新年を迎え、この度、新しい活動を始めることにいたしました。その名も「日曜のフィーカ」。フィーカというのは、スウェーデン語でコーヒーブレイクのことを意味します。どうもコーヒー "kaffe" を逆さにして "fika"「フィーカ」になったようです。日本語でもありますよね。芸能関係者やメディア関係者で使われる「シースー」(寿司)など。 <スウェーデンのフィーカで用意された美味しいブレッド類> 「日曜のフィーカ」は、毎週日曜日8時から、フィーカを取りながら大学院生とオンラインでおしゃべりしましょうというアイディアから生まれました。私は15年間に渡ってスウェーデンやアイルランドで歯学部の大学院生がどのような勉強をして研究者に育っていくのかを見てきたものの、日本の大学院教育についての内情は、噂程度にしか知りませんでした。今も、日本の大学院生を指導しているわけではないので、本当のところはよく知りません。しかし、日本の大学院教育が随分、国際的なスタンダードから離れているという印象は持っています。 言葉の壁の他にも、戦後、学制改革が行われた時のゴタゴタした事情も障壁になっているかもしれません。しかし、日本人学生はこれらの国の学生よりずっと真面目で、大学にいる時間もずっと長いです。スウェーデン人やアイルランド人にできて日本人にできないわけはないと思うのです。せめて、私の周りにいるモチベーションの高い人たちと、国際的なスタンダードを意識した、特に予防歯科先進国スウェーデンに通用するような会話をしたいと思いました。 「日曜のフィーカ」を一般公開してみると、続々と参加の希望が寄せられました。学び直しをしたいという臨床家、学び残しがあったと思うPhDホルダー、そして時代を築いた名誉教授まで。皆さんの共通点は、日曜の朝8時という、心身共に仕事から離れてゆっくりしたい日時に、新しい知識を学ぼうという意欲に溢れた方たちであるということです。本当に頭が下がる思いで一杯です。 「日曜のフィーカ」の試行期間が始まった頃はまだ雪が積もり始めたばかり。参加者のお一人から「この雪のように、私も少しづつ知識を積み重ねていきたい」との写真付きメッセージをいただきました。 それにプラスして参加条件に「患者さんへの情熱と良心」を設定しています。これさえあれば、どなたでも参加していただけます。この一点で集まる人達と日曜の朝を迎えられるというのは、とても幸せです。2020年の12月に2週間の試行期間を設けて、いよいよ2021年1月10日から本格始動します。ご興味のある方は、主催のNPO法人「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」(PSAP)(psap@honto-no-yobou.jp)まで、是非ご連絡ください。 現在、決まっている内容は以下の通りです。 1/10: 予防歯科とは(月刊誌「ザ・クインテッセンス」連載の「人びとから求められている予防歯科」より) 1/17: カリエス予測 1/24: 研究公正 1/31: CONSORT 2/7: 再修復の理由(月刊誌「ザ・クインテッセンス」連載の「人びとから求められている予防歯科」より) 2/14: 文献引用方法(再) 2/21: STROBE(再) 2/28: 西野瑞穂先生のPhD秘話 3/7: 内藤禎人先生のインプラント談義 3/14: Oral Physician(月刊誌「ザ・クインテッセンス」連載の「人びとから求められている予防歯科」より) 3/21: プレゼンテーションのヒント 3/28: 大学院生を助ける動き 以降のトピックスについては、こちらを御覧ください。 https://note.com/psap/n/nb28d1bfbe9c7
著者西 真紀子
NPO法人「科学的なむし歯・歯周病予防を推進する会」(PSAP)理事長・歯科医師
㈱モリタ アドバイザー
略歴
- 1996年 大阪大学歯学部卒業
- 大阪大学歯学部歯科保存学講座入局
- 2000年 スウェーデン王立マルメ大学歯学部カリオロジー講座客員研究員
- 2001年 山形県酒田市日吉歯科診療所勤務
- 2007年 アイルランド国立コーク大学大学院修了 Master of Dental Public Health 取得
- 2018年 同大学院修了 PhD 取得
- NPO法人「科学的なむし歯・歯周病予防を推進する会」(PSAP):
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