TOP>コラム>発達期における咬合の変化 その24 酸素供給量と脳の発達

コラム

発達期における咬合の変化 その24 酸素供給量と脳の発達

発達期における咬合の変化 その24 酸素供給量と脳の発達
発達期における咬合の変化 その24 酸素供給量と脳の発達
第3世代の過蓋咬合、第4世代の下顎の後退により気道が狭くなると、全身への酸素供給量が減少する。(図1・2)





成人の脳重量は、体重のわずか2%に過ぎないが、脳血流量は心拍出量の約15%、全身の酸素消費量の約20%を占める。
またヒトは、心停止後数十秒で意識が消失し呼吸停止をきたす。
そして約3分以内に再開されないと脳は不可逆的な変化が起こる。
酸素の供給は生命に直結することがわかる。
さらに小児の場合、ここに成長・発達という要素が加わる。
 “スキャモンの発育曲線”は、成長発育を20歳で100%として、体を4つのパーツに分け、それぞれの様子をグラフ化したものである。(図3)


一般型は、身長や体重や筋肉などであり、身長は幼児期に伸びて、その後緩やかになり、思春期前期からまた再スパートする。
ここで問題にしたいのは神経型の発達である。
脳は、出生直後より急激に発達し9歳で90%、12歳でほぼ100%となる。
従って、小児期における十分な酸素の供給は、脳の発達を促すためにも極めて重要である。
さて、下顎の後退位や、睡眠時に仰臥位で開口すると舌根が沈下する。
これらは気道が狭窄しイビキの原因となる。
筆者が行った岡山県保育協議会との調査では、昼寝時でイビキをかく3~5歳児は約3%、時々も含めると10%であった。(2018年 保育園児1213名 担当保育士が昼寝時に判定)
しかし仰臥位では苦しいので側臥位で寝ている可能性もあるため、実際にはこの値より多い可能性がある。
もちろんここには、アレルギー性鼻炎やアデノイドなどが原因のものも含まれる。(図4)      



続く
        

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識 「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

tags

関連記事