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第3回:医師も歯科受診を勧めてみませんか?

2021/4/28 デンタル〇〇デザイン

2007年6月、日経メディカルオンラインに寄稿「医師も歯科受診を勧めてみませんか」させていただきました。

口腔内視診と歯科受診のきっかけづくりと動機づけは、すでに私の日常診療のルーティンとなっていましたが、私が知る限り同じような医師は周囲にいませんでした。患者さんの反応も「医者に歯のこと言われたのは初めて」というものが大半でした。歯科医療者を除くと、一般的に口腔の健康(オーラルヘルス)が全身の健康に関係するという意識は低かったように思います。私が診療する患者さんだけでは世の中は変わらないと感じていたので、多くの方の眼に触れるオンライン媒体に寄稿することにしました。

結果は私の予想していないものでした。S大学歯学部名誉教授(歯周病学)のH先生とY教授、T大学歯学部のS教授からは、直筆のお手紙をいただきました。H先生にはぜひ直接会いたいとまで言っていただき、Y先生とご一緒に東京でお目にかかりました。H先生から激励いただいたことは生涯忘れられない思い出で、今も私のモチベーションの源泉になっています。先生は医学部と歯学部のあるT大学歯学部のご出身ですが、大学受験で京都府立医科大学にも合格されていたとうかがい、ご縁を感じました。

前回ご紹介した「Dental-medical network」には、H医科大学口腔外科のK先生(当時は講師)にもご参加いただき、さらに東京都内のリハビリテーション病院歯科のN先生をご紹介いただきました。参加いただいた早々に、論文や総説の別刷などをたくさん送っていただき感激したのを記憶しています。N先生とはメーリングリスト終了後もSNSなどで交流を続けました。

日経メディカルオンラインの私の記事にご注目いただいた歯科の先生がもう一人、それはT歯科大学微生物学のO教授。

2007年11月、東京・品川で「口腔衛生と全身疾患」―最新知見と予防歯科の新たな展望―という講演会が開催され、歯科と医科の著名な先生方が講演され、私はS大歯学部のY先生にお誘いいただき参加しました。懇親会でT大心臓血管外科のI先生に、「同志だ!」と言って握手していただいたことは忘れがたい記憶です。

この日に配布された資料の中に「オーラルヘルスと全身の健康」という30ページの冊子が入っておりました。編集責任者であるO先生による序文に、私の日経メディカルオンラインの記事のことが紹介されていました。当日の講演会・懇親会の間にはそのことにまったく気づかず、帰りの新幹線の中でそれを見つけた時には本当に驚きました。

これをきっかけにO先生と交流させていただき、4年後の2011年に「オーラルヘルスと全身の健康」改訂版の発刊に当たって、私はその第10章を執筆させていただき、そのタイトルが「医師だからこそ歯科受診を勧める」です。

2007年には「医師も歯科受診を勧めてみませんか」と遠慮がちに書いていたのですが、本当の思いはもっと強いものであったことを告白しています。「医師こそが歯科治療が必要にもかかわらず歯科受診をしていない方に接する機会が多く、歯科受診を勧め、適切な歯科治療と定期的な口腔衛生管理を受けることの動機付けに関わるべきである。なぜなら、歯科医師の前にいる患者さんはすでに歯科受診しており、歯科受診をされていない方に接する機会は、実は医科医療者の方が多いのである」というのが私の主張です。この思いは今も変わることはありません。でも、こう思っている医科医療者はどれだけいるのでしょうか。

医師をはじめとする医科医療者が歯科受診を勧めることの意義ははかり知れないと思っています。10年経ったのですが、今こそたくさんの賛同者が現れることを期待しています。