ウイズコロナの時代と対策 その15
線毛細胞の働きと温度
2021/1/14 デンタル〇〇デザイン

最近、新型コロナウイルスの感染拡大が急速に広がっている。 その理由の一つとして、冬の気温と湿度が関係していると考えられる。 ヒトの体には、さまざまな防御作用が備わっている。 例えば、鼻腔の線毛細胞。 鼻腔で分泌される粘液が、埃や細菌を捕獲する。 そして、線毛の働きで喉に送られ痰として吐き出す。 またそのまま、飲み込み胃酸で殺菌される。 しかし、線毛の弱点は寒さに弱い。さて鼻呼吸の場合、吸い込んだ約22℃の空気は中咽頭で約33℃まで上昇する。 これは、鼻腔内の毛細血管により加温されるためだ。 しかし口呼吸では、約28℃までしか上がらない。
線毛細胞の働きを促すためにも鼻呼吸は大切だ。 さて、マスクをして鼻呼吸と口呼吸をした様子をサーモグラフィで撮影した。
実験開始時は、マスクの色は黄色い。 そして吸気時は、低い外気の影響で青くなる。 では呼気時は、どうだろう? 鼻呼吸では、開始時と同様に黄色になる。 一方、口呼吸では赤くなっている。 口呼吸では、体の熱が奪われていることがわかる。 その分、線毛細胞の働きが低下すると考えられる。 昔はよく「体を冷やさないように・・」と言われたものだ。 身体の酵素は、体温36~37℃で最も効率よく働く。 そのため、体温が1℃下がると免疫力が約30%低下するとされる。 低体温は、基礎代謝の低下でもある。 新生児は、血流が良いから体が赤い。 だから"赤ちゃん"という。 一方、歳とともに、白髪や白内障が増える。 これは血流が悪くなるためだ。 さて、首はたくさん動静脈が走っており、外気の影響を受けやすい。 冬にマフラーを巻くのは、喉を暖め線毛の働きを促すためなのだ。 見逃されがちではあるが、首の保温が風邪などの予防につながることがわかる。