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全身疾患予防のカギを握る!VOL1

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口腔衛生が、
全身疾患予防のカギを握る!VOL1

口腔衛生が、<br>全身疾患予防のカギを握る!VOL1
口腔衛生が、
全身疾患予防のカギを握る!VOL1

これからは、口腔細菌コントロールで生活習慣病予防。口腔衛生は、全身の健康に大きく関与しています。

歯の健康、口腔の衛生はなぜ大切なのでしょう。あなたはその理由をしっかり理解できていますか?近年は様々な研究が進み、う蝕や歯周病の原因菌が様々な病気を引き起こすリスクになることがわかってきました。全身の健康と口腔衛生との、密接な関係とは…?鶴見大学歯学部教授・花田信弘先生にお話を伺いました。

別々な全身疾患にも、互いに共通するリスク因子があります

毎日患者さんの口腔ケアに携わっている歯科衛生士のあなたは、患者さんの全身の健康状態について考えたことがありますか?う蝕や歯周病、糖尿病、呼吸器疾患、脳血管疾患、がん…など。これまで別々に捉えられてきたこれら疾患には、共通の発症リスク因子があることが、遺伝子解析の進歩などによりわかってきました。 共通するリスク因子とは、「栄養の障害・運動不足・休養不足(ストレス)・飲酒・喫煙・歯の健康(う蝕・歯周病)」の6項目(図1)。つまりあなたが毎日の臨床で目にしている「う蝕・歯周病」の症状は、恐ろしい全身疾患を発症・進行させる要因の一つである、ということ。おまけに口の中は、全身疾患を引き起こす悪玉菌が育ちやすい環境が整っているので注意が必要です。

口腔バイオフィルムに起因する恐ろしい「歯原性菌血症」

口腔内には約700菌種、約100億個の細菌が棲みついています。もし口の中にう蝕や歯周病があると、悪玉菌であるむし歯菌や歯周病菌が増え、歯の表面に張り付くような状態でバイオフィルムを形成し、どんどん増殖していきます(図2)。この増殖した口腔内細菌は、う蝕や歯周病を悪化させるだけでなく、簡単に血管内に侵入します。その現象を「歯原性菌血症」と呼びます。 う蝕の穴、歯と弱った歯肉のすき間は、口腔内にある“傷口”です。そこから悪玉菌が入り込み血液によって全身に広がると菌血症となり、様々な臓器に感染し、慢性炎症を引き起こします。腸管で起こる菌血症もありますが、その場合は門脈を通じて肝臓で細菌が分解されます。しかし口腔内から直接血液に侵入した細菌は、門脈を経由しないため肝臓で解毒されることもなく、全身の臓器や組織に速やかに到達します。 菌血症の状態が長く続くと、血管の劣化・老化を招き、血栓をつくって動脈硬化を引き起こすことも考えられます(図3)。歯周病や歯肉炎などの「歯科の病」が、それに起因する細菌の拡散によって「内科の病」を発症させるのですから、“歯周病くらい”という考えがいかに危険であるかがわかると思います。

人の一生の健康にかかわりあうプライマリ・ケア歯科衛生士として

共通リスク因子は生活習慣と相まって、胎児から高齢者に至るまで健康に関与し続けます。近年では、細胞の中の染色体DNAに「メチル化DNA」あるいは「ヒストンのメチル化・アセチル化」という形で共通リスク因子の影響が残ることもわかってきました。幅広い層の患者さんと接する歯科衛生士のあなたは、その人の一生(ライフコース)に重大な影響を及ぼすことを認識し、「歯の健康・栄養・運動などが、様々な疾患の共通リスク因子になる」ことをお話し、ライフコースでの6項目への取り組みの大切さを伝えなければなりません。 もちろん歯科衛生士の第一の仕事はバイオフィルムコントロールです。バイオフィルムの知識と除去するためのスキルを向上させる必要がありますが、それだけで歯と口腔を守ることはできません。第二の仕事として総合健康歯科を担う「プライマリ・ケア歯科衛生士」になることが大切です。もともと歯科医師は、歯科医療の専門医であるとともに、保健指導をつかさどることで公衆衛生の向上や増進に寄与し、国民の健康生活を確保するプライマリ・ケア医※でもあるのです。 臨床の場では、歯科医師は専門医として仕事をしていますから、歯科衛生士が保健指導を担うことになります。歯科衛生士法にも、「歯科衛生士の名称を用いて歯科保健指導をなすことを業とする」と記載されています。正しい歯の磨き方だけではなく、共通リスク因子とライフコースの考え方に基づき、栄養・運動面などからも総合的に歯科保健指導を実施できる「プライマリ・ケア歯科衛生士」となることが求められているのです。あなたの仕事は、全身の健康、つまり患者さんの一生に関わっているのです。 ※プライマリ・ケア医とは? 患者さんの身近にあって、何でも相談にのり、総合的な医療を提供できる医療者のこと。主に以下の能力を有する。 ・一般的な病気に幅広く対応する能力を持つ ・基礎的な臨床技能と経験を持つ ・患者に長期的な生活指導ができる ・必要に応じ専門医への紹介などの適切な措置が講じられる

著者花田 信弘

鶴見大学歯学部教授

  • 1953年福岡県生れ。
  • 福岡県立九州歯科大学歯学部卒業後、同大学院修了。
  • 米国ノースウェスタン大学博士研究員、九州大学教授(厚生労働省併任)、
  • 国立保健医療科学院部長を経て、
  • 2008年より現職(鶴見大学歯学部探索歯学講座)。
  • 同大同部附属病院にて、3DS除菌で全身疾患予防にアプローチする専門外来を開設。
花田 信弘

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