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2019年3月のピックアップ書籍

2019/4/19 歯科NEWS

別冊the Quintessence『YEARBOOK2019歯周組織再生療法のすべて』

歯周組織再生療法が世界で行われるようになってから30年以上が経過した。国内でもGTR法やリグロスRなどが保険導入され、歯周組織再生療法は決して新しい治療法ではなくなってきた。しかし、一般臨床家が日常臨床でルーティンに行っている治療であるかどうかは疑問であり、まだまだ敷居の高い治療法の認識が強いのではないかと思われる。その理由は、実際に患者に還元される治療効果、治療テクニックの煩雑さ、症例選択の難しさ、患者説得の困難さなど、さまざまな事項が要因になっていると考えられる。 本書は表題のとおり、現在、行うことができる歯周組織再生療法のすべてを網羅した集大成の書といえる。歯周組織再生療法はこれまで世界中でさまざまな方法が発表されてきたが、どの症例にどのような治療法を選択すればもっとも効果的であるのか、多くの臨床家が疑問に思っているのが本音であろう。本書はそのようなときに、いま臨床の場で使うことができるベストな歯周組織再生療法の選択肢をいくつか提示してくれる。 PART1では、筆者の恩師でもある伊藤公一名誉教授がこれまでの歯周組織再生療法の歴史・変遷について具体的な症例を提示しながら紹介いただき、結論として歯周組織再生療法成功のポイントは原因除去であることを強調されている。PART2では新進気鋭(ベテランも?)のエキスパートたちがこれまで発表された多くのエビデンスに基づき、自身の考えるベストな治療からその予後までを紹介している。具体的な内容は、各著者の治療法の選択基準、使用している器具、患者説明をどのように行い歯周組織再生療法を行うことを説得するのかなどを、多くの臨床写真を提示し、詳細に紹介している。また、写真だけではなかなか理解しにくい実際のテクニックが動画でも確認できるので、読者が臨床でその治療を行うときには大いに参考になるであろう。 歯周組織再生療法を初めて行う初心者にはもちろんであるが、熟練の専門家にもぜひ参考にしていただきたい書である。 評者:佐藤秀一 (日本大学歯学部保存学教室歯周病学講座) 伊藤公一/藍 浩之/岩野義弘/ 大月基弘/小野晴彦/菊地康司/ 工藤 求/小延裕之/笹田雄也/ 佐藤憲治/佐藤博久/高山真一/ 竹内公生/塚原宏泰/中田光太郎/ 芳賀 剛/弘岡秀明/船越栄次/ 山口文誉・著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:6,400円(税別)

『保険のエンドを極める』

歯科保険治療において、もっとも嫌われている治療の1つが根管治療ではないだろうか?大臼歯はみえない、アクセスが悪い、唾液まみれのなか、何とか防湿してやっている先生も多いであろうと想像して難くない。 昔の筆者もそういった歯科医師の1人であったが、ラバーダムをルーティンに装着し、マイクロスコープ下で無菌的な治療が行えるようになると、根管治療におけるストレスは激減した。 当院も保険で無菌的な根管治療を行っている医院の1つである。牛窪先生が提唱されるエビデンスベースドで、ベーシックであるが、普遍的な治療をシステマティックに行うことにより、根管治療においては一般医であっても、専門医に近い治療成績を得ることができることは驚きであった。本書に掲載された症例は、すべて勤務されている歯科医師によって保険内で治療されたものであり、われわれ臨床医が日々遭遇する問題を抱えているものである。その多くは特別に専門医にしか治せないものではなく、われわれも対応が可能であることが多い。 ここに書かれている知識により、8~9割の根管治療は一般医によって治療可能ではないだろうか。しかし、やはり残りの1~2割のケースは、著しい根管内部の破壊、器具の破折によるアクセス不可、歯内-歯周複合病変により根尖まで歯周組織が破壊されているものなど、さまざまな原因で一般医が手をださないほうがよいケースもある。 “保険のエンドを極める”とはよい言葉である。裏を返せば、保険医で根管治療専門医でないものはこれ以上を望む必要がない。己の限界点を決めておき、保険内での根管治療を極めてほしい。とくに診断を磨いていただきたい。リスクの高い、難易度の高い症例は、近隣の根管治療専門医と連携できる体制を整えておかれることをおすすめする。そのことで、先生のストレスを減らし、患者の過大な期待を抱え込む必要がなくなる。われわれも保険のエンドを頑張ることで、患者には十分に感謝され、他院との差別化が図れることを経験している。 明日からの根管治療を変えることのできる情報が満載で、平易な文章で書かれているため、一気に読めてしまう。本書はビギナーからベテランにまで幅広くおすすめできる書である。 評者:大月基弘 (大阪府・DUO specialists dental clinic) 牛窪敏博・編著 牛窪建介/髙井駿佑/峯田茉里/ 矢野芳美・著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:6,000円(税別)

別冊歯科衛生士『歯ブラシ処方箋』

日本中の誰もが知りたかった歯ブラシ処方の本である。 ベテランの歯科衛生士のなかには「歯ブラシなんて何でもよい」と思っている人がいる。しかし、そんな歯科衛生士も薄い歯肉やブヨブヨした歯肉に会ったときは、知らず知らずにその患者さんに合った歯ブラシを選んでいるか、歯ブラシの当て方や力具合を調整して目的を達成しているはずである。また、多くの歯科医師や歯科衛生士は、たまたま何かの機会で入手した歯ブラシを、他にももっとよい歯ブラシがあるかもしれないと多少の不安をもちながら患者さんにすすめているのではないだろうか。歯科医療関係者に限らず、誰もが自分にとって最適な歯ブラシを知りたいと思っているのではないだろうか。そんな疑問を解決してくれる本がこの『歯ブラシ処方箋』である。 処方のすすめ方をみると、患者さんの歯肉の厚さをフローチャートの早い段階にもってきているのはさすがだ。この処方箋がかなり用意周到な準備のうえで導きだされた処方なのだということがわかる。症例をみていると1900年代のものも多くみられる。金子先生はじめ綾の会のメンバーは、30年以上前から歯ブラシの毛の太さや長さや植毛の仕方が歯ブラシの硬さ、やわらかさに及ぼす影響等を調査研究して、互いの症例報告を通じて歯ブラシの選択の適否をディスカッションしてきた。その長年の結晶がこの本を生んだのだと思われる。また、ブラッシングが単にプラークをコントロールしているというだけに留まらず、歯肉の素晴らしさに驚かされる。歯肉の退縮や炎症を改善し、丈夫な鍛えられた歯肉になっている。歯ブラシのもう1つの役割はマッサージ効果である、それにより細菌を寄せ付けない丈夫な鍛えられた歯肉は歯周治療のゴールの形であると思われる。この本はそういった意味でも大きな示唆を与えてくれた。 さらに、この本の巻末には、日本中の歯ブラシの特徴性状が、著者らが考えた歯肉の状態による分類付きでまとめて載っているし、出版社のウェブサイトにアクセスする「歯ブラシ処方箋出力サービス」も受けられる。いま愛好している歯ブラシがこの表に照らしたときにどんな分類に属するものなのかを知ることができるし、患者さんに歯ブラシをだすときにも、1つの根拠を基に選択したということを知ってもらえる大きなメリットもある。 評者:谷口威夫 (長野県・谷口歯科医院) 金子 至・監修 金子 至/金子 智/橋爪由美子/ 福田修二/飯島優香/市川美由紀/ 伊藤美穂/稲原有妙子/金子 創/ 木下優子/小林あかね/坂間由希子/ 関根菜々子/長田芳野/中山 葵/ 藤澤夏奈/堀江順子/栁澤陽華・著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:5,500円(税別) (ザ・クインテッセンス2019年3月号 QUINT SHORT LIBRARYより)