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コラム

モリタがペット事業に参入。 立ち上げた思いと未来の展望について熱く語る!

モリタがペット事業に参入。 立ち上げた思いと未来の展望について熱く語る!
モリタがペット事業に参入。 立ち上げた思いと未来の展望について熱く語る!
新規事業提案制度から生まれたモリタの新事業「ペット事業」。今回は、同事業の立ち上げを務めた畠山康彦氏と、歯科衛生士であり、ペットオーナーでもある大石裕子衛生士・萬田久美子衛生士に、新事業の目的や今後の展望、ペットオーナーとして新事業に期待することなどについて、ディスカッションが行われました。

歯科衛生士 大石 裕子/株式会社モリタ 新規事業開発担当 畠山 康彦/歯科衛生士 萬田 久美子

“ワンヘルス”の概念をテーマに、動物病院市場に参入

萬田:モリタで新しくペット事業を始められたとのことですが、具体的にどんな事業なのか、立ち上げの経緯も合わせて教えてください。 畠山:動物病院を対象に、モリタが取り扱う歯科器材や情報を販売する事業です。人や動物の健康とそれを取り巻く環境を包括的に捉え、関連する人獣共通感染症などの分野横断的な課題に対し、関係者が連携して解決に取り組む「ワンヘルス」の概念をテーマに、事業を展開しています。立ち上げの経緯については、弊社が2022年から導入している新規事業の提案制度を使って、ある社員が動物病院市場への参入を提案し、そこからスタートしました。 大石:提案された方はどうして動物市場への参入を思いつかれたのでしょう。 畠山:仕事を通して知り合った動物病院の先生から、動物の歯科治療に関する相談を受けていたようです。「多くの獣医は歯科に関する情報や器材を十分に持ち合わせていない。だから、モリタのような会社がそうしたサービスを開始してくれたら有り難いし、助かる動物がたくさんいる」と言われ、これはもうやるしかないと。 萬田:確かにそれはやるしかないですね(笑)。実際、動物病院に向けてどんな商品を販売しているのですか。 畠山:販売に関しては、人間用は厚生労働省、動物用は農林水産省と、認可の申請先が違うので、販売できる商品がまだまだ少ないというのが現状です。可搬式ユニットなど、人間用のものを動物用に仕様変更してすでに認可を受け、販売している商品もあります。 大石:人間用の可搬式ユニットと動物用の可搬式ユニットではどこが違うんですか。 畠山:動物用は出力が強く、温水が出るようになっています。動物の処置には全身麻酔をするケースが多く、体温の低下を防ぎ、麻酔から早く覚醒するよう温水が出る仕様なんですね。今後も、既存の商品の中から動物に応用できるものがあれば、申請をし直して販売していく予定です。

商品の開発・販売だけでなく、使い方の指導にも取り組んでいく

大石:私のワンちゃんが受診している動物病院では、私たちが歯科医院で使っているものとは色が異なる動物用の超音波スケーラーを使用されていました。仕様にどのような違いがあったのかは分からないのですが、私たちはそうした器材の使い方を歯科衛生士の視点で見てしまうので、器材の販売だけでなく、その使い方まで指導をしてもらえたらいいなと思います。 畠山:そうですね。今の日本では、獣医学部の教育の中では歯科のカリキュラムは限定的で、歯科治療に本格的に取り組む動物病院が少ないんです。日本には動物病院が1万2,000軒ほどありますが、その中で歯科を標榜しているのは2,000軒にも満たないと聞きました。そうした状況でありながら、ペットオーナーからのニーズは年々高まっています。ですから、より多くの動物病院に歯科治療に取り組んでもらえるよう商品や知識、情報を一日も早く充実させたいと思っています。 萬田:確かに、歯科を標榜している動物病院ってあまりないですよね。歯科への啓蒙も少ないように思います。 大石:噛まれるリスクもありますし、すすんで歯を診てくれる先生は少ないですよね。知識の量や深さも先生によって違いますし、ある病院では「心配することはない」と言われたのに、別の病院では「抜歯が必要だ」と言われたりすることもあります。犬は、人間と比べると歯を残すのが難しく、歯科専門医ではない場合は、自然に脱落するのを待つか、または、抜歯の処置になる可能性が高いように思います。 畠山:一昔前のペットの歯科治療はそれが現実だったようですね。 萬田:モリタの新事業を通して歯科に意識が向いた獣医さんが増えれば、犬の歯周病の罹患率も下がるし、健康寿命も長くなってオーナーも幸せになれますよね。うちのワンちゃんが通っているトリミングサロンでは、トリミング後のチェック項目に、「プラークがついていないか」という項目があるんです。このように、トリミングサロンも巻き込んで事業を展開すれば、オーナー側の歯科への意識もより高くなるのではないでしょうか。 畠山:確かにそうですね。検討してみます。

獣医師だけでなく、ペットオーナーにも伝えたい口腔ケアの重要性

畠山:とにかく今は歯科の商品も情報も不足しているので、現場の先生方のニーズを汲み取りながら、それに沿ったサービスを提供していくことがこの事業の使命であり、これからの課題だと思っています。それができればペットのQOLも向上するでしょうし、結果的に救える命が増えれば事業の価値も高まるはずです。歯科医院6万7,000軒に対し動物病院は1万2,000軒と、市場規模はそれほど大きくありませんが、目の前に困っている人がいれば市場規模に関わらず、解決のために動いていくというのが当社のポリシー。獣医の先生方が安心して歯科治療に取り組める環境をつくるため、私たちも引き続き努力していくつもりです。 大石:私も先日出演させていただきましたが、動物の口腔ケアの重要性を伝えるYouTubeチャンネルも開設されましたよね。 畠山:そうなんです。大石さんや萬田さんのお力も借りながら、今後はYouTubeチャンネルを通して、ペットオーナーの皆さんにも口腔ケアの重要性を伝えていきたいと思っています。関係するすべての人が重要性を理解してくれれば、市場の活性化にもつながりますから。 インタビュイー 大石 裕子(歯科衛生士)/ 畠山 康彦(株式会社モリタ 新規事業開発担当)/ 萬田 久美子(歯科衛生士)

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