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2020年3月のピックアップ書籍

2020/2/28 歯科NEWS

別冊the Quintessence YEARBOOK 2020
『人生100年時代の予防・メインテナンス』

評者:渡辺 勝 (埼玉県・わたなべ歯科) 筆頭監著者の伊藤先生は、一般開業医でありながら、つねに時間軸で患者の記録を取り、その治療効果なども文献と照らし合わせて検証されている。そんな監著者が人生100年時代のとき、われわれ歯科医療従事者に、何を考え、何をすべきか?をさまざまな年代別、シーン別の専門家でまとめられた本書は、すべての歯科医療従事者に読んでほしい1冊である。どうしても自分の好きな分野、得意な分野のセミナーに偏りがちであるが、このようにすべての年代別にまとめてあると、読者にも新しい発見が多々あると考えられる。評者も、泉先生の提唱する検知液の使い方、そして注意事項、山﨑先生の失活歯へのさまざまな修復方法に関しても、改めて臨床現場を振り返るよい機会となった。またインプラントなどは、すべて委託している背景もあり、大月先生の書かれているテーマなどは非常に興味深く読ませていただいた。これらの各論だけでなく、あらゆる年代別に時系列でのドキュメンテーションを伊藤先生が総論としてまとめられているので、非常に読みやすく構成されたお勧めの1冊である。 評者:奥山洋実 (東京都・歯科衛生士) 「予防歯科」という言葉がどこの歯科医院でも謳われるようになり、メインテナンスを受ける患者が多く来院するようになったと近年感じている。そしてそのメインテナンスの担い手はわれわれ歯科衛生士である。健康なときからかかわることができ、また生涯にわたって患者の健康をサポートできる職業は歯科衛生士以外にない。 しかし、メインテナンス時に具体的に歯科衛生士として何をすべきか、患者の何をみたらよいのか、どんな対応をしたらよいのか、日々の臨床のなかで悩む歯科衛生士も多いと感じている。 本書は総論から「メインテナンスを通じて宿主と常在細菌の調和を守り続けること」と歯科衛生士の役割が明確に書かれている。さらにライフステージごとに何をチェックすべきか具体的な臨床症例とともに示されており理解しやすい。予防・メインテナンスに悩む歯科衛生士のよき相談役になってくれる書である。この書とともに患者の生涯の健康を守り育てる歯科衛生士が増えていくことを願ってやまない。 伊藤 中/小泉美樹/吉備政仁・監著 相田 潤/飯島勝矢/泉 英之/ 井上裕子/大月基弘/久保至誠/ 小谷泰子/児玉実穂/佐々生康宏/ 須貝昭弘/高橋 治/田中友規/ 矢谷博文/山﨑 治/山田 翔/ 米永一理/和田誠大・著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:6,400円(税別)

『攻めのクラウン・ブリッジS Shape Profileの臨床』

"攻める"ことによって"護る"歯科臨床の実践!歯科治療の目的として、機能性の回復とともに審美性の回復およびその向上が挙げられる。これに加えて、良好な予後を得ることは、術者としてはもちろん患者自らが望むところである。痛みを含めた病的状態を改善することはもちろんであるが、治療を行った結果が長期的に持続する、すなわちlongevityを獲得することが重要であり、そのために行われているのが歯科治療のはずである。そのためにも、歯科医師としては、疾患が再発しないような口腔内環境を整えるとともに、患者の口腔内に対する意識を向上させ、メインテナンスが確実に行えるように導く必要がある。もちろん、メインテナンスが確実に行えるような補綴装置の生物学的に合致(biocompatible)したデザインは不可欠となる。 歯冠修復物は、失われた硬組織を補うものであるとともに、周囲軟組織との適合性を良好にすることが求められる。とくに、補綴装置のマージン形態およびその設置位置に関しては、これまで多くの議論があった。しかし、これらの議論の多くが経験に基づいた結論であることが多く、科学的な根拠に基づいた治療術式に至るものではなかった。もちろん、治療技術に関しては、それなりの経験あるいは年月が不可欠ではあるものの、めざすべき指標を科学的根拠に基づいて示すことが、技術の獲得のためにも必須となるはずである。 本書においては、著者の卓越した臨床手技はもちろんであるが、そのベースとなる科学的根拠が明確に示されているところから、単なる症例の閲覧にとどまるところなく"理解"あるいは"納得"するとともに、"学び"を得ることができる内容となっている。とくに、症例のほとんどが長期にわたるものであり、著者がめざしたエンドポイントがどのようにして獲得できており、それが継続しているのかが明確に示されていることが特筆すべき点であろう。著者が求める良好な予後の根拠となる参考文献も十分に紹介されており、要約も付記されているところから、とくに若手の臨床医には文献を紐解くための指標となることであろう。歯科臨床における"攻める"姿勢はきわめて魅力的であり、その背景にあるのはまさに著者が長期的に良好な予後をめざした臨床医としてもち続けている患者本位の治療を行うという信念であろう。 評者:宮崎真至 (日本大学歯学部保存学教室修復学講座) 行田克則・著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:19,000円(税別)

『切る 縫う 結ぶ ビジュアルで学ぶ 歯周外科手術の原点』

卒前教育において学生は、臨床基礎実習で歯周外科治療に必要な基本的な切開・縫合法を、模型上での実践をとおして学んでいる。しかし、実際に臨床で行う場合、模型とのさまざまな違いにとまどうことが多い。また、ある程度、歯周外科治療の経験を積んだうえで、新たな術式にチャレンジする場合、「ここは何を使って、どのように切開すればよいのか」、「縫合糸はどれを選択し、どの縫合法を選択すればよいのか」などの疑問が生じてくる。 本書は、タイトルにあるとおり、切開と縫合に焦点をあてて詳細に解説している。「Chapter01 切る」では、切開に用いる器具、切開の基本や血流を意識した手技について記載されている。「Chapter02 縫う」では、縫合の目的、縫合糸や針の種類、各種縫合法が紹介されている。「Chapter03 結ぶ」は、結紮の目的と、各種縫合に必要なさまざまな結紮法を提示している。歯周外科治療を初めて行う場合だけではなく、よりアドバンスな治療にステップアップする際によいガイドとなる。 初学者は、たとえば連続縫合の場合、何となく理解できても、いざ実践するとなると、最初の刺入をどこにして、針をどのように進めて、最終的にはどう結紮するのか迷うこともあろう。本書は、豊富な画像やイラストを使用し、他書ではさらっと書いてある部分についても、まさに行間を埋めるような詳細な解説がある。この解説は、著者の豊富な実践経験に基づいたものだろうが、それだけではなく、文献的な根拠も示されている。もっとも重要な「なぜ、そうするのか」という目的が明確にされているので、それを達成するための手技の考え方もスッと頭に入りやすい。さらに随所に「Kotaro's view」として、要点・注意点が示されており、あたかも著者がそばにいて、アドバイスを受けているようである。 巻末には、著者が実際に使用したうえで、推奨する器具が紹介されている。読者が器具を購入する際に、参考になるであろう。ただし、同じ器具を使ったからといって、著者の卓越した技術の域にすぐに到達できるはずもなく、地道な修練を重ねる必要があるのはいうまでもない。 評者自身も本書を手にするまで知らなかった内容も多く、大変勉強になった。ちなみに、「はじめに」で紹介されていたスペインの料理教室に、いつの日か参加してみたいと思った。「料理も外科手術も相通じるものがある」とは、巨匠(著者)のことばである。 評者:齋藤 淳 (東京歯科大学歯周病学講座) 中田光太郎・著 クインテッセンス出版 問合先 :03‐5842‐2272(営業部) 定価本体:6,000円(税別)