アイルランドは、正式にはアイルランド共和国と言います。 アイルランドの地図【1】アイルランドに住み続けたワケ
私は去年(2018年9月)までアイルランドに13年間も住んでいました。 ある出来事が起きなければ、いつまでも居続けていたかもしれません。 この事件については、連載の終盤でお話しますが、どうしてもアイルランドから離れられないので、友人には冗談で「あなたが振る舞ってくれる食事の中にコカインが入っているからでしょう」と言っていました。 <クリスマスのディナー> ここまで気に入ってしまったきっかけは、田舎でのある結婚式でした。 そこへ初めて訪ねた時に、ちょうど結婚式があると聞き、飛び入りで二次会に参加させてもらいました。 欧米の結婚式がどんなものなのか興味津々でした。 ジーンズしか持っていなかったのですが、それでも全然構わないとのことでした。 <花嫁と父のダンス> その地域で一番大きなホテルの会場は200人くらいの人で埋まり、私たちが到着した時には、生バンドの音楽に合わせてほとんどの人が踊っていました。 夜の8時くらいだったでしょうか。 それから朝の4時まで、ひたすらダンスでした。 私はダンスができないのに、それがなぜか、すごく楽しかったのです。 <ダンス、ダンス、ダンス> 帰りの車は同じ方向の仲間でギュウギュウ詰め。 朝の4時過ぎに誰ひとり疲れるどころか、車の中ではみんなが歌を歌いながら帰りました。 私は呆気にとられ、その中の最高齢の男性に「日本では、あなたの年齢の人は夜の7時に寝床に入ります」と言いました。 それがまた大ウケで、後々、ことあるごとに持ち出されています。 <田舎の風景> 同じような光景に遭遇したことがありました。 1997年にネパールの無歯科医村へのボランティアに参加した時、村の人たちが楽器を持って私たちのホテルに来て歌を歌い、ダンスをしてくれました。 それも朝の4時まで。 そして、ブレーメンの音楽隊のように楽器を演奏しながら、山を下りて帰って行きました。 <ネパールの山の中での野外検診> 私はその時、発展途上国で娯楽がないから、このように純粋に人生を楽しめるんだと思い込んでいましたが、先進国でも、原始的、根源的な人間の娯楽である音楽とダンスを夜通し楽しみ、家に帰るまで歌を歌い続けるなんて! その後も家族や地域の強い結びつき、ゆっくりとした時間の流れ、子どもや動物との触れ合いから、この田舎に足繁く通い心癒されました。 アイルランドは世界一フレンドリーな国とか、幸せ度の高い国と評されることに納得しました。 <牛の乳搾り体験> でも、人々の口腔の中はさんざんです。 「人は歯が全てじゃないんだよ。」友人の一人は、楽しそうにそう言ってくれました。 人生の「豊かさ」とか「満足度」は、どうも歯では語れないようです。 では、何が要因なのか、それを知りたくて、13年も引き寄せられていたのかもしれません。 <アイリッシュパブにも見猿聞か猿言わ猿> 次回に続く ヨーロッパの果て、アイルランドに住んでみて Vol. 2 アイルランドの最新歯科事情
著者西 真紀子
NPO法人「科学的なむし歯・歯周病予防を推進する会」(PSAP)理事長・歯科医師
㈱モリタ アドバイザー
略歴
- 1996年 大阪大学歯学部卒業
- 大阪大学歯学部歯科保存学講座入局
- 2000年 スウェーデン王立マルメ大学歯学部カリオロジー講座客員研究員
- 2001年 山形県酒田市日吉歯科診療所勤務
- 2007年 アイルランド国立コーク大学大学院修了 Master of Dental Public Health 取得
- 2018年 同大学院修了 PhD 取得
- NPO法人「科学的なむし歯・歯周病予防を推進する会」(PSAP):
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