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日本の小児の齲蝕減少の歴史 その1

2021/9/27 デンタル〇〇デザイン

これは、某県の1970年の広報誌である。



ランドセルを担いでいることから小学校1年生だろう。
ところで一番右の小児の口元を見ていただきたい。
ランパントカリエスで前歯部が真っ黒である。
これは、現在では使えない写真である。
しかしこの頃は、これが当たり前の時代だったのだろう。


さて1970年代は、小児の齲蝕が多く"乳歯齲蝕の洪水"と言われた時代があった。
高度経済成長の時代、齲蝕予防に対する知識がないまま、甘いお菓子に子守をさせていた。
幼児は常にドロップを口に入れ、小学生は学校帰りに自動販売機でジュースを買い飲んでいる光景を頻繁に目にした。
筆者は1972年の入学であるが、母校の小児歯科では、診療の開始まで4年待ちという状態であった。
この様な背景があり小児歯科を志した。


これは1970年代後半に撮影した4歳児の1枚の写真である。



当時、大学の小児歯科では毎日のように、このような初診患者が訪れていた。
初診は、3~4歳児が中心だった。
最も頻繁に行った処置は、乳臼歯部は、生活歯髄切断法を行い乳歯冠のセット。
これを1ブロックずつ行うので臼歯部の処置は4回で終了。
乳前歯部は、サフォライド塗布か抜歯を行うというものであった。



若手の歯科医師や歯科衛生士は、"乳歯齲蝕の洪水"といっても、にわかに信じられないだろう。


さて現在は、小児の大多数がカリエスフリーである。
しかし、齲蝕は一気に減ったのではない。
そこには環境の変化が存在し、一定の順序があるように思われる。


そこで、おおまかに乳歯齲蝕の減少の経過についてタイプA~Eに分けてみた。



タイプA:乳前歯部の残根・乳臼歯部の多数歯の重症齲蝕
タイプB:乳前歯部の齲蝕軽症化・隣接面中心・乳臼歯部の多数歯の重症齲蝕
タイプC:乳前歯部の齲蝕減少・初発は乳臼歯部の咬合面齲蝕
タイプD:乳前歯部の齲蝕なし・初発は乳臼歯部の隣接面齲蝕
タイプE:乳前歯・乳臼歯ともに齲蝕なし

このような経過を通り小児の齲蝕は減少したと考えている。
そこで次回から、乳歯齲蝕の減少の歴史、そして当時感じていたことについて述べることにする。