TOP>MoreSmile>知っておきたい 他職種の基礎知識 前編

MoreSmile

知っておきたい 他職種の基礎知識 前編

知っておきたい 他職種の基礎知識 前編
知っておきたい 他職種の基礎知識 前編
前回の『今から始める「訪問歯科診療」歯科衛生士として知っておきたい基礎知識』では歯科衛生士さんにも分かりやすいように「訪問歯科診療」について、さらに「介護度」や「介護施設」について少し詳しく掘り下げていきましたが、いかがでしたか?

今回は実際に介護施設で勤務されている亀山雄樹さんに施設の概要やサービスについて伺いました。普段なかなか伺えない他職種の方の貴重なお話ですので、ぜひこの機会にご一読ください。

社会福祉法人 幸洋福祉会 特別養護老人ホーム 松寿苑 施設長 亀山雄樹さん Q:まず亀山さんが勤務されている「特別養護老人ホーム」について簡単にご説明いただけますか 「特別養護老人ホーム」は、施設介護サービスを受けることができる生活施設で、介護保険制度の中では「介護老人福祉施設」と呼ばれています。 現在、介護保険法で定められている介護保健施設には、 ・「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」 ・「介護老人保健施設」 ・「介護療養型医療施設」 ・「介護医療院」 の4つがあります。そのなかで『特養』は、病院のように治療する目的ではなく生活を送るための施設です。私が勤務する「松寿苑」は全室が個室のため、『ユニット型特別養護老人ホーム』と呼ばれています。 特別養護老人ホーム「松寿苑」の外観 共同生活室の様子 居室内の様子 Q:なるほど…。『特別養護老人ホーム』に入居するための条件などはありますか 当施設の場合ですと、入居には事前に入居申込書を提出していただく必要がありますが、申込書の提出順に施設に入居できるわけではなく、県の指針に基づいて重度の認知症の方など、より介護を受ける必要性(要介護度)が高い方から入居していただく方法をとっています。 現在、当施設の平均的な要介護度は「3.98」です。要介護度が高いと、それだけ認知機能が低下されている方も多く、介護スタッフが主となって利用者さんの食事、排泄、入浴といった三大介護から、その他着替え、整容、移動、移乗に至るまでの日常生活を支援しています。 平均年齢は87.8歳、入居されてから退居されるまでの期間の平均的な在苑期間は3年7ヵ月です。約70名いらっしゃる入居者の方のうち、毎年15名~25名くらいの方々が入れ替りますが、その9割以上の方は施設において看取りを希望される方で、残り1割未満の方は、ご病気によって長期に渡り医療機関に入院されることに伴う退居となっています。 「介護度」については前回の記事で詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。 前回記事リンク Q:施設内で行われているサービスにはどんなものがありますか 当施設では、『ショートステイ(短期入居生活介護)』、『デイサービス(通所介護)、ホームヘルパーステーション(訪問介護)』、ケアマネジャーを配置している『居宅介護支援事業所』を併設しており、いずれも高齢者の方向けのサービスを運営しています。 デイケアやデイサービスとは違い、ショートステイは宿泊が可能です。『特養』は一部の例外を除き原則要介護3〜5の方専用の施設ですが、ショートステイは要支援1、2の方も対象とした介護サービスで1泊2日から、送迎込みでご利用いただくことができます。 Q:どんな職種の方が何名くらい勤務されているのでしょう 当施設では、事務員は非常勤含め5名、施設入居者の日常生活相談、入居・退所される時の支援、施設見学やボランティアといったその他外部団体や個人との連絡調整役として生活相談員を非常勤含め5名配置しています。それから介護保険制度の要といわれる介護支援専門員いわゆるケアマネジャーは施設で1名、居宅介護支援事業所で5名配置しています。介護職員がもっとも人数が多くすべての事業所を合わせると61名になります。医療ケアを担当する看護スタッフは現在非常勤を含めて施設で5名、デイサービスセンターで2名です。 近年、介護スタッフがなかなか福祉人材として確保しづらいのは皆さんもニュースなどでご存知かもしれませんが、介護スタッフが行う業務の中の間接的なお仕事、例えばシーツ交換、居室内の清掃、入居者の方々の洗濯業務、食器洗いなど、介護スタッフ以外でもできる間接的な業務については介護補助員という専門職を採用しています。介護補助員7名、それとは別に清掃員4名、すべて非常勤職員です。 さらに、口腔ケアに関連する職種としては管理栄養士が1名、訪問介護事業所ではホームヘルパー4名、利用者の方々の移送介助を担当する運転手や営繕を担当する用務員は施設とデイサービス合わせて8名、非常勤の嘱託医師が2名です。年度内の採用と退職で多少の増減はありますが、令和3年10月1日現在で117名の職員が在籍しています。 Q:117名ですか! ずいぶんたくさんのスタッフさんがいらっしゃいますね。それだけの方がいらっしゃらないと入居者さんへの行き届いたケアが難しいということでしょうか そうですね。入居者の方と看護・介護職員の配置割合は「3:1」が法定の基準なのですが、それだと勤務シフトがうまく回りません。そこで私たちの施設では、 “変形労働時間制”という勤務制度を採用し「早出・遅出・夜勤」を設けて、現在はだいたい「1.8:1」の割合でスタッフを配置しています。 Q:入居者さんに介護を行うスタッフさんは担当制ですか 冒頭でお話ししたように、当施設の居室はすべて個室になっています。入居定員が70名、ショートステイは10名、合わせると80室ほどのお部屋があって80名の方々に10人1グループに分かれた生活を送っていただいています。このグループを「ユニット」と呼び、横並びの2つのユニット、20名の入居者の方々の支援をさせていただくスタッフは固定で配置しています。そうすることによって常に顔見知りのスタッフに介護してもらえるという安心を入居者の皆さんに感じていただくことができます。 Q:松寿苑さんは特養施設として大・中・小で言えばどれくらいの規模になるのでしょう 当施設は『広域型特別養護老人ホーム』であり、広域型の場合はどの居住地からも受け入れが可能です。当苑のある山口県内では、多いところは定員110名、120名といった規模もありますので、定員70名だと中程度の規模と言えるでしょう。 後編→知っておきたい他職種の基礎知識

tags

関連記事