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コラム

清水百合の歯科治癒食育学3 離乳食や矯正治療中のための「Dentalスムージー soup®」

清水百合の歯科治癒食育学3 離乳食や矯正治療中のための「Dentalスムージー soup®」
清水百合の歯科治癒食育学3 離乳食や矯正治療中のための「Dentalスムージー soup®」

「歯科治癒食」を実践する

いよいよ4月ですね。 お元気ですか? 少し前になりますが大阪で、今年の第1回目の[Dentalスムージーsoup®コーディネーター特別養成講座]が和やかに開催されました(図1)。 当日のテーマは、 ①K:幼児、小児のためのメディカルdetoxハーブ水 ②I:免疫力アップ、高栄養のためのDentalスムージーsoup® ③D:ドライマウスのためのDentalスムージーsoup® の3つでした。 歯科疾患のそれぞれの症状や対策、関連の全身疾患、抗原抗体反応や血液のこと、食として考えなければならないこと、栄養面、レシピで用いる食材のことなどを座学で学び、その後、[歯科治癒食]のドリンク版の「Dentalスムージーsoup®」と、「メディカルdetoxハーブ水」から3種類(図1)、漢方茶1種類(図5参照)の調理実習をしました。 少人数で、前回(図2下)の復習もしながら、新しい知識や気づきを「歯科と食」の領域だけでなく、患者様にどう伝えたらいいか、院長先生との関係、仕事をよりスムーズにこなせるための職場環境作りやコミュニケーションの話なども交えて学び、関西の歯科衛生士さん達にとって大変有意義な時間となりました。 [Dentalスムージーsoup®コーディネーター特別養成講座]は、「とても楽しく学べて、院内で活用している。通常業務だけでなく、やり甲斐を感じながら自分にできる事が増えた」と人気の講座です。 東京では院長先生や他のスタッフさんも参加されています。 「歯科食育」は、日本ではまだまだこれからの分野です。 栄養を考える点滴療法やサプリメント療法などはありますが、日々の食生活を基本とした具体的な歯科のための食育は、現在私の講座でしか行われていません。 ぜひ一度、歯科に携わる皆様には体験していただきたいと思っています。 図1.[Dentalスムージーsoup®コーディネーター特別養成講座]の様子 図2.講座で調理された歯科治癒食 (上)今回のもの (下)前回のもの

胎生期―産まれたばかりの赤ちゃんのお口、栄養摂取は?

母体である母親の食事、栄養状態、体質などから、胎児が大きな影響を受けることは一般的に知られています。 そして、健康で丈夫な赤ちゃんが産まれますように…とお母さんは食事の面でも気をつけていますが、妊娠後の体調変化により、食事ができないことや栄養が偏ってしまう時期もあります。 胎生期には、赤ちゃんの身体が母親のお腹の中で発育成長しています。 その時期に歯のもととなる歯胚や歯茎、顎骨など、口腔に関する部分も、全身の発育成長と同様にできあがっていくことは、前回にで少しふれました。 そのできあがった歯胚はのちに産まれた後に歯として萌出してきます。 一番初めに萌出するのは、およそ生後半年ごろの前歯です。 歯が萌えてくると食べ物を噛んで食べるようになっていきます。 では、生後半年ごろまでの、まだ歯がない間はどんな感じでしょう? 赤ちゃんのお口の中は歯茎、軟組織だけで構成されています。 唇や舌はまだ成長した子どものようにさまざまな使い方、機能が働きません。 頬の筋肉も、嚥下力も、赤ちゃんを観察しているとわかるように、あの可愛らしい小さい手も初めは握って開いてとグーパーしているだけ。 日を重ねるごとに全ての部位、器官が発育し細かく動かせるようになり、機能が高まってきます。 胎児期の頃、お母さんのお腹の中で栄養分を得ていた赤ちゃんは、産まれてからは母乳などで栄養摂取します。 個人差があり、母乳を飲みにくい子、飲めない子などもいます。 その場合は「代わりとなる食事、栄養」を摂らなければなりません。 母乳の代りに、人工ミルクや無糖のプレーンヨーグルトなどの乳製品を食べさせることもできます。 また、お母さんの母乳の出かたも人それぞれですので、母乳で育てたいのに少ししか出ない場合などは、お母さんも「母乳が出やすくなる食事」を考慮する必要があります。 赤ちゃんは1歳~1歳半くらいになると、成長とともに「自分で食事をする」ことを覚えなければなりません。 それまで母乳だけの時期、母乳を減らし離乳食を開始する時期、離乳食だけで過ごせるようになる時期などがあります。 離乳食はお口の中や唇などの機能を考慮し、摂食しやすい形や大きさ、状態で調理する必要がありますが、この時期や幼児食の年齢でさまざまな食材を知り、偏りなく野菜や果物、魚や肉、豆などのタンパク質やその他のものも食べられるように工夫できると、その後の素晴らしい身体や食生活習慣ができてきます。 まだ素で多くの食物の味や香りを知らない、ゼロの状態のときからこそできる、やるべきことです。 歯が萌出する前の赤ちゃんは、「歯がないから歯磨きをしなくていい」わけではありません。 歯茎、舌、口腔内全体はやはり清潔に保たれ、正常な水分量がなくてはなりません。 母乳を飲んだり離乳食を食べた後は、前回に書きましたように、カテキンを多く含む水出し緑茶などを飲ませて、糖分が口腔内に残り「哺乳瓶虫歯」になることを防ぐ必要もあります。 図3.「離乳食となる歯科治癒食のDentalスムージーsoup®ホット」の作り方 (バイタミックスブレンダーの場合) 本文 作り方:(1)~(3)参照

離乳食となる「温め」を意識したホットスムージー

[Dentalスムージーsoup®]はこれまでの記事でもわかるように、噛んで飲んでのドリンクです。 摂食、嚥下、咬む力などの総合力、そのときの患者様の状態に合わせてスムージーsoupのかたさや具の形状を変化させ、「噛んで食べながら飲むもの」、「さらっと飲めるもの」など、同じ材料であっても異なった調理法で、適したスムージーsoupを作っていきます。 離乳食や矯正中の食べやすい食事となりますが、離乳食のときは赤ちゃんが冷えないように「温め」を意識したホットスムージーにしていきます。

― 今月のレシピ ―

「離乳食となる歯科治癒食のDentalスムージーsoup®ホット」(図3) ~ビタミン補給&おなかに優しいリゾット風スムージー 材料(一人分): トマト小  1/2個、 カブ小   1/4個、 赤パプリカ 1/12個、 白菜    1枚、 ご飯適量、 豆腐    10g、 バター   1g、 無糖プレーンヨーグルト、 水適量 図4.バイタミックスブレンダーと筆者 図5.漢方茶(黒豆をベースとしたもの)

作り方:

(1)ご飯をやわらかめに炊く。 (2)鍋に水と(1)を入れ、トマト、カブ、白菜を茹で、豆腐も一緒に鍋に入れる。 これらの食材を多めに調理する場合は、ブレンダーに入れる食材は6cm角で可なので、切る作業、手間も省け、時間短縮できる。 (3)ブレンダーに(2)の茹で汁少量、ヨーグルト、バター、(2)の具材の順に入れ、滑らかになるまで撹拌する(今回のブレンダーを使用した場合、瞬時にどろっとした状態になる)。 ------------------------------------------------------------ 今回からは、歯科医院でもお使いいただける業務用バイタミックスブレンダー「バイタプレップ3」を用いて調理していきます。 ご家庭用のミキサーでも作れますが、こちらは馬力があるため仕上がりがよりまろやかであったり、作業時間が短縮できます。 また、撹拌によって生じる熱が少なく、栄養価の減少をおさえることができます。 加えて、熱い食材をすぐに撹拌することができるなど、優れた機能をもったブレンダーです。 歯科食育セミナー(Dentalスムージーsoup®コーディネーター特別養成講座など)でも用い(図4)、受講生の皆様に体験いただいています。

〈一口MEMO〉

この料理ではトマトは加熱粉砕され、また、バター(脂質)を入れることで、トマトの栄養素が体内に吸収されやすくなっています。 野生味が強い夏のトマトや苦味成分のあるパプリカは、子どもにとってくせが強そうであれば少量に減らして調理します。
(今回の記事は小児歯科臨床2017年4月号からの出典になります。)


協力:月刊「小児歯科臨床」



関連書籍:「忙しいあなたのための歯科治癒食」

著者清水百合

歯科医師
料理食育研究家
健康医療認定医

略歴
  • 日本元気キレイ医歯学研究所代表
  • 日本健康医療学会常任幹事・食育委員会委員長
  • 六本木しみず歯科/B・ホワイトサロン院長

大学主催の講演、歯科医院内研修、衛生士、医療従事者へのセミナー研修だけでなく、一般上場企業での食育研修講演や料理教室の開設、運営に携わる。
また企業コンサルティング、食品やコスメの商品開発、関連図書の監修、執筆も多い。
テレビ朝日「中居正広のミになる図書館」ほかメディア出演多数。


清水百合

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