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日本の小児の齲蝕減少の歴史
その8 砂糖の制限 VS 歯磨き

2022/1/11 デンタル〇〇デザイン

これまで述べたように、乳歯齲蝕の減少は上顎前歯から始まった。



その背景には、砂糖の制限や規則的な間食回数が、一般的に認識され出したことがあげられる。

ところで齲蝕予防には、砂糖の制限と歯磨きがあげられるが、どちらの方がより効果があるのだろう?

筆者は低年齢児の場合、砂糖の要因の方が大きいと考えている。

実際、1歳0か月児の歯科健診では、歯が輝いている小児がほとんどだ。


しかし、1歳6か月・2歳0か月児になると、くすんだケースが増加する。

これが見事に砂糖の摂取時期と一致する。

砂糖の味を覚えると、歯垢が付着し歯がくすむのだ。

これこそ、ミュータンス菌の感染が考えられる。


次にタイプCでは、乳前歯の齲蝕はなくなったが、乳臼歯部の咬合面齲蝕が多かった。



乳臼歯の咬合面齲蝕の予防には、歯ブラシによる歯垢除去が不可欠なのだろう。

続く時代では、タイプDが増加した。



これは乳臼歯の隣接面齲蝕で、3歳6カ月以降に初発する。

問診では、歯は磨いているが,間食が増えてきた場合に多い。

咬合面や頬舌側の歯垢は歯磨きで取れる。

しかし隣接面は、歯ブラシが届かない。

そこでデンタルフロスの指導が欠かせない。

日本の乳歯齲蝕は、このような順序で減ってきた。



すなわち、齲蝕の初発時期が、遅くなることがきっかけとなった。

この様な視点を持つと、齲蝕がどのような原因でいつ初発したかをイメージし指導を行うことができる。


では、齲蝕減少の中でフッ化物は、どのような役割をしてきたのだろう?

かつての乳歯齲蝕の洪水の時代。

診療室に訪れた保護者が「保健センターなどで,フッ化物だけは塗ってもらっていたのですけれど・・。」と言われることが多かった。



低年齢から砂糖漬けの生活では、その効果が得られるわけがない。

フッ化物の最大の副作用は、"保護者の過信"なのである。

乳歯齲蝕の減少は、間食や歯磨き習慣が定着してきた時期に、フッ化物が応用されたことで一気に加速した。

続く