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~歯科医療従事者のためのデジタル活用指南~

コラム

新・AppleのすすめVol2.
~歯科医療従事者のためのデジタル活用指南~

新・AppleのすすめVol2.<br>~歯科医療従事者のためのデジタル活用指南~
新・AppleのすすめVol2.
~歯科医療従事者のためのデジタル活用指南~
前回、使いにくいデジタル器機を触って、苦手意識ができてしまった人に、Appleデバイスをお勧めしますと書きました。
歴史を紐解けば、その理由が分っていただけると思います。

▼なぜAppleなのか?

Apple Computer Inc.は、1976年にSteve JobsとSteve Wozniakの二人によって設立されました。 当時のコンピューターは、政府や軍、大企業で使われているだけで、個人が扱えるモノではありませんでした。 二人は、コンピューターは単なる計算機ではなく、人々の可能性を広げる道具だと考え、誰もがコンピューターを所有し、使いこなせる社会の実現を目指して、会社を設立しました。 そこで、世界初のパーソナルコンピューター(PC)、Apple Ⅰの製造販売を始めました。(画像1) Apple Ⅰを開発したのはWozniakで、Jobsではありません。 Jobsは、エンジニアでもなければ、プログラマーでもありません。 つまり、Steve Jobsは、デジタルな人ではなく、アナログな人でした。 しかし、彼は物事の本質を見抜くことができました。 Apple Ⅰを進化させたApple Ⅱは爆発的に売れましたが、コンピューター言語が使える専門家にしか扱えないものでした。(画像2) そこで、1984年、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)とマウスを搭載したPC、Macintosh(Mac)を発表しました。(画像3) マウスで操作できるようにすれば、専門家以外にもPCが広がるとJobsは考えたわけです。 Macはハードとソフトを調和させながら開発されており、誰にでも扱いやすく、人々の創造力をかきたててくれます。

▼WinとMacの違い

Windows(Win)は、Macと似て非なるものです。 Macは人の可能性を解放するために作りだされたコンピューターなので、ビジョンを実現するために必要なスペックが与えられており、処理能力の差はありますが、どのMacでも同じことができます。 それに対して、Winは、仕事の内容に合わせて、組み上げるPCです。 Macのコンセプトは素晴らしいのですが、Appleの独占であり、高価格すぎて、すべての人の手に届くモノではありませんでした。 そこで、Microsoftは、AppleからMacの試作機を借り、Macを模倣して作ったのがWinです。 そして、多くの企業と協業することによって、大量生産し、様々な価格の製品を揃え、多くの人がPCを扱えるようにしました。 しかし、WinはビジョンそのものもMacをパクっており、独自性がなく、扱いやすいPCではありませんでした。

▼Steve Jobsの挫折

Macを発売した翌年(1985年)に、JobsはApple社内で孤立し、追放されました。 ここから、Appleは低迷し、Winが力をつけてゆき、Windows95でPC市場を手中に収めることになりました。 その間、JobsはNeXT社を創業し、Macに負けないPCの開発を続けていましたが、ハードの性能を追求するあまり、価格が高騰し、商業的に成功しませんでした。(画像4) 1997年、自社で新しいOSの開発が出来なくなったAppleは、JobsのNeXT社のOSを次期OSに採用することを決め、JobsはAppleに復帰することになりました。 (mac OS Xは、JobsのNeXTなのです。) Jobsは、NeXT社以外にもう一つ会社を持っていました。 1995年に「トイストーリー」をヒットさせたアニメ製作会社ピクサーです。 トイストーリーのヒットを受けて、Jobsは学びました。 「大事なのは技術ではなく、それを使って何を生み出すことができるのかだ。技術は短期間で廃れるが、生み出された物語は何十年、何百年と受け継がれていく。私がしたかったことは、性能のよいコンピューターを作ることではなく、コンピューターを使って、感動を巻き起こすことなのだ。」と。 このビジョンのもと、Jobsが復帰したAppleは生まれかわり、この時から皆さんがご存じのAppleの快進撃が始まります。 Apple はデジタル技術を使い、いく度となく私たちの暮らしぶりを変えてきました。 Macはマウスを使うことによって、パソコンの使い方を根本から変えました。 iPodは音楽の聴き方だけでなく、音楽業界をも一変させました。 iPhone・iPadは我々をパソコンの前から解放し、いつでもどこでも情報が得られるようになり、そして自ら情報を発信できるようになりました。 インターネットが普及している今となっては、スマートフォンのない生活は考えられないと思います。(画像5) Macに対するWinのように、iPhoneに対してAndroid端末が登場しました。 Mac、iPhone・iPadのシェアーは、ともに10%ほどです。 しかし、Appleは、PCとスマートフォンの両方において、ハードとソフトを作っている唯一の会社であり、ユーザーがどのように使うのかを熟考し、ハードとソフトを調和させながら作り上げることによって、絶妙な使い心地を実現しています。 そして、クラウドサービス「iCloud (アイクラウド)」によって、Appleデバイスが有機的に連動します。(画像6) iCloudは一度設定すれば、同じApple IDが設定されているすべてのデバイスに自動的に写真などの各種データが転送され、どのデバイスからも同じ内容を見ることができます。 また、中断した作業もどのデバイスからでも続けることができます。 iPhoneを単独で使っている人をよく見かけます。 デジタルに苦手意識を持ってしまっていて、iPhoneを電話として使っておられるのだと思います。 デジタルではなくアナログなSteve Jobsが人の創造力を刺激し我々の可能性を引き出すために作り出したAppleデバイスなら、デジタルに苦手意識を持っているあなたにでも使いこなせるはずです。 iPhoneは主に情報収集するインターネット閲覧用ツールとしての活用が多いと思います。 そして、思いついたことをすばやく書きとめたり、写真として情報を残すことができます。 しかし、原稿や文章を書いたり、プレゼンを作ったりするなどの創作活動には、Macの方が向いています。 Macにはユーザーをその気にさせるさまざまな仕掛けが施されています。 たとえば、フワッと画面に浮かび上がる半透明のウィンドウ、 ウィンドウがまるで生きているかのように滑らかに動くジェニーエフェクト(Dock にしまう動作)やエクスポゼ(ウィンドウを整理して表示する機能) などがあります。 これらの格好よく演出された機能はただ便利なだけでなく、それらを使ってる自分の仕事がスマートに思えてきて、気分がノってきます。 そして、ユーザーをその気にさせるもう一つの仕掛けが、柔軟性をもたせつつ、最終形を提示する手法です。(画像7) 最終形がイメージでき、その結果に満足している自分の姿が想像できれば、仕事が楽しくなり、創造力が最大限に発揮できます。 iPhone、iPadを使用することで、Inspiration(ひらめき)を逃さずキャッチし、それをMacで形にCreate(創造)することができるのです。 ※Apple、Appleのロゴ、Mac、iPod、iPhone、iPad、iPad Pro、iMac、MacBook Pro、Apple Pencilは、米国および他国のApple Inc.の登録商標または商標です。 iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。 iCloudは、Apple Inc.のサービスマークです。

著者窪田 努

歯科医師

略歴
  • 1990年 大阪歯科大学卒業
  • 1993年 京都市左京区にて開業
    Macをはじめて購入、以来Appleユーザ
  • 2003年 京都SJCD会長(2期4年)
  • 2008年 大阪SJCDレギュラーコースインストラクター(4期)
  • 2013年 ザ・クインテッセンス連載
    「歯科医院のためのDental Digital Communication実践方法」
    「歯科医師のためのKeynoteプレゼンテーション講座」
    クインテッセンス出版
    「Professional Dentistry」発刊(共著)
  • 2014年 歯科医療従事者向け「Mac Technical Course」
  • 2016年 ザ・クインテッセンス連載
    「Digital Dentistry時代に見直したい歯冠修復治療」
  • 2017年 新聞クイント連載
    「Appleのすすめ」
    ドイツ・ケルンで開催されるIDS(International Dental Show)にて
    「MR(Mixed Reality)による歯科治療シミュレーションシステム」を発表

クボタ歯科 ホームページ
http://www.kubota-dental.com/
Mac Technical Course
https://www.dental-isight.com/detail

窪田 努

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