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歯科医院経営で使えるオープンデータVol.5 【商圏設定③ 競合編】

歯科医院経営で使えるオープンデータVol.5 【商圏設定③ 競合編】
歯科医院経営で使えるオープンデータVol.5 【商圏設定③ 競合編】
インターネットの普及で様々なデータが手軽に手に入るようになりましたが、中にはどう使えばよいのか分からないものもあります。
こちらのコーナーでは、だれでも入手可能な「オープンデータ」を使って、そんな「So What?」をマーケティングの目で簡単にご説明します。

「ヤブ医者」という言葉。

耳触りの良い言葉ではありませんが、一説によると元々は「名医」を指す言葉だったそうです。 その昔、但馬(現在の兵庫県養父(やぶ)市)に大変な名医がおられたそうですが、次第に「自分は養父の名医の弟子」などと騙って集患する輩が増えたことで、意味が転じてインチキやダメな医者という意味になったようです。 http://www.city.yabu.hyogo.jp/10416.htm それが原因かどうかは定かではありませんが、現在でも競合する医療機関同士が表立って自由に競争を行うことは医療の本質から「良し」とされない土壌があり、広告・宣伝や看板一つにも制限が多く、経営者である理事長、院長先生におかれましては歯がゆい一面もあるのではないでしょうか。 さて、競合環境に関してはコンビニより厳しい歯科医院。 とはいえ、「競合」はあらゆる世界で存在し、今では役所同士でも近隣の市町村に負けじと企業や住民など誘致合戦を繰り広げる時代です。 医療の業界では、一般の物販店ほど競合に対する評価の方法や戦略に落とし込む法則は無いようですが、古今東西の物販店で使われる事例を紹介しますので、競合対策の参考にしてください。

■ハフモデル

競合店の影響度は、競合店の「売り場面積」に比例し、競合店までの「距離」に反比例する、という考え方で、言い換えますと、生活者にとって「遠くの小さな店」より「近くて大きな店」の方を選ぶという心理を根拠にしています。 例えば下記のような場合、A町の生活者はB店とC店のうちどちらに行く可能性が高いか、を数字で示すことができます。 計算方法は以下の通りです。 A町の生活者がB店とC店に行く可能性を計算すると下記のようになり、このケースではC店への影響が大きいという結果です。 ただし、上記の計算には前回ご説明したような『分断要素』は加味しておりません。 https://d.dental-plaza.com/archives/1336 分断要素がある場合は、その店までの距離を1.5~2乗することで実際の距離よりも遠く評価することがあります。(距離抵抗係数) このモデルを歯科医院に応用しますと、「売場面積」はチェアユニットの台数であったり、診療されるドクターの数に置き換えられると思われます。

■ランチェスターの法則

元々は第一次世界大戦中に研究された理論で、戦闘機の空中戦における「自軍と敵軍の戦闘力」と「生き残る戦闘員の数」に関する理論でしたが、後にビジネスの世界で応用され、競合相手との戦い方・戦略として体系化されたものです。 この法則では、自身とエリア内に存在する競合の中で最も強い店を「強者」、それ以外(2位以下)のすべてを「弱者」と定義します。 「弱者」の兵法は、最も近い競合店に対する1対1の差別化戦略で、いわば一点突破のガチンコ勝負となります。 「強者」の兵法は、ズバリ「総合力」です。 2位以下の店がどのような戦法で挑んできても払い除けることができる「総合力」です。 最近では「ブランド戦略」も総合力の1つとして注目されています。 仮にこの法則をそのまま歯科医療の世界に当てはめてみましょう。 新規開業を目指す先生にとって、無医村でない限り「弱者」としてのスタートとなりますので、生き残るための強力な武器が必要となるのは納得できます。 一方、既に開業されている先生にとって、ご自身は「強者」であり、新規開業される医院は「弱者」です。 「弱者」はどんな武器を携えてやってくるかわかりませんので、やはり「総合力」で備えるに越したことはありません。 ご紹介しました2つの理論は何十年も前から存在し、時の経営者が様々に応用し進化しています。 安易に他業界に当てはめるのは危険ですが、様々な業界が生き残るために活用した理論でもありますので、そのエッセンスは参考にできると思います。 次回は今後の売上げの伸びしろに関わる「市場規模と余力」についてお伝えします。 記事編集:デンタルライフデザイン編集部

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