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英語のススメ(2)英語習得の秘訣

英語のススメ(2)英語習得の秘訣
英語のススメ(2)英語習得の秘訣
「英語のススメ(1)」からの続き

私自身は20代の頃から使える英語を習得するために、たくさんの試行錯誤を繰り返しました。今、振り返って、一番効果があったと思う方法は基本中の基本に戻り、英語の「あいうえお」である一つ一つの音素、44音をじっくり学習し直すことでした。このBBCのレッスンをやってみたところ、驚くほど英語が聞き取りやすくなりました。
BBC Learning English. The complete guide to English Pronunciation | Learn ALL 44 sounds of English in 75 minutes!
https://youtu.be/QxQUapA-2w4

英語のアルファベットを正しく読めるまで時間をかけることの大切さが、この本からも読み取れます。
中津燎子著「なんで英語やるの?」文藝春秋(1978年)
著者は、ネイティブスピーカーに英語を個人レッスンしてもらうのですが、それがアルファベットのAからZ、そして短い単語を正しく読むまで次に進めない、間違うとまたAから始めるという過酷なものでした。これを読んだ当時は、内容にあまりピンと来ませんでしたが、自分がBBCのレッスンで音素の発音をやり直す良さを実感してから、この本のことを思い出し、是非推薦したい本になりました。

そういえば、私が大学で中国語を第二外国語として選択した時に、中国人の李先生は3ヶ月間、ずっと中国語の「あいうえお」を学生に声に出して言わせました。いい加減退屈になったものの、後々、中国語のリスニングにほとんど問題を感じなかったのは、あの始めの3ヶ月間のおかげだったと思います。

発音が正しくできると、ネイティブスピーカーがどのように口や舌の筋肉を動かしてその音を出しているのかが実感でき、聞きながら自分の口や舌も一緒に動かすイメージが作られます。すると日本語のカタカナ音に変換するというワンステップが省略でき、リスニングがとても楽になります。次に、リーディングの時にもカタカナ音を頭の中でイメージしなくなり、文字と音がネイティブと同じような感覚で繋がります。英語のセンテンスをカタカナ音で黙読してしまうと、その間違った音と綴りが固定されて、リスニングはなかなか上達しないでしょう。また、スピーキングも日本語訛りがきつくて、他の国の人たちに通じにくく、何度も聞き返されると話すのが億劫になるかもしれません。(ただし、ネイティブスピーカーは私たちが思う以上に各国の訛りを素敵なものとして受け入れてくれているので、あまり気にしないでください!)リーディングで英語の本来の音で黙読できると、読む効率も上がります。私はこの一連の良循環に気づき、退屈だけれども一音一音を最初に学習することの重要性を痛感しました。

そして、最近、「フォニックス」という方法論を知りました。前述の「なんで英語やるの?」では、アルファベットの一文字一文字の読み方から練習されていましたが、アルファベットと音素を結びつけて練習する「フォニックス」はもっと良いと思います。
 アイルランドの幼い子どもたちも、学校で最初にアルファベットを「フォニックス」で習うようで、「A」を「エイ」とは呼ばず、「ア」と呼んでいました。

しかし、私たちが自分自身できちんと発音できているのかどうかを判断するのは難しいですね。「なんで英語やるの?」の中津燎子さんのようにネイティブスピーカーの方に個人レッスンをしてもらえれば一番良いのですが。そこで、アプリで何か良いものがないか、いろいろ探していると、ELSA (English Language Speech Assistant) というアプリを見つけました。
ELSA - Speak English fluently, easily, confidently
https://elsaspeak.com/en/

これは人工知能(AI)が、ユーザーの発音を採点して、何が悪いのか指摘してくれます。とてもよくできていて、お勧めしたいアプリの一つです。

他の人に外国語学習にお勧めしたい秘訣を聞いてみると、Duolingoというアプリが人気のようです。英語だけでなく他の言語もゲーム感覚で学習できます。毎日、楽しく英語に触れさせるようにしている仕組みはとても良いと思います。やはり、楽しくなければ継続は難しいですね。
Duolingo
https://www.duolingo.com

もう一つ、Spotify というアプリにも推薦の声がありました。スウェーデン人が開発した音楽アプリとして有名ですが、音楽と共に歌詞が表示される機能もあり、素晴らしいと思いました。音楽だけでなく、チャットや TED Talk、ニュース、朗読なども聞くことができます。たくさん聞いてインプットすることが大切だとのことです。
Listening is everything - Spotify
https://www.spotify.com/us/

また、10人くらいのグループレッスンを受けて英語を学習している人は、レッスン中に必ず話すように当てられることが良いとのことでした。日本にいると、実際に英語を話す機会はなかなかありませんが、こういう機会を最大限に利用するべきだと思います。私は英会話学校に通っていた時に、授業を録音して、次のレッスンまでずっと聞き続け、その回のレッスンを覚え込んで次に挑みました。英会話学校の先生たちは、日本人があまりにも勉強してこないのでウンザリしていると聞いたことがあります。先生を喜ばせるためにも、しっかり復習して、レッスン内では進んで発言すると、相乗効果が増すと思います。

最後に、1ヶ月間ヨーロッパ旅行に行ったことのある人より、その時はどんどん英語が聞き取れて楽しかったと教えてくれました。そういうポジティブな経験があると、「英語は必ず習得できるので難しく思わなくてよい」とリラックスして構えられ、無駄なコンプレックスに囚われなくなるでしょう。それが、最も大切な秘訣だと思います。

本記事は、2021年4月23日の「日曜のフィーカ」の内容に基づいています。

著者西 真紀子

NPO法人「科学的なむし歯・歯周病予防を推進する会」(PSAP)理事長・歯科医師
㈱モリタ アドバイザー

略歴
  • 1996年 大阪大学歯学部卒業
  •     大阪大学歯学部歯科保存学講座入局
  • 2000年 スウェーデン王立マルメ大学歯学部カリオロジー講座客員研究員
  • 2001年 山形県酒田市日吉歯科診療所勤務
  • 2007年 アイルランド国立コーク大学大学院修了 Master of Dental Public Health 取得
  • 2018年 同大学院修了 PhD 取得

西 真紀子

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