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変わる世界を生き抜く、歯科イノベーションマインドのススメ 第5回:モチベーションに左右されない安定感―やる気なんか存在しない―

変わる世界を生き抜く、歯科イノベーションマインドのススメ 第5回:モチベーションに左右されない安定感―やる気なんか存在しない―
変わる世界を生き抜く、歯科イノベーションマインドのススメ 第5回:モチベーションに左右されない安定感―やる気なんか存在しない―
「『やる気』とは、『やる気』のない人間によって創作された虚構である。」『のうだま1 やる気の秘密』(著・上大岡トメ、池谷裕二 幻冬舎文庫)

さあ皆さん、新しい挑戦の準備はできましたか!?目的意識、やる気は十分ですか!?今日のテーマは「モチベーション」と「やる気」です。これまで、まずは小さくても一歩踏み出しましょう!行動しましょう!と言ってきましたが、今回はその理由をお伝えしていきますね。

見出しのタイトル、「『やる気』とは、『やる気』のない人間によって創作された虚構である。」これは、東京大学薬学部の池谷裕二教授の有名な言葉です。まず、やる気というものはそもそも存在しない。やる気を出すための試行錯誤は無意味。頭で考えていないでまずは体を動かすこと、手を動かすこと、その身体の動きにともない「いわゆるやる気」が出る。小さなことでも「始めてみたらノッてくる」というやつです。皆さんも経験がありますよね。まずは行動です、ちゃっちゃと始めましょう!

「やる気」はコントロールできるが、やる気だけでは続かない

さて、「とりあえず始めてしまえば、やる気は後からついてくる」ということはわかりました。今の皆さんなら、なんとなくモチベーションは保てるかも、「やる気が出ない」といった言い訳をせずに、自分をコントロールできるかもしれません。 新しい挑戦を始める時も、それを継続する時にも、いつでもまずは行動ありき。気分がノらない時もまずは行動。その考え方を常にもっているあなたはもうイノベーションマインドをもった強い人です。 ただもう1つ、別軸で考えた方がよいことがあります。 行動するのは大事ですが、あなたがやろうとしていること、始めたことが下記の6つに当てはまるかどうか。みてみましょう。 1.使命感(なぜ自分がやるのか) 2.現場の課題感(現場が困っているか) 3.創造性(クリエイティブか) 4.事業性(儲かるか) 5.医療倫理(医療として正しいか) 6.意志(途中でやめないか) 皆さんが始めた新しい取り組みが日の目をみる、世の中の役に立つまでには、辛い時期が長く続きます。これは、やる気のコントロールだけで継続できるほどたやすいものではありません。

なぜあなたじゃなきゃダメなのか?

例えば、あなたが「世の中から自殺をなくしたい!」と思っていたとします。自殺をなくすためのアプリを開発したい!そのアプリで彼ら彼女らを救いたい!と思っている。 本当に「使命感」をもっていると、自分のアプリ開発が一日遅れるごとに自殺者が増えていく恐怖を感じるはずです、危機感があるはずです。 「アプリ開発が遅れる=自殺者が増える」ので、プログラミングが難しい、エンジニアが足りないなどと言っている場合ではないし、言い訳してサボっている間に自殺者がどんどん増えます。 アプリがあれば救える命だったんじゃないのか?自分がやらなきゃやばい!それが使命感です。 次に、2の「現場が困っているかどうか」を考えてみましょう。現場の課題を知らずに事業を始めてしまうと厄介です。この連載の序盤でもご紹介したevaGraphyは医療現場の課題を、その現場を知らない人にも視覚的に感じてもらうためのツールです。 例えば、現場を知らない人が医療機器をデザインすると、手術中に血液が飛んでくる場所にロゴを彫ってくれたりします。勘弁してほしい。ロゴに入り込んだ血液を数十分かけて拭き取る。一体何をデザインしているのか、最悪です。 某大手印刷会社がオンライン診療の画像補正サービスを始めるそうです。オンライン診療中に色の補正をしたいですか? それができなくて誰か困っているんですか? やる気をコントロールしながら長くチャレンジを続けるために、なぜ自分がやるのか、誰が困っているのか、医療のあり方として倫理に反さないかなど、1つ1つを確認しながら挑戦を続けていただきたいと思います。 最後に、「モチベーション」と「やる気」が出るイベントをご紹介します。 デジタルヘルス学会 https://digitalhealthlab.tokyo/dhsc4main/ ヘルステックサミット https://www.healthtechsum.jp/ BOC FORUM 2020 https://boc-provider.info/new/862/ 医療現場の課題、特に口腔ケア周りの課題とその解決策を多職種で議論するオンラインイベントです。あわせてご参加いただけたら幸いです!

著者長縄拓哉

歯科医師(医学博士)。ムツー株式会社代表取締役。

略歴
  • 東京歯科大学卒業。
  • 都内大学病院で口腔腫瘍、顎顔面外傷、口腔感染症治療に従事。
  • デンマーク・オーフス大学に留学し、口腔顔面領域の難治性疼痛(OFP)について研究。
  • 口腔顔面領域の感覚検査器を開発し、国際歯科研究学会議(IADR2015、ボストン)ニューロサイエンスアワードを受賞。
  • デンマークと日本の研究活動推進プロジェクトJD-Teletech日本代表。
  • (一社)訪問看護支援協会BOCプロバイダー認定資格講座総括医師。
  • 日本遠隔医療学会・歯科遠隔医療分科会長。
  • 日本口腔顔面痛学会評議員、同学会診療ガイドライン作成委員。
  • 日本口腔内科学会代議員。
  • 厚生労働省教育訓練プログラム開発事業 メディカルイノベーション戦略プログラム委員。
  • 千葉大学遠隔医療マネジメントプログラム委員。
長縄拓哉

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