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2022年3月のピックアップ書籍

2022年3月のピックアップ書籍
2022年3月のピックアップ書籍

アライナー矯正を正しい方向へと導いてくれる必読誌
『JOURNAL OF ALIGNER ORTHODONTICS(JAO)日本版(2021年1号)』

昨今、アライナー矯正歯科治療(以下、アライナー矯正)の世界的なムーブメントが起こっており、その勢いは日本でも急激に高まっている。 口腔内スキャナーを用いた光学印象、デジタルセットアップ、それらを用いた患者へのわかりやすい説明といった特徴から、多くの一般臨床家が導入しはじめている。 しかしその一方で、アライナー矯正におけるトラブルが散見されるのも事実である。 そんななか、昨年12月、ついに「Journal of Aligner Orthodontics(JAO)日本版」が創刊された。 「JAO」は、ドイツの矯正歯科医、Dr. Werner Schuppが編集委員長、世界で活躍するアライナー矯正のエキスパートが編集委員を務め、世界の8つのアライナー学術団体(ヨーロッパアライナー矯正歯科学会[EAS]、アルゼンチンアライナー矯正歯科学会[SAOA]、オーストラリアクリアアライナー矯正歯科学会[ACAS]、ドイツアライナー矯正歯科学会[DGAO]、日本アライナー矯正歯科研究会[JAAO]、スイスアライナー矯正歯科学会[SSAO]、台湾アライナー矯正歯科学会[TAAO])の公認の学術雑誌である。 かねてから、学術団体によるアライナー矯正に特化したジャーナルの発行が待ち望まれていたが、2017年に創刊され、年に4回刊行されている。 昨年創刊された「JAO日本版」は、その「JAO」から選りすぐりの翻訳論文が掲載されているほか、日本のアライナー矯正の先駆者である尾島賢治先生、菅原準二先生、佐本博先生、岡藤範正先生、岡野修一郎先生をLocal Advisory Boardに迎え、日本版のオリジナルコンテンツも掲載されているのが大きな特徴である。 アライナー矯正治療の可能性を示す症例報告、矯正治療を手がけるうえで知っておきたい矯正歯科学の基礎知識、論文およびアライナー症例を読み解くための関連キーワードページなど、読者が定期的(隔月で年6回偶数月に刊行)に購読することで学びが得られるよう、多くのコンテンツが揃っている。 「JAO日本版」の創刊にあたって大変尽力されたのが、日本初のアライナー矯正学術団体である日本アライナー矯正歯科研究会を設立された尾島賢治先生である。 尾島先生と筆者は大学の同窓で、部活は彼がアメフト、筆者がラグビーということもあり、大学6年間をともに濃密に過ごした親友の仲である。 出会ってから30年、バイタリティ溢れる彼の活動にはいつも驚かされてきた。 当時から抜群のリーダーシップを発揮し、目標へひた走るストイックさをもっていた。 そんな彼の影響もあり、筆者も歯周病学を志し、高みへと向かって日々精進している。 「JAO日本版」は、これからアライナー矯正を始めようとする読者はもちろん、アライナー矯正をすでに導入されている読者にとっても不可欠な学術誌であり、アライナー矯正を正しい方向へと導いてくれる必読誌になるであろう。 ぜひ、お手にとっていただきたい。 評者:山口文誉 (神奈川県・山口歯科医院) Werner Schupp・英語版編集委員長 尾島賢治/菅原準二/佐本 博/岡藤範正/ 岡野修一郎・日本版Local Advisory Board クインテッセンス出版 問合先:03-5842-2272(営業部) 定価:4,950円(本体4,500円+税10%)・112頁

メインテナンス中に急に現れる深い歯周ポケットの病態把握や鑑別に役立つ
『DHとDRのための歯周ポケット鑑別ガイド その病変は本当にペリオ?』

『歯周ポケット鑑別ガイド その病変は本当にペリオ?』──内容を端的に表す素晴らしいタイトルである。 歯科衛生士によるメインテナンスが、歯を守るために重要なものであることは論を俟たない。 定期的に来院していただき、低下しがちな患者のモチベーションを再度高めること、またPMTCによってメインテナンスしやすい口腔内環境を維持することも重要ではあるが、継続した検査を行って患者の口腔内の変化に気付くことは、それ以上に重要なことと言える。 歯科衛生士は正に患者の口腔内を守る防波堤としての役割を果たしているのである。 臨床経験が豊富で、歯科の最前線で活躍される森田氏による本書は、日々臨床に悩み、向上すべく努力されているすべての歯科医療従事者にとって、まさに待望の一冊といえる。 メインテナンス中には、歯周ポケットの深化、サイナストラクトの出現、歯の動揺の増加など、さまざまな変化に遭遇する。 特に歯周ポケットの深化は、必ずしも歯周炎が原因で生ずるとは限らないため鑑別が困難であり、何に起因するのか頭を悩ますことも多いのではないだろうか。 本書では、メインテナンスにおいて急に深い歯周ポケットが出現した場合に、歯周炎以外の疾患との鑑別診断を行うために必要な情報について、ケースとエビデンスを基にていねいな解説がなされている。 第1章には、Simonの分類の詳細と病態、および診断のためのディシジョンツリーが掲載されており、それに基づく3ケースの診断と治療の解説が行われている。 いずれも鑑別困難なケースであり、近年のトピックであるエンド・ペリオ病変について必要十分な情報を得ることができる。 第2章には、歯周炎との鑑別診断が困難なセメント質剥離について、その好発部位と病態がシェーマを交えて詳細に記載されており、臨床例およびQ&Aと併せて読むことで明確に理解できる。 第3章では、メインテナンス中における歯の喪失の最大原因である歯根破折について、進行度別の見極め方が示されており、臨床上非常に有用な情報が提供されている。 それらに加えて、力に起因する咬合性外傷や、歯周ポケットを形成するその他の原因因子についても論じられるとともに、第6章には歯科衛生士業務において最も重要な、プロービングに着目した様々な情報が包含されており、まさに痒いところに手が届く作りとなっている。 本書は、歯科衛生士が編集し歯科医師が執筆する初めての書籍と伺った。 メインテナンスの最前線を担う歯科衛生士が多くの知識を持って臨床に臨み、的確に病態を把握して歯科医師に情報を伝えることで治療をリードしていくことは、真に患者利益に叶うものと思う。 院長先生には本書をご購入いただければ、自院の歯科衛生士ならびに勤務医のスキルアップのため、またご自身の知識の整理のためご活用いただけるはずと、自信を持ってお勧めさせていただく。 評者:岩野義弘 (東京都・岩野歯科クリニック) 森田久美子・編著 下野正基/平井友成/大川敏生・著 クインテッセンス出版 問合先:03-5842-2272(営業部) 定価:6,600円(本体価格6,000円+税10%)・92頁

日常臨床のなかでGPに求められる歯科矯正の入門書!
別冊ザ・クインテッセンス YEARBOOK2022 臨床に生かす! GPによる限局矯正[LOT]

監著者はもともとGPとして開業した経歴をもつ、歯科矯正専門の開業医である。 歯科矯正は歯科矯正専門医任せというGPは多い。 本書はGPにこそニーズのある、GPが行うべき矯正の分野にスポットライトを当てている(逆に、歯科矯正専門医には欠けている視点を示しているともいえる)。 最近でこそ、部分矯正や限局矯正をLOT(limited orthodontic treatment)と呼ぶことが臨床のなかで一般化してきたが、監著者は1990年代半ばからあえてMTM(minor tooth movement)という言葉を使用せず、一貫してLOTという言葉を用いてきた(理由は本書を読んでいただきたい)。 監著者は、もし、GPが自ら歯科矯正を行うとしたら、まず取り組むべき分野はCOT(comprehensive orthodontic treatment:LOTに対応する語、いわゆる全顎矯正)や成長発育期での介入ではなくLOTであることを強調している。 本書によれば、LOTには幅がある。具体的には、おもにアンカースクリューを利用した1歯から数歯単位の歯牙移動(アップライトや挺出、圧下など)から、エッジワイズやアライナーを利用した上下前歯のマイナークラウディングの改善、さらに、たとえば歯周病治療後、口腔内の残存歯をほぼすべて移動させるような大規模なものまで多彩である。 監著者は、このなかで歯周治療やインプラント治療とかかわり合いが深い大規模なLOTを"多数歯のLOT"と呼び、このMTMではない限局矯正の分野こそがLOTという言葉を特徴づけていると主張している。 評者は歯周病専門医として開業しているが、重度歯周病患者の多くにPTM(pathologic tooth migration:病的歯牙移動)を見受ける。 歯周病の感染のコントロールが達成された後、いわゆる歯周補綴を行うにもPTMで乱れた歯列を整理整頓しないとスムーズに治療が進まないことを経験してきた。 そこで、最終的な治療の質を向上させるためにも、何らかの歯科矯正のアプローチが必要となり、実際にとりいれてきている。 現代の臨床家は、歯周、インプラント、補綴、歯内などのさまざまな分野があるなか、総合力が求められている。 感染のコントロールがきちんと行われるようになり、インプラント治療も当たり前になってきたいま、監著者は、"多数歯のLOT"を行うことができるGPこそ、臨床家の1つのゴールであるとも述べている。 もちろん開業医には、開業している地域の特性があり、臨床のスタンスもさまざまであってしかるべきである。 本書では、そのような多様性のなかで、1つの到達点として矯正を実装・実践して結果をだしている全国のさまざまな執筆者が多くの臨床のヒントを与えてくれる。 歯周、インプラント、補綴の治療結果の質を向上させたいGPにぜひ読んでもらいたい一冊といえる。 評者:弘岡秀明 (東京都・弘岡歯科医院) 加治初彦・監著 石井彰夫/伊藤智美/入江裕介/上野博司/ 金成雅彦/杉山達彦/土田晃太郎/中島稔博/ 武川泰久/米澤大地/米田はる/渡辺隆史・著 クインテッセンス出版 問合先:03-5842-2272(営業部) 定価:7,040円(本体6,400円+税10%)・130頁

歯科医師としての人生論にとどまらず、広くわれわれの胸を打つ人生訓
『やってみなはれ─粋で雅な歯科人生語録』

この手の本は歯科雑誌ではあまり見かけない稀有なものである。それゆえ、著者が誰かが問題となる。 本書は今、歯科界でインフルエンサー的役割を担う、中田光太郎先生と瀧野裕行先生の両者が執筆し、それがドンピシャにはまっている。 関西、それも京都という特殊な街の歯科医師としての人生論に留まらず、広くわれわれの胸を打つ示唆に富んだ歯科医師の人生訓である。 まず、このような語録を収録した書籍は新鮮であり、我が身を振り返ってしまうほど説得力があるものであった。 また、ここまで個人情報をすべて曝け出す勇気もなかなかできるものではない。 これは両著者の今までの歯科医師としての生きざまとそれなりの自信と正直さ、そして若い歯科医師に参考としてほしいという強い気持ちが本書から溢れている。 また、歯科治療の本質を極めている両著者が、開業医としてあるいは一歯科医師として必要な本質を直球で示唆している。 そのうえ、為になるポイントが随所に詰め込まれており、よく考えてみると、思わず「そうだよなあ」と頷いてしまう。 本書は自己紹介から始まって、全9章から構成されており、どこから読んでも自由であり、従来の書とは異なっていて実に面白い。 それでは簡単に各章の内容に触れてみたい。 第1章「やってみなはれ」では、さまざまな教訓が散りばめられていて「なるほど!」と思えるポイントが多くあり、的を射ていて読んでいて面白い。 とくに歯科医師としてのモチベーションが重要だと述べている。 第2章「試してみなはれ」では、いうなれば、歯科の実務編である。 自身の経験をもとに、いろいろな角度から歯科医師として必要なコンテンツを指摘している。 第3章「任せてみなはれ」では、スタッフ、とくに歯科衛生士との微妙な関係をどのように上手くとるか、現実的な考え方を述べている。 第4章「楽しんでみなはれ」では、他業種との比較において取り入れたい、あるいは参考にする点に言及していて個人的には興味をそそられた。 第5章「かまへんかまへん」では、歯科医師の経済性と学術とのバランスをいかにとるかを述べている。 第6章「あきまへん」および第7章「おおきに」の両章では、歯科医師としてのプロ根性と、人生を歩むにつれ、初心を忘れてはならないと諭している。 第8章「譲ってみなはれ」では、もっとも難しい親子関係と医院承継についてふれており、評者自身、結構参考になる。 第9章「贅沢しなはれ」では、一流とは何か、また海外研修について実に面白く述べている。 いずれの章においても、読む人を飽きさせない絶妙なタッチで歯科医師としての人生を語っている。 最後に、著者らは本当に歯科が好きなんだなとしみじみ感じた。 「これからも臨床歯科を引っ張ってください!」と心からのエールを両著者に送りたい。 評者:山﨑長郎 (東京都・原宿デンタルオフィス) 中田光太郎/瀧野裕行・著 クインテッセンス出版 問合先:03-5842-2272(営業部) 定価:2,970円(本体 2,700円+税10%)・184頁

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