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ウイズコロナの時代と対策 その15 線毛細胞の働きと温度

ウイズコロナの時代と対策 その15 線毛細胞の働きと温度
ウイズコロナの時代と対策 その15 線毛細胞の働きと温度
最近、新型コロナウイルスの感染拡大が急速に広がっている。
その理由の一つとして、冬の気温と湿度が関係していると考えられる。

ヒトの体には、さまざまな防御作用が備わっている。
例えば、鼻腔の線毛細胞。
鼻腔で分泌される粘液が、埃や細菌を捕獲する。
そして、線毛の働きで喉に送られ痰として吐き出す。
またそのまま、飲み込み胃酸で殺菌される。
しかし、線毛の弱点は寒さに弱い。




さて鼻呼吸の場合、吸い込んだ約22℃の空気は中咽頭で約33℃まで上昇する。
これは、鼻腔内の毛細血管により加温されるためだ。
しかし口呼吸では、約28℃までしか上がらない。



線毛細胞の働きを促すためにも鼻呼吸は大切だ。


さて、マスクをして鼻呼吸と口呼吸をした様子をサーモグラフィで撮影した。



実験開始時は、マスクの色は黄色い。
そして吸気時は、低い外気の影響で青くなる。
では呼気時は、どうだろう?
鼻呼吸では、開始時と同様に黄色になる。
一方、口呼吸では赤くなっている。
口呼吸では、体の熱が奪われていることがわかる。
その分、線毛細胞の働きが低下すると考えられる。

昔はよく「体を冷やさないように・・」と言われたものだ。
身体の酵素は、体温36~37℃で最も効率よく働く。
そのため、体温が1℃下がると免疫力が約30%低下するとされる。
低体温は、基礎代謝の低下でもある。
新生児は、血流が良いから体が赤い。
だから"赤ちゃん"という。
一方、歳とともに、白髪や白内障が増える。
これは血流が悪くなるためだ。


さて、首はたくさん動静脈が走っており、外気の影響を受けやすい。
冬にマフラーを巻くのは、喉を暖め線毛の働きを促すためなのだ。
見逃されがちではあるが、首の保温が風邪などの予防につながることがわかる。

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

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