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変わる世界を生き抜く、歯科イノベーションマインドのススメ 第3回:現代美術から学んだコンテクストの重要性―全ての行動に理由をつける―

変わる世界を生き抜く、歯科イノベーションマインドのススメ 第3回:現代美術から学んだコンテクストの重要性―全ての行動に理由をつける―
変わる世界を生き抜く、歯科イノベーションマインドのススメ 第3回:現代美術から学んだコンテクストの重要性―全ての行動に理由をつける―
今回皆さんに伝えたいことは1つだけです。それはツッコミと理由付けです(2つじゃねえか!)。

バイアスを外す、ツッコミながら生きる、自分の課題が見つかる。

こんにちは長縄です。この連載を楽しみにしている皆さんは、日常に溢れている「当たり前」に違和感を抱き、課題として捉え、さらにこのままでは嫌だ!自分もスティーブ・ジョブズになりたい!と思っている頃だと思います。思ってない方もいると思います。この世界にはスティーブ・ジョブスになりたい派とそうでない派の2種類しか存在しません。ぼくは「どちらとも言えない派」です。 固定観念をすてる、当たり前を疑う習慣が身に付いているというのは、言い換えれば世の中のあらゆる事象に対して常にツッコミながら生きているということです。 もう満員電車に戻ってる!マスクの性能誰も気にしてない!車内の広告減りましたね!とか。目に映るもの全てに腹を立てていた中学時代に、それら1つ1つを課題と捉え、怒りの理由を見つけ冷静に鎮めていたら今頃プライベートジェットでシャンパンを飲んでいるのに悔しくて仕方ないです。あなたは自分が取り組む課題を見つけましたか?

なぜやるのか、取り掛かる理由を明確に。

さて、今回のテーマはコンテクスト※です。コンテクストとはなんですか?と100人に聞いたら99人が「ああ、コンテクストといえば現代美術ですな」と答えるあのコンテクストです。※コンテクスト:語句の意味の決定に重要な役割を果たすもの。言語が使用される場面や文章内部の前後のつながり。文脈。コンテキスト。(出典:広辞苑) コンテクストとは、行動の背景にあるストーリーや理由のことです。行動するには明確な理由がいる、なんとなくやってみたではダメです。例えば、あなたが何か新しいことを始めよう!と思った時に必ず「なんで?」と聞いてくるおじさんがいます。しっかり理由を説明しましょう。まず具体的な例を示します。ぼくの話です。 ぼくは画家なので絵を描きます。必ず「なんで?」と聞かれます、歯医者ですからね、絵を描く必要はないですものね。重要なのは回答です。 例えばそこで、「いやぁ絵を描くのが好きなので(ヘラヘラ)」なんてヘラヘラ言った日には「聞くんじゃなかった、時間無駄にした」と苦笑いされるのがオチです。時間を返せ。 これはつまりどういうことか。理由が知りたい、納得したい、理解して腹落ちさせたいという単純な欲求ですね。絵を描くのに理由がいるんですか!と言いたくなりますが理由が必要です。「40歳前のおじさんがなんか絵を描いている」となったら、そこには人を納得させるだけのストーリーや描く理由が必要なのです。「なんとなく好きで絵を描いている40歳のおじさん」は意味がわからなくて気持ち悪いのです。絵を描いているおじさんが気持ち悪いのではなく、その理由がわからないことが気持ち悪いということです。理由を明確にして納得させてあげましょう。

現代美術の解釈特性

現代美術の作品の価値は、作品そのものの美しさや精巧さよりも、コンテクストや鑑賞者の芸術体験により評価される傾向にあります。中でも「新しい世界観の提示」が重要で、時代や文化、社会課題を含み、固定観念を覆すような発想や仕掛け、作品や芸術家自身のストーリーに価値があるとされています。 つまり、特別上手でなくてもいいし美しくなくてもいい。新しい考え方を提示できればいい。バイアスが外れたアイデアをストーリーとして語ればそれが評価されるということです。 例えばぼくが絵を描く理由は3つあります。 1つめは絵が人の痛みや感覚を変化させるから(実証) 2つめは痛みを可視化するため(発散) 3つめは現代美術の解釈特性が医学の啓蒙に使えるかもしれないから(挑戦) さらに、なぜ動物なのか、なぜこの色なのか、なぜこの構図なのか、なぜ今これを描いたのか、その全てに理由があり魅力的なストーリー(コンテクスト)として説明できなければなりません。この考え方が役に立ちます。
第25回日本顎顔面痛学会総会・学術大会のポスター。キービジュアルを描きました。 実は自分に言い聞かせている、自分がやり切るために。 あなたが新しい課題を見つけ、それを解決するために立ち上がった!すると「なんで?」と言ってくるおじさんが登場し、理由を説明しろと言ってきます。 たとえば訪問診療の現場で口腔ケアをしていて、なんでこの施設の人たちはお口がこんなに汚れているんだろう、看護師や介護士は口腔ケアって知ってるんだろうか?という誰でも思いつきそうな教育の課題にあえて立ち向かうことを決めた時、「なんでそれやるの?」と言われました。誰でも思いつきそうなことだからこそ、革新的なストーリーや自分にしかできない理由が必要です。人に説明しながら自分に言い聞かせます。やるのは自分です。 口腔ケアの教育課題を解決する 先進的か?:歯科オンライン診療のコミュニケーションに口腔ケア教育が必須である なぜあなたが?:この課題に気づいているのは自分しかいない なぜ今?:オンライン診療が普及する前にそれに始める必要がある

さらに継続する、やり切るコツは習慣化と社会貢献性

世の中の大半が諦めるなか、継続しているだけで価値があります。自分の行動に理由をつけた後は、さらにそれを継続していくためのお話をしましょう!

著者長縄拓哉

歯科医師(医学博士)。ムツー株式会社代表取締役。

略歴
  • 東京歯科大学卒業。
  • 都内大学病院で口腔腫瘍、顎顔面外傷、口腔感染症治療に従事。
  • デンマーク・オーフス大学に留学し、口腔顔面領域の難治性疼痛(OFP)について研究。
  • 口腔顔面領域の感覚検査器を開発し、国際歯科研究学会議(IADR2015、ボストン)ニューロサイエンスアワードを受賞。
  • デンマークと日本の研究活動推進プロジェクトJD-Teletech日本代表。
  • (一社)訪問看護支援協会BOCプロバイダー認定資格講座総括医師。
  • 日本遠隔医療学会・歯科遠隔医療分科会長。
  • 日本口腔顔面痛学会評議員、同学会診療ガイドライン作成委員。
  • 日本口腔内科学会代議員。
  • 厚生労働省教育訓練プログラム開発事業 メディカルイノベーション戦略プログラム委員。
  • 千葉大学遠隔医療マネジメントプログラム委員。
長縄拓哉

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