関しては、少し口を閉じてもらうと横に伸びやすくなるため、アプローチしやすくなります。

下顎前歯

下顎前歯はステインや歯石が付着していることが多い部位です。 下顎前歯舌側面に使用できるソルフィーFフラットチップS11、12ですが、歯面に対して約90度で当て、上下に操作します。 また、チップ使用時は特殊な角度で当てるため、振動が患者さんに伝わりやすくなります。 患者さんに「響きますよ」と一言お声がけすることを心がけましょう。

終わった後に確認すること

全顎的に、ミラーを見ながら進めますが、遠心面にずっと歯石が残るケースも多いです。 終わった後はミラーで今一度、全体を確認してください。 取り残しがある場合はもう一度アプローチすることを心がけましょう。

まとめ

この記事を読んで、超音波スケーラーについてしっかり理解し、明日からの臨床現場で実践してみましょう。 また、この解説をもっと詳しく知りたい方は、下記の超音波スケーラーの当て方に関する解説動画をご視聴ください。
さらに、『森田先生に相談したいこと』『動画で取り上げてほしいこと』がありましたら、お悩み事ご相談フォームからお問い合わせください。 モリタ友の会の会員様としてログインされている場合は 「超音波スケーラーの当て方」について更に詳しい動画が下記に表示されます。
↓↓↓↓↓

本WEBINARは
モリタ友の会有料会員限定となります。
閲覧にはモリタ友の会
有料会員へのご登録が必要です。

閲覧にはモリタ友の会有料会員へのご登録が必要です。
未登録の方はお手数ですが、こちらよりご登録をお願いいたします。
尚、モリタ友の会有料会員の方はご登録のメールアドレスとパスワードでログインしてご覧ください。
メールアドレス未登録の方はこちらよりご登録をお願いいたします。

著者萬田 久美子

歯科衛生士

略歴
  • 2000年 太陽歯科衛生士専門学校 卒業
  • 2003年 森田デンタルクリニック 勤務
  • 2010年 アメリカミシガン大学 研修
  • 2013年 スウェーデンイエテボリ大学 研修
  • 2013年 スタディーグループ「PASSION」SRP・シャープニングセミナー専属講師
  • 日本歯周病学会 認定歯科衛生士
  • 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 認定士

歯科衛生士学校を卒業後、歯周治療に軸足を置き国内外問わず研鑽を積む。 高齢者の歯科衛生士業務を得意とし、SRP・シャープニング講師やメーカーセミナー、執筆活動等を精力的に行っている。 <主な活動歴> 2017年 第60回 春季日本歯周病学会 学術大会 シンポジスト 2017年 中部歯内療法学会 学術大会 基調講演

萬田 久美子

tags

関連記事