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2023年8月のピックアップ書籍

2023年8月のピックアップ書籍
2023年8月のピックアップ書籍

SRPまるわかりBOOK 歯周病の専門家が「逆」から考えるシンプル・効果的なトレーニング

木下淳博・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 7,700円(本体7,000円+税10%)・112頁 評 者 磯谷一宏 (東京都・赤坂見附磯谷歯科室)

実用書や学術書には、「正しいことが誤りなく順序立てて書いてある本」と「読者自らが理解し習得するための本」があります(これは講演会にも言えることかも知れません)。初めての学ぶ内容や新たなスキルを自分のものとするためには、もちろん後者の方がはるかに役立ちます。前者は、すでに内容についてある程度分かっている読者が、知識を体系的に整理して理解したり補強したりする際に必要になるだろうと思います。 本書は後者です。 著者によって約20年前に始まり、現在も連続満席記録を更新し続けている東京医科歯科大学歯科同窓会のC.D.E.歯科衛生士向けコースの内容と、そこで使用された資料、受講生とのQ&A、同大学歯学部口腔保健学科の講義や実習をもとに企画・制作されました。 実習コースからフィードバックされた「20年分の歯科衛生士の勘違いポイント」をふまえて、「歯科衛生士学校での実習の落とし穴」「シャープニングの確認方法」「歯石をはじく感触と根面を滑沢にする感触の違い」「スケーラーの動かし方3パターン」「狙った歯石に強い力を加えてパチンとはじくために」「教科書どおりの『覚えるポジショニング』から『考えるポジショニング』への発想転換」といった内容が登場します。 それぞれの要所にQRコードが設置してあり、読者はスマートフォンのカメラをかざして動画を見ながら読み進めることができるので、文字や静止画ではわからない(=歯科衛生士経験値が上がらなければわからない)SRPのスキルとポイントと落とし穴を、動画+明解な説明+静止画+拡大イラストで「これでもかこれでもかと手取り足取り説明」してくれる本に仕上がっています。 この本を見て読むと(または観て読むと)、「スケーラーをほとんど動かさずに、歯石(人工歯石)全体がごっそりはじけ飛ぶ動画」がイメージングできます。また「症例をパターン化、場合分けし、そのそれぞれの事例、パターンに応じて、具体的にどのように考え、判断していくかの過程」が身につきます。SRPに関して ・<なぜ>それをする必要があるのか ・<何を>すれば良いのか ・<どうやって>何を用いてどんな方法ですれば良いのか ・<今すぐ>まず何から始めれば良いのか (これは院長も、スタッフや患者さんから質問されたら即答できるようにしておかれることをお勧めいたします)が明確になる本です。新人教育や院内ケースプレゼンテーションの準備段階で使う「初めての1冊」または「すぐ読み返す1冊」として最適です。 「解っている人が整理した知識を教える本」ではなくて、「誤解している人に新たに解りなおしてもらう本」「どうすれば理解してもらえるかを考え抜いた本」です。読後には「パチン、チリチリ」が記憶に残ります。

自院のあり方を見つめ直す機会になる、全世代の歯科医師必読の書! 本当は教えたくない!  1億円歯科医院の作り方  経営編

田中健久/今井健二・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 6,050円(本体5,500円+税10%)・136頁 評 者 船登彰芳 (石川県・なぎさ歯科クリニック)

筆者は、著者の1人である田中健久先生が以前から開業セミナーを開催されていることを知っていた。また、亡くなられたお父様は総義歯の大家であり、筆者が若い時にその著書を熟読していたこともご縁だと思う。そして現在、田中先生には5-D Japanのデンチャーコースの一員として活躍してもらっている。 本書のために書き下ろしたChapter7で、筆者が僭越ながら田中先生に「10年後どうなっているかを考えて仕事しろよ!」と言ったという件も登場するが、それよりもChapter6で例を挙げている「どんなにインプラント治療が上手で、歯肉のマネージメントに長けていても、それが技術として患者に伝えられないなら歯科医院を大きくしたりできないでしょう」という言葉のほうが筆者には当てはまり、本書の有用性を痛感した次第である。 では、簡単ではあるが本書について紹介させていただく。まず、著者らが本書で伝えたいことは、「どう1億円の歯科医院を築くか、そしてどのように拡大・分院展開をしていくか?」ではなく、院長かつ事業主として、経営・スタッフの雇用をいかに確実にマネージメントしていくかであると感じた。 「Chapter1」では“風呂に栓をしましたか?”と投げかけ、新患獲得以上に、来院患者の定着の重要性、就業時間・人件費の見直し、無駄の削減について述べている。 「Chapter2」では人材マネージメントについて、昔ながらの手法は伝わらないとし、院長の伝えたいことの9割は伝わらないことを前提として、ゆとり世代、Z世代のスタッフや若手歯科医師にどのように接するか、また職場環境・給与・勤務形態の改善のあり方を提言している。 「Chapter3」では、さまざまな媒体による宣伝広告に言及されつつも、「究極は医院の総合力を底上げし、患者・スタッフの口コミです」と述べているのも興味深い。「Chapter4」では、歯科医院の継承のメリット・デメリットを述べ、「Chapter5」では、脱どんぶり経営のために、売上に対してそれぞれの支出の棒グラフの作成を推奨し、可視化する有用性を報告している。 「Chapter6」では“仕組みが9割”とし、働く人が成長する仕組み(成長と承認)にいくつかの手法を紹介し、無駄をなくす仕組み(医院の経営効率化)を助言している。そして、「Chapter7」では、将来起こりうる人口減少と高齢化に対処する1つの提案もされている。 タイトルで、「本当は教えたくない! 1億円歯科医院の作り方」とあるように、著者のお二人がこれまでの失敗から学んだ現在の実践を赤裸々に開示されている。今医院がどのような売上げであっても、また若手歯科医師で自院を持ったばかりの先生や、筆者と同世代の先生方も含めて、幅広い世代の先生方に読んでいただき、これからの自院のあり方を今一度見つめ直す機会となると思い、本書を推薦させていただく。

“令和”のエビデンスを中心にまとめられた 最新カリオロジー指南書 あなたの知識は最新ですか? 歯科衛生士のための カリオロジーダイジェスト

天野敦雄/久保庭雅恵・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 4,950円(本体4,500円+税10%)・120頁 評 者 山本浩正 (大阪府・山本歯科)

天野教授はPg菌と喧嘩別れしたのか(喧嘩別れ説)? それともPg菌からミュータンス連鎖球菌に心変わりしたのか(心変わり説)? あるいはペリオドントロジーのカリスマ教授がカリオロジーの世界に攻め入ったのか(どうする家康説)? そんな野暮ったい憶測は“昭和”から脱却していない証拠だ。だって、本書は“令和”のエビデンスを中心とした最新カリオロジー指南書だから。 天野教授と久保庭准教授は大阪大学歯学部の予防歯科に在籍されている。私が臨床実習で予防歯科に行った時には、グレイシーキュレットでSRPの真似事をしたり、ブラッシング指導もどきをしたのを覚えている。そう、予防歯科では口腔内疾患の発症の予防や、進行の抑制をするところなので、口腔衛生学というよりペリオドントロジーやカリオロジーが交差する横断的な色合いが強い。なので、喧嘩別れしたわけでもなく、心変わりしたわけでもなく、家康がどうしたわけでもなく、カリオロジーは予防歯科における日常ルーティーンなのだ。ちなみに予防歯科実習の患者役に呼んだ母親は、診療室で私を呼ぶときに「ヒロちゃん!」と言ったので、ずっと皆に茶化された。 本書では“昭和”と“令和”を対比してカリオロジーを語っている。これは結構思い切った戦略である。間に“平成”という緩衝帯があるからこそ成り立つのかもしれない。だって、学問は日本の和暦に合わせて進化するものではないから。しかしながら、著者らの「眉唾のかかっていない最新情報を伝えたい」という並々ならぬ想いはひしひしと伝わってくる。総括的に示すエビデンスは信頼性が高く評価されているコクランを多用しているし、参考文献にはPubMed IDを付けてアクセスしやすくしている(早速いくつかの文献をチェックしました!)。URLではなくQRコードでHPへのアクセシビリティーを上げるなんて、至れり尽くせり状態だ(P.51のCRAモデルやP.91、92の生活指導など)。 クロルヘキシジンによる洗口で収縮期血圧が上がるという報告(拡張期血圧は有意差無し)は印象的なので覚えていたが、本書ではその後の報告をコラムで取り上げている(P.69)。また、P.67の硝酸塩に関する情報は、ディスバイオーシスを防ぐ方法を模索する一貫としてペリオドントロジーでも注目されているトピックである。 天野教授は日本一多忙な歯学部教授だと確信している。そんななかで、最新情報を適切に伝えるだけでなく、OHI(TBIではなく)のノウハウ(P.78〜)を伝授する姿勢に脱帽である。ここまで書いてきて今気づいた! 本書は“歯科衛生士向け”らしい! これは“えらいこっちゃ!”である。歯科医師はすぐに本書を熟読し、参考文献もチェックして“知ったかぶり”をしなければならない。いやはや、著者らは迷える子羊を導く“ザビエル”ではなく、“神”の領域に入ってしまった。アーメン。

医科歯科連携を目指すすべての医療従事者に参考となる内容が満載! 別冊ザ・クインテッセンス 病院歯科の現在地 人生100年時代に向けて医療連携で実現する口腔の健康から全身の健康へ

飯田昌樹/石井良昌/白石 愛/鈴木宏樹/ 恒石美登里/寺中 智/野原幹司/松村香織/ 光永幸代/米永一理・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 5,940円(本体5,400円+税10%)・112頁 評 者 黒滝義之 (千葉県・黒滝歯科)

もともと歯科医師会で地域保健にかかわっていたこともあり、本書のタイトルを見てたいへん興味をもった。超高齢社会のなか、増加する75歳以上の外来歯科受診数はそれ以前の若い世代よりも減少し、要介護(要支援含む)認定者数は680万人を超えている。当然ながら病院の受け入れは増加、病院歯科の不足も懸念されている。全国の病院での歯科の標榜は現時点で約20%だが、日本歯科医師会のビジョンでは2035年までに30%の設置を目標にしている。 筆者自身は歯科のない病院への訪問診療に長く携わっているが、当然ながら常勤の歯科医師と歯科衛生士がいれば、周術期や化学療法患者の口腔機能管理などはもちろん、病棟の口腔ケアもより充実度が増す場面は多々ある。特にがん末期や有病者の口腔管理は専門職の介入の必要性を感じている。また、医科歯科連携がうたわれて久しいが、病院歯科との連携は他地域ではどのような取り組みをしているのか興味があった。 本書の表現を借りると「上り」の関係である開業歯科医院からの依頼は、単に難抜歯や粘膜疾患の精査依頼がほとんどではないであろうか。実際には、内容不十分な情報提供書が多く、病院歯科医師は紹介された患者への対応に苦慮することも少なくない。本書はChapterごとに医科と歯科医院との連携のための中継としての病院歯科の役割が詳説されている。開放型病床、病院歯科医師による地元歯科医師会の理事としての活動、病院歯科としての退院時カンファレンスへの参加、病院歯科の歯科衛生士の役割、オーラルフレイルと食支援、リハビリ病院での口腔衛生管理と看護師との情報共有の手段、摂食嚥下と医科歯科連携、がん治療前の歯科治療の必要性やMRONJ、がん支持療法と歯科の役割など多岐にわたって示されている。 筆者の地元では、開放型病床の制度も立ち上がりこそ利用があったものの、Chapter2に示されているとおり利用が減少してしまう傾向がある。その対応策として地元歯科医師会との連携について記されており、それぞれのChapterはさまざまな地域での病診連携の処方箋のような内容でたいへん参考になった。 我田引水だが、地元の郡市歯科医師会で準会員を制定し、当該郡市はもちろん、行政区に制限されずに近隣郡市の病院歯科でも入会できる仕組みとした。結果として市内外の病院歯科の入会者は2名から8名に増加し、顔の見える関係が構築され、情報共有、連携に期待しているが、現状では十分に生かされたとはいえない。今後は手術や化学療法に限らず、MRONJ、糖尿病患者、口腔顔面痛やリエゾン外来など多様な連携が増加すると思われる。

8月の新刊立ち読み書籍の紹介

■クインテッセンス出版株式会社 2023年8月度新刊書籍 書名:アナトミー2 副題: もう一度確認したいインプラント臨床のための解剖 著者: Louie Al-Faraje(ルーイ アル=ファラジュ) 監訳:森本太一朗(もりもと たいちろう)/新井聖範(あらい きよのり)/長尾龍典(ながお たつのり) 翻訳統括:五十嵐 一(いがらし はじめ)/松成淳一(まつなり じゅんいち)/坪井陽一(つぼい よういち) 翻訳:安倍稔隆(あべ としたか)/今井 遊(いまい ゆう)/鈴木篤史(すずき あつし)/中島航輝(なかじま こうき)/松成彩絵(まつなり あやえ)/毛利国安(もうり くにやす) ジャンル:インプラント/口腔解剖/口腔組織             内容:世界的に著名なインプラントロジストであるLouie Al-Faraje氏による、インプラント臨床のための解剖を詳説した本書。今日のインプラント臨床にもっとも適合するよう前著『アナトミー』からアップデートを行い、頬骨の章の新設、既存の章も大幅に改善し、前著より50ページほど増ページした。緻密なイラスト、CT画像、写真などによって、特殊な形態や解剖学的に難易度の高いインプラント関連の外科手術の習熟とその実践を実現する。 ■クインテッセンス出版株式会社 2023年8月度新刊書籍                         書名:その下顎位をどう決める? 副題: ―全顎的補綴修復治療・矯正治療のための臨床的知識― 著者名:中村茂人 ジャンル:補綴一般/咬合-咀嚼             内容:いったんうまくいった治療でも後々再治療を繰り返すことになった経験は誰しもあるだろう。その原因として咬合に大きな問題を抱えていた場合には、どう対応すればよいのだろうか。そもそもできる限り再治療を避けるためにはどうすればよいのだろうか。本書ではその答えの一つとして、著者がこれまでの臨床経験で培ってきた「適正な下顎位の考えかた」を中心に、症例の「みかた」と実践方法、症例の数々を余すところなく紹介する。 ■クインテッセンス出版株式会社 2023年8月度新刊書         書名:妊婦,赤ちゃん,子どもの診かたがわかる本 副題:マタニティ期も出産後も,保護者と小児の口腔と健康のために歯科ができること 監著:藤岡万里 著:井上美津子/片山育子/西村滋美/原 聰/宗田友紀子 ジャンル:小児歯科/歯科臨床一般             内容:妊婦,そして出産後の母子の口腔と健康を支えるために,かかりつけ歯科医院でできること,知っておきたいことがわかる本です.妊産婦の口腔を含めた心身の変化や歯科受診時の注意点や配慮すべきこと,そして生まれた子どもの乳幼児期から学童期まで,歯と口腔の成長をいかに診て,支えていくかを具体的な対応法とともに解説します.かかりつけ歯科医院だからこそできる,親子に寄り添った切れ目ない支援にぜひ活用してください. ■クインテッセンス出版株式会社 2023年8月度新刊書籍 シリーズ名:「the Quintessence」別冊 書名:TQ別冊PRDYB2023 副題:成人矯正を成功に導くための歯周-矯正治療 著者名:[主席編集]岩田健男 [主席編集]山﨑長郎 [主席編集]和泉雄一 ジャンル:「the Quintessence」別冊  内容:2022年英語版PRDに掲載された論文の中から、12名の著名編集委員が精査した「ペリオ」「補綴」「外科」「インプラント」「新材料・テクニック」分野の注目10論文を全文翻訳掲載。毎年注目を集めているUrbanらも掲載。日本版では「成人矯正を成功に導くための歯周⁻矯正治療」と題し、国内の臨床家3名に、骨吸収および歯肉退縮の対処方法や根面被覆を用いたアプローチ、またSFOT理論を応用した症例について解説いただいた。

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