日本の乳歯齲蝕の減少の経過を時系列からタイプA~Eに分けてみた。 筆者が小児歯科を志したのは1970年後半。 まさに乳歯齲蝕の洪水を言われたタイプAの時代であった。 これは当時の典型的な4歳児の写真。 上顎右上のEはC2、下顎の乳前歯・乳犬歯はC2であり、それ以外の乳歯はC3、すなわち20本の乳歯はすべて齲蝕である。 おそらく若い先生は、目にしたことない口腔だろう。 さらに、どこから治せばよいかわからないだろう。 しかし、この様なケースは決して珍しくなかった。 上顎左側EとC、右側Eは根管治療後に乳歯冠を装着。 下顎右下Eも根管治療後に乳歯冠の装着。 両側Cはレジン充填。 その他の乳歯は抜歯し、床保隙装置が装着されている。 これで処置終了して定期健診に移る。 数年後には、上顎はCを除いて永久歯に交換。 下顎は、小臼歯は未萌出なので、まだ床保隙装置を使用。 第1大臼歯と下顎前歯は萌出しているものの、右側大臼歯にはアマルガム充填がなされている。 定期健診に訪れながらも、この状態である。 もし、訪れなければ、もっと悲惨な状態になっていることだろう。 さて乳歯と永久歯の齲蝕は、相関する。 これは乳歯と永久歯の齲蝕の関係を示したものである。 3歳児に9本以上乳歯齲蝕があったものは、中学1年時には永久歯で約7歯。 一方、齲蝕がなかったものは、約3.2歯となっている。 乳歯の齲蝕と永久歯の齲蝕の関係は、 「ミカン箱のミカンが一つ腐ると、周りも腐り始めると考えればわかりやすいだろう」。 いずれにせよ、齲蝕の治療を行なうだけでは、永久歯の健康につながらないことがわかる。 定期健診が重要なことがわかる。
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
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人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
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