Dental Life Design

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第2回:その課題は自分の課題か?
―オンライン診療からBOC―

2020/10/14 デンタル〇〇デザイン

「バイアスが外れると今まで見えていなかった世界が見えてくる」
「バイアスが外れると今まで見えていなかった世界が見えてくる」
ちょっとかっこいいフレーズだなと思って2回言ってしまいましたが、それがどうしたと思われる方も多いだろう。

例えばどういうことか。
ぼくがよく思考のトレーニングに使わせてもらっているのがevaGraphy(エヴァグラフィー)という概念だ。簡単にいうと写真を撮るのだが、どんな写真かというと「日常の違和感」を撮る。有名なところだと医療現場の写真、人工呼吸器の後ろのコードが絡まってぐちゃぐちゃになっている写真。トイレの「流す」ボタンのすぐ横に「緊急呼び出し」ボタンがある写真。

医療現場でコードが絡まっているって実はよくあるんですが(あってはダメだけど)、それが日常になっているとその状況を改善しようと思わない。思わないというか気づいてないので「思えない」というのが正解かもしれない。

皆さんも多目的トイレを利用することがあると思うが、「流す」ボタンが見当たらないって経験があるかもしれない。意外にボタンが多い、間違えて「緊急呼び出し」ボタンを押してしまった人も中にはいるんではないか。ぼくはないけど友人が押してた。押すとどうなる?

もしかしたらまだ、間違って押しちゃうような設計にしてダメだよね~!とデザイナーちょっとちょっとと思っているだけかもしれないが、これが医療現場だとどうなる?

「緊急呼び出し」ボタンが押されると少なくとも誰かが駆けつける。病棟なら通常看護師1人がトイレに駆けつける。「あ、ごめんなさい間違えちゃいました」でその場面は終了だ。終了?本当か?その看護師1人が駆けつけている間に他の患者が急変しているかもしれない。ただでさえ忙しい人手が足りない医療現場に「あ、間違えちゃいました」で看護師1人取られる。これは「ごめんなさい」で済まされるものではないのだ。

間違ってボタンを押してしまった事実、その設計やデザインによって誰かの命が危険にさらされる、かもしれない。「流す」ボタンの近くに「緊急呼び出し」ボタンがある、この一枚の写真から考える。自分はどの立場か。間違って押した本人か?デザイナーか?駆けつけた看護師か?急変している患者か?そんなことを日々考えながら新たな社会課題を見つけている。

さて、そろそろ本題です。今回のテーマは「その社会課題は自分の課題か?」だ。バイアスが外れると世の中に溢れている課題がたくさん見える。見えるとどうなる?解決したくなる。でもちょっと待って。トイレの課題は、歯科医師のぼくが解決する課題なのか?どうだろう、挑戦してもいいかもしれない。でもちょっと待って、やっぱりそれぼくの課題じゃなくない?

大切なことはやり切れるかどうか、そのモチベーションがあるかどうかだ。ぼくは、トイレは毎日利用するけどそこまでのモチベーションはない。「トイレの設計を変えてやる!」と体内から溢れほとばしるアドレナリンはたぶん出ていない。

自分の課題が何か、何に取り掛かろうかと決めるときに参考にしているものが3つある。自分の日常の延長にあるもの。毎日飽きずにやり続けているもの。多分10年後も20年後もやっているだろうなと思うこと。この3つだ。

ぼくは絵を描くのが好きだ。多分じいさんになっても描いていると思う。だから絵を描く周りの課題を見つけて新しい取り組みとして始めてみようと思っています(今思いつきました)。歯医者関係ない!と思われる方もいるかもしれないが関係あるようにやってみます。その方がもっと自分の日常に近づくから。

これまでやってきたことは歯科の遠隔医療、さらにそのコミュニケーション課題を解決するための教育(BOCプロバイダー)。これらもぼくの日常の延長にあるものなのでずっとできる、やり切れる。BOCプロバイダーグループは、口腔ケアに特化した多職種連携コミュニティとして文字どおり日本最大になりました。最近インスタグラム(https://www.instagram.com/bocprovider/)も始めたのでよかったら見てください。