Dental Life Design

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【Talk Session】
山本敦彦×賴郁樺
レーザー普及へ
日台連携
アジア発の技術を世界へ
ー後編ー

2019/9/11 デンタル〇〇デザイン

前編ではレーザー治療の現状についてお話を伺いました。 後編では日本・台湾でのレーザー治療普及への取り組み、レーザー治療の今後について迫ります。

■最重要のテーマは、意識啓発と人材教育

――さまざまな課題がある中、ライ先生は今後レーザー治療を本格普及させるために、どのような取り組みに挑戦されますか?

ライ:歯科用レーザーに対する正しい認識を広めるとともに、教育によって専門的な知識と技術に通じた歯科医師を育成することが大切だと思います。「レーザー」という言葉を耳にしたことはあっても、それがどんな技術で、どんなメリットがあり、どんな可能性を秘めているのかを正しく認識する歯科医師は、それほど多くありません。レーザー治療の普及をはかる上で、歯科医師の意識啓発と人材育成こそ最重要テーマです。

山本:そのお考えには、100%同意します。日本にレーザーが登場した頃、ブームが過熱する余り教育と人材育成がおろそかになり、レーザーに対する誤った応用や評価が世の中に広まった苦い経験が私たちにはあります。その失敗を、台湾で絶対に繰り返してほしくない。台湾随一の規模を持ち、業界をリードする立場にあるライ先生のグループが率先して意識啓発と教育にあたることによって、台湾のレーザー市場が健全な発展を遂げていくことを何よりも願います。

――意識啓発や人の教育に関して、具体的なプランがあれば、お聞きしたいのですが?

ライ:昨年10月にグループの教育機関として「WICC」を立ち上げ、臨床研究のための学会もスタートしました。今後は年2回程度のペースでレーザー治療のテクノロジーや最新事情を情報発信するセミナーを開催するとともに、レーザー治療の臨床例を報告したり、関係者が互いに交流を深められる研究発表会のようなイベントも開きたいと考えてます。

山本:それは、楽しみですね。

ライ:年2回開催予定のセミナーのうち1回は、学会の協力もあおぎ、内外から注目を集めるような大規模なイベントにしたいと思っています。年末には第1回のセミナーを台北で開催する計画で、モリタさんや台湾にある代理店の方と議論を続けているところです。将来的には、台中や台南地域にも広げていくつもりで、プロジェクトには、ぜひ山本先生にも力を貸していただきたいと思っています。

山本:どんな支援も、惜しむものではありません。アーウィンアドベール Er:YAGレーザーを用いた治療については、私がすべてのオリジナルを持ち、私にしか教えられないことがいくつもあります。また東京医科歯科大学や母校の朝日大学で教鞭をとり、アメリカのペンシルバニア大学やミシガン大学、ハーバード大学で若手研究者を対象に特別講義を行なった経験もあって、指導教育には自信もあります。20年以上積み上げたノウハウを余すところなく伝え、レーザー治療のスペシャリストとして成長の階段を着実にステップアップできる継続性のある研修プログラムを一緒につくりましょう。

ライ:ありがとうございます。あとグループの分院にレーザーをどのようなかたちで導入するかも、教育と並行して考えなくてはなりません。いきなり高価な装置を買い揃えるのはリスクが大きいので、まずはデモ機のリユースからスタートするのもやり方のひとつだと思います。治療実績を重ねる中でレーザーの使い方や治療のノウハウを理解できれば、新規導入のモチベーションにもつながるでしょう。

山本:それもひとつの方法ですが、ライ先生のグループには72にのぼる分院があります。その強みを生かし、グループで一斉導入すれば、1台あたりのコストは相当程度抑えることができると思います。

ライ:日本と台湾とでは、歯科医療をとりまく環境も大きく異なります。その違いや特徴をよく見極めながら、慎重に検討する必要がありそうですね。

■導入をめぐって議論が続く歯科衛生士制度

――日台の環境の違いという点では、台湾では今、歯科衛生士制度(国家資格化)をめぐる議論が続いています。

ライ:賛否両論がほぼ拮抗し、現在は反対意見がやや優勢という状況です。議論の成り行きを注意深く見守らなくてはなりませんが、グループとしては、どちらに転んでも対応できるように万全の準備を整える必要があると思っています。

山本:歯科衛生士制度が完全に定着している日本の歯科医師として意見を述べれば、絶対に導入されるべきだと思います。歯科衛生士が国家資格となってSRP(スケーリング&ルートプレーニング)など診療補助作業をサポートできれば歯科医師の負担は軽減し、より専門性の高い治療に専念できるからです。それは経営効率という点でも、また患者さんに最適な治療を提供するという点でも、たいへん有意義なことだと思います。

ライ:個人的には、私も賛成の立場です。私たちのグループでは、700名~800名にのぼる歯科助手が活躍していますが、それでも人手が足りません。その人材の需給ギャップをどう埋めるかは、大きな課題です。歯科衛生士は、レーザー治療が普及する時代にあって、ますます必要とされる人材です。制度が正式導入されれば、少々の時間とコストがかかっても、全員の資格取得をめざしたいと思っています。

山本:それは素晴らしい考えですね。ライ先生のグループが「すべての分院に国家資格を持った衛生士を揃えています」とアピールすれば、大きなPRになると同時に競合との差別化にもつながるでしょう。衛生士制度導入は、新たな成長を目指すうえで、願ってもないチャンスかもしれません。

ライ:衛生士は一人前に育つまでに、インターン期間も含めて5年の期間を要します。専門の育成機関とも連携し、今から準備を整えていきたいと思います。

■オリジナルの技術をアジアから世界へ

――最後に、将来の目標やビジョンについて、お聞かせください。

ライ:価格や保険適用の問題など、さまざまな課題はあるものの、しっかりした人材教育の仕組みをつくり上げれば、いずれ台湾でも日本と同じレベルにまでレーザー治療が普及する時代がやってくると確信しています。忘れてならないのは、患者さんにより良い治療を提供することが歯科医師としての使命であるということ。今日、山本先生に話を聞く中で、そのことを勉強させていただきました。レーザー治療の健全な発展を通じて、歯科医師と患者さんが揺るぎない信頼関係で結ばれる医療環境をつくるために頑張ります。

山本:先にお話しした通り、日本の歯科レーザー市場は、一時の他の波長のレーザーのブームによって健全な発展が損なわれ、いつの間にか玉石混淆の歪な色に染まってしまいました。その失敗を教訓としながら、台湾では真っ白のキャンパスに鮮やかな色で美しい絵を描いてほしい。私たちは、何度も試行錯誤を重ねたがゆえに、どの道を進めばゴールまでたどりつけるのか、その答えを知っています。今はまだ「30年」の開きがあるとしても、適切なアドバイスによって日本との距離を縮め、肩を並べることは難しいことではありません。そのために私は惜しみないサポートを提供するつもりです。

ライ:応援のメッセージに感謝いたします。

山本:先端科学技術、とりわけ医療の技術や治療法は、そのオリジナルをたどると、例外なく欧米にたどりつきます。私たちアジアの民は、その欧米発のテクノロジーを懸命に学ぶことで今日を築きました。でも技術が“一方通行”だった時代は、いずれ終わります。私の計画は、従来の常識を覆し、レーザーの臨床応用で欧米をアッと驚かせる成果をあげ、アジアオリジナルの技術として世界に発信すること。ライ先生と一緒なら、その夢を必ず実現できると信じています。

——本日は、お忙しい中、ありがとうございました。

前編はこちら>>>>
【Talk Session】山本敦彦×賴郁樺レーザー普及へ日台連携アジア発の技術を世界へー前編ー

ープロフィールー

山本敦彦
医療法人成仁会
藤沢台山本歯科
理事長 医学博士
朝日大学歯学部歯周病学科客員教授
1984年、岐阜歯科大学(現朝日大学)卒。1985年から、大阪府富田林市で「藤沢台山本歯科」を開業。歯科レーザー治療の第一人者として、欧米、アジアの大学、学会、シンポジウムから講演依頼も多い。日本口腔インプラント学会、国際歯科レーザー学会に所属。日本レーザー歯学会では代議員を務め、専門医・指導医として活躍。「Er:YAGレーザーの基礎と臨床」「歯科治療インプラント治療におけるEr:YAGレーザーの使い方」など著書多数。


賴郁樺(Yu-Hua Lai)
康緹牙醫診所 院長
亞太口腔臨床醫學會 理事長
2001年に歯学系大学を卒業して、2003年にデンタルクリニック「康緹牙醫診所」を開業。いち早くフランチャイズ経営を導入し、チェーン展開で急成長。いまやグループ傘下の分院は72を数え、500名の歯科医師と700名の歯科助手を擁する台湾で唯一最大のデンタルクリニックグループへ成長を遂げた。また独自の教育機関「WICC」と臨床研究の学術発表会として「APACD」を立ち上げるなど、次世代を担う歯科医師や歯科衛生士の育成にも力を注ぐ。

ーコラムー
【Er:YAGレーザー(エルビウム・ヤグ・レーザー】
水への吸収性がCO2レーザーの10倍、Nd:YAGレーザーの1.5万~2万倍も高く、水分を多く含む生体組織に対する蒸散能力が高い(発信波長2.94μm)。そのため熱の発生が少なく、痛みも軽微。軟組織だけでなく歯や骨、歯石といった硬組織も蒸散(分解)できる。硬組織を蒸散可能な唯一のレーザー治療器。また照射部分の表層に限定して蒸散反応が起こるため、他のレーザーと比べて透過光による組織深部への影響が少なく、安全性においても優れている。

【Erwin AdvErL EVO(アーウィン アドベール)】
大学との共同研究の末、モリタが日本で初めて製品化に成功したEr:YAGレーザー治療器の最新機種。虫歯、歯周病、根管治療、口内炎、知覚過敏などの治療、また歯肉のメラニン色素除去、軟組織の切開などに有用。数ある歯科用レーザー治療器の中で唯一、厚生労働省の認可を受けている。レーザー治療に必要な機能をスタイリッシュなボディに集約し、さまざまな治療シーンに対応できる多彩なコンタクトチップとフレキシブルな操作性を誇る。

製品情報はこちら https://www.dental-plaza.com/article/adverl_evo/

【藤沢台 山本歯科】
当時人気を集めたテーマパークをお手本に、人を楽しませる空間づくりやサービスのノウハウを学び、1985年開業。 わずか10年で、1日の来院患者数250人を誇る有名クリニックに。 その後は世界基準の歯科医院をめざし世界中で研鑽を積み2004年に全面改装。 現在はレーザー治療器や歯科・頭頚部用3次元CTなど、最先端の治療機器を導入し、インプラント治療、歯周治療など自由診療をメインとするデンタルクリニックとして クオリティ−を第一と考える患者を中心に支持を集める。 (診療室は、プライバシー保護のため完全個室。全室にレーザー治療器を完備し、季節に応じたコーナー展示が訪れる人の目を楽しませる。) すべての歯科治療をバランスよく組み合わせた「包括的先進歯科医療」を掲げ、最先端、最高水準の診療をめざす。