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口呼吸の改善法と鼻呼吸による体の変化

口呼吸の改善法と鼻呼吸による体の変化
口呼吸の改善法と鼻呼吸による体の変化
ふと気がつけばいつも口で呼吸している、そして口を開けて寝ている方がいらっしゃいます。
私も実はそうです。
鼻は呼吸するのに優れた機能が備わっています。
それに対して、口呼吸は口の中だけでなく、体にも悪い影響を及ぼしています。
今回は鼻呼吸をすることによって変わる体の変化と改善方法をお伝えします。

口呼吸の改善法

1.耳鼻科に行く
鼻で呼吸ができない人はまず耳鼻科での治療が必要です。
アレルギー性鼻炎、蓄膿症、骨鼻中隔湾曲症等の治療を行い、ある程度は鼻の通りをよくする必要があります。
また、根尖病変などの歯の病気が原因で副鼻腔炎を起こし、鼻が詰まっている場合は歯科医院での治療が必要です。

2.寝るときにテープやシールを貼る
鼻で息はできるけれど口が開いてしまう方は寝るときに市販されている鼻呼吸テープを口に貼り口が開かないようにすることも効果があります。
口を閉じることを意識づけるものです。
また、形状記憶合金などを用いた鼻腔を拡張するシールを鼻に貼り、鼻で息をしやすくする方法もあります。

3.鼻呼吸になれる
口呼吸になれている方は鼻で息をする習慣ができていません。
それを改善するために多少苦しくても意識的に鼻で息をする訓練をしていきます。
軽い運動時も鼻呼吸を意識的に行うことで鼻が徐々に活性化してきて鼻呼吸の率が増えていきます。
病的でなく習慣的な問題がある人はまずは意識することが大切です。

4.睡眠時無呼吸症候群のためのマウスピースを使う
睡眠時無呼吸症候群を治療するために口の中の上下にマウスピースを入れます。
固定するタイプでもそうでないタイプでも物理的に口の入口の開いたスペースが減ることで、口呼吸がしにくくなり口呼吸の改善に役立ちます。

5.歯並びを矯正する
子供の歯並びは舌や口の周りの筋肉、そして呼吸の仕方によって悪くなります。
矯正装置を使って歯並びを悪くしている原因を根本的に治療する方法です。
歯並びだけでなく顎を拡げることで鼻腔が拡がり、これにより口呼吸と歯並びを同時に治療していきます。
また、大人でも出っ歯を治したり歯が空いているのを治したりして口を閉じやすくして口呼吸を改善していきます。

6.口の周りの筋肉を鍛える
口呼吸の方は口をいつも開けているため、唇が反って、唇の筋肉が弱い方が多いです。
矯正治療の一つである口腔筋機能療法MFTを行うことで、舌や口の周りの筋肉を正しく使えるように練習し、しっかり口が閉じられる力をつけていきます。
また、安静時に舌をおいておく位置が上顎の口蓋にあることが大切ですので、もしそれができていなければ、できるだけ子供のうちから舌を正しい位置におく訓練をすることが大切です。
「あいうべ体操」などで舌筋を鍛えることも効果的であると言われています。

鼻呼吸になることでおこる体の変化

1.風邪を引きにくくなる
鼻呼吸にすると乾燥した空気やウイルスが直接肺に入り込まないため風邪を引きにくくなります。
風邪などのウイルスは乾燥した空気で繁殖します。
鼻呼吸にすると空気は鼻の粘膜や副鼻腔の粘膜によって、水分を補給され湿度が高い状態で気管や肺に入っていき、風邪などのウイルスの活動を弱くすることができます。
私も睡眠時無呼吸症候群のマウスピースを入れてから口呼吸の程度が減って寝ている間に口が乾燥しにくくなり風邪を引きにくくなりました。

2.歯周病や虫歯になりにくくなる
口呼吸では口の中が乾燥するため唾液による自浄作用が働きにくく、口の中で細菌が繁殖しやすくなります。
そのため、歯周病や虫歯になるリスクが高くなります。
口呼吸の方の歯ぐきは赤く腫れていることが多いです。
一方、鼻呼吸になると口の中が潤い、唾液の成分の影響と自浄作用により、炎症が起こりにくくなり歯ぐきもピンク色をしています。
細菌の繁殖が抑えられることにより歯周病や虫歯リスクは下がります。

3.口臭が減る
口臭の原因の一つに細菌臭や膿のにおいがあります。
口呼吸では乾燥して細菌が繁殖しやすくなりますので、炎症や排膿が起こりやすくなり口臭を起こしやすくなります。
また、舌にいる細長い細菌などがにおいを出しやすいと言われています。
鼻呼吸で口の中の乾燥が抑えられるので先ほど述べたように細菌の繁殖を防ぎ炎症を減らすので口臭が軽減します。

4.歯の着色が抑えられる
歯の着色は着色物を食べたあと乾燥するとこびりつくために歯ブラシでは落ちにくなります。
そのため、口呼吸では着色がつきやすく、鼻呼吸では着きにくくなります。

5.見た目が良くなる
口呼吸の方はぽかんと口が開いていることが多く、唇がゆるく、口輪筋が緩んでいることで歯列不正の原因になることがあります。
鼻呼吸の方は口を閉じているので舌筋と口輪筋のバランスが取れるために歯列に対しての悪影響を起こしにくいです。
また、顎を閉める筋肉も機能的で、見た目が引き締まった印象になります。

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著者市来正博

いちき歯科医院 院長

略歴
平成4年3月
岡山大学歯学部卒業
天王寺小室歯科勤務
平成12年3月
北区にて いちき歯科開業
平成21年7月
医療法人輝笑会設立 現在に至る
所属
  • 日本インプラント学会
  • 日本抗加齢医学会
勉強会
  • SGIC(Study Group of Implant Consensas)
  • 国際審美学会
  • ITIメンバー
修了コース
  • ストローマンインプラントコース認定(1998年)
  • カルシテックインプラントコース認定(2000年)
  • 中国第四軍医大学 インプラントコース修了・プレゼン表彰(2007年)
  • 韓国キョンヒ大学 インプラントコース(2008年)
  • O.A.Mインプラントコース修了認定(2010年)
  • インプラントアドバンスコース講師
  • (2007/2009/2010/2011)

市来正博

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