現在、男性の平均寿命は約81.5歳、女性では約87.6歳となっている(2021年)。 誰もが、ピンピンした人生を楽しみ、最後はコロリと逝きたいものだ。 では、現在“ピンピンコロリ”で逝ける方はどの程度だろう?(図1) 答えは約10%。 そして20%は、ある日突然、病気で倒れ要介護状態となる。 では、残りの70%の方はどうなるのだろう? 徐々に体が衰え要介護状態に至るという。 現在、平均寿命(2021年)と健康寿命(2019年)の差は、男性8.8年・女性12.2年。 単純計算をすれば、最後の10年は誰かの世話にならねばならぬ。 実際、75歳を境として男性70%・女性88%は徐々に自立度が低下する。 何とか、体の衰えを止める方法がないものだろうか? そこで登場したのが、健康と要介護状態の中間にある“フレイル”という概念だ。(注1) フレイルに気がつき、早期から何らかの取り組みを行うことで、要介護状態を防ぎ、健康寿命の延伸につながる。(図2) さてフレイルは以下の3つ“身体的”・“社会的”・“精神・心理的”を指す。(老年医学会) 1.身体的フレイル:加齢により筋肉量が減ったり、骨が弱くなる。さらに腰やひざなど関節の病気が増える。 2. 社会的フレイル:加齢に伴い地域社会とのつながりが希薄化する。 3. 精神・心理的フレイル:定年退職や伴侶喪失により、うつ状態などになる。 注:介護予防とフレイルの関係 https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/press_seminar/report/seminar_02_02.html 超高齢社会におけるフレイルの意義 https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/press_seminar/report/seminar_02_01.html しかし歯科医師が、一般の方々に話す際には、“社会”・“精神・心理的”を一本化し、代わりに“栄養・口腔のフレイル”を加えた方が説明しやすい。(図3) なぜなら、“社会”と“精神・心理的”フレイルは、類似した部分が多いためだ。 続く 注1日本老年医学会では“虚弱”はマイナスのイメージがあるため、“フレイル”の言葉を提唱している。
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
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