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全身疾患予防のカギを握る!VOL2

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口腔衛生が、
全身疾患予防のカギを握る!VOL2

口腔衛生が、<br>全身疾患予防のカギを握る!VOL2
口腔衛生が、
全身疾患予防のカギを握る!VOL2

これからは、口腔細菌コントロールで生活習慣病予防。“食べる”歯科保健指導で、患者さんの口腔衛生意識アップ

全身の健康と口腔衛生との密接な関係を学ぶ、シリーズ第2弾。前回は、歯原性菌血症について知ることで、う蝕や歯周病の原因菌が様々な「内科の病」を引き起こすリスクになることを理解しました。今回は、恐ろしい菌血症を起こさないために栄養学的見地から見直すべき点や、好ましい食事や栄養素などについて、前回に引き続き鶴見大学歯学部教授・花田 信弘先生にお話を伺いました。

歯・口腔の疾患は、栄養学的なリスクにも関与しています

口腔内衛生が全身の健康に大きく関与していることが、様々な研究によって明らかになってきました。同時に歯・口腔疾患は、栄養学的リスクにも大きく関わっていることを理解しなければなりません。(図1)にあるように、歯の数が20歯以下になると、「なんでも噛んで食べることができる」人の割合が減少することがわかっています。咀嚼困難は、加齢によって起こるのではなく、歯数の減少によって生じることが、国民健康・栄養調査にも示されています。 歯科衛生士は、歯を守るための栄養学と歯を喪失した時の栄養学について学習することが必要です。この2つの栄養学の基本は「食品の多様性」、つまり偏らないように食品を食べることです。食品の多様性を失うと、う蝕・歯周病を発症して歯を喪失します。歯を喪失すると食品の多様性はますます失われ、生活習慣病が発症します。う蝕・歯周病と生活習慣病を予防するための栄養指導は密接な関係にあるのです。

食品の多様性を高めるには主食(炭水化物)の摂り方に注意を

う蝕の原因となり、口腔内環境を悪化させる犯人は、ずばり「糖質」です。糖質と言えば砂糖や甘いお菓子と思いがちですが、白米など主食となる炭水化物も忘れてはいけません。炭水化物は体をつくる素となる三大栄養素(図2)のひとつですが、歯科的見地から、糖質を含むこの炭水化物の摂り方を見直す必要があると考えられています。 炭水化物は、大きく糖質と食物繊維に分類されます(図3)。現代の食生活は、おにぎりやパン・麺類など、手軽に食べられる糖質の食品の占める割合が増えたことから、糖質の摂りすぎが懸念されています。個体差はありますが、小児特有のう蝕は、砂糖が主因となってエナメル質で多く起こるのに対し、成人のう蝕は、ご飯などのデンプンが分解された多糖類が主因となり、歯根部分の象牙質で多く発症しています(図4)。主食に傾きがちな食生活を改善し、バランスよく食べるための指導が必要なことがわかります。

歯・口腔環境改善を助けるおすすめの食品を知ろう

歯や口腔環境を改善へと導いてくれる食べ物や食べ方について考えてみましょう。以下に主なものをご紹介します。

1.炭水化物を摂るなら、食物繊維を含む「低GI食品」

白米や砂糖を食べると体内ですぐ糖にかわり、血糖値が急上昇。そんなGI値が高い食品を食べると、口中ではpHが急に酸性へと傾き、それを繰り返すことで虫歯のリスクを高めてしまいます。炭水化物を食べるなら精製されていない玄米、雑穀米などを。もちろん食後の歯磨きで口中のpH値を早く元の中性に戻すことも忘れずに。 〈低GI食品の一例〉 ・玄米、胚芽米、雑穀米、全粒粉のパンなど

2.むし歯菌の予防因子となる、ナッツなどの「抗酸化物質」

高齢者が抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンE、α-カロテン、β-カロテン)を含む食品を積極的に摂取することにより、歯周病疾患の進行が遅くなったとの調査データが、新潟大学の研究グループによって明らかになりました。 〈抗酸化物質を含む食品一例〉 ・ビタミンEを含むアーモンド、落花生、ヒマワリの種、オリーブオイル など ・ビタミンCを含む、アセロラ、レモン、パプリカ など

3.血管の健康を保つために大切な「オメガ3脂肪酸」

「オメガ3脂肪酸」は、血管の劣化を防ぐ細胞膜を構成している成分のため、細菌が侵入したとしても血管にプラークが形成されるのを防ぐ働きをしてくれます。また炎症を抑える働きもあるので、血管の健康だけでなく、歯周病自体も改善してくれると言われています。 〈オメガ3脂肪酸を含む食品の一例〉 ・アジやサバ、イワシなどの青魚 ・シソ油、えごま油、アマニ油など 何より大切なのは、できるだけ偏らずにいろいろと食べ、多様な栄養素を体に摂り入れることです。

著者花田 信弘

鶴見大学歯学部教授

  • 1953年福岡県生れ。
  • 福岡県立九州歯科大学歯学部卒業後、同大学院修了。
  • 米国ノースウェスタン大学博士研究員、九州大学教授(厚生労働省併任)、
  • 国立保健医療科学院部長を経て、
  • 2008年より現職(鶴見大学歯学部探索歯学講座)。
  • 同大同部附属病院にて、3DS除菌で全身疾患予防にアプローチする専門外来を開設。
花田 信弘

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