アンデルセン童話の中に、「裸の王様」という物語があります。 王様は豪華な服を着て街をパレードします。 実は何も着ていないのですが、家来たちや街の群衆は気が付かないふりをします。 ところが小さな子供に「あ、あの王様は裸じゃないか!」と指摘されてしまいます。 皆が恐れ多くて本当のことを言えない中で、その子供は正直に声に出したのでした。 先日、朝の朝礼でこんな話をされた方がいました。 「偉い人はかわいそうだと思います。なぜなら、人から叱られなくなるから、自分のことを忠告してくれる人が回りにいなくなるから。だからこそ、謙虚な気持ちを持ち続けたいですね。」 私たちの身の回りでもよく見かけることがある光景ですね。 社会においてもよくあることでしょう。 自分にとって都合の良いことを言ってくれる人だけを回りにおき、都合の悪い話には聞を耳を持たない。 まさに裸の王様そのものになってしまうのです。 いいことだけを知らされて、本当のことを知らされないということは、なんて悲しくみじめなのでしょう。
独特な歯科の世界(別の世界で学んだこと)
私たち歯科衛生士は常にドクターからの指示に従うことが多いものです。 特に歯科の世界はとても狭く、隣の畑が見えない環境です。 開業医となると、病院の院長の指示がそのまま直に指令になりがちです。 上の者は現場スタッフの声に耳を傾け、それを生かして考えていかないとなりません。 上司が勝手に物事を決めてそれを皆に従わせようとすると、信頼を得ることもできません。 そして、歯科衛生士がすぐに辞めてしまう環境を自ら作ってしまうのです。 私は以前、社会勉強のために、なんと某携帯電話会社に勤務したことがありました。 歯科の世界では「阿部田先生」と呼ばれることもありますが、この世界では私が何をしている人かなんて、誰も知りません。 コピーの取り方一つ知らない人です。 何もかも1からです。 会社というところは組織で成り立っており、何か取決めごとがあると、必ず会議にかかり、そして皆の意見を取り入れながら進んでいくのです。 個人情報も厳重に守られています。 歯科の世界が狭いことや世間とはかけ離れた常識であることもよくわかりました。 病院という場所では、患者さんが怒鳴りながらのクレームというのも少ないですし、ドクターは患者さんにとっては「偉い人」のイメージがあります。 しかしながら、携帯会社ではそうはいきません。 少しのことでもすぐにクレームになりがちです。 歯科では体験できないような、お客様の要望やご意見への対応、礼儀作法なども大変勉強になりました。 3年勤務した後(石の上にも3年です!)多くの物を得て、私はまた歯科の世界へ戻っていきました。
初心忘るべからず
歯科衛生士になって33年になりますが、私も時として忠告を受けることもあります。 「この歳になって、そんなこと言われるなんて!」と思うこともあるかもしれませんが、 そのようなご意見や忠告は自分にとって大変貴重なものとなります。 初心を忘れないように、これからも真摯に受け止めていこうと思います。 ところでこれを読んでいらっしゃる皆様、今ちゃんと服を着ていますか? 実は着ていないのかもしれませんよ。 はっくしょん!
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