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発達期における咬合の変化 その2 第1世代から第4世代の乳歯列の変化

発達期における咬合の変化 その2 第1世代から第4世代の乳歯列の変化
発達期における咬合の変化 その2 第1世代から第4世代の乳歯列の変化
筆者は常に「口は食物が入る最初の場所であるから、食物が変わると最初に変わるのは口ではないか」と考えてきた。

乳歯の閉鎖型歯列弓・過蓋咬合などの増加。
また唾液分泌量の減少・口唇閉鎖不全などの口腔機能発達不全も食生活や食べ方などの要因があると思う。

そこで、これまで撮影してきた乳歯列の口腔内写真を見直した。

あくまで私見であるが、乳歯の歯列を時系列的に第1世代から第4世代に分けてみた。

筆者は、以下の順に変化してきたと考えている。


(注:年代は目安)

第1世代は、乳前歯の被蓋の浅い"空隙歯列弓"である。

次に第2世代として"閉鎖型歯列弓が増加"した。

その後、第3世代の"過蓋咬合の増加"、さらに第4世代 下顎後退位置が見られるようになってきた。

第1世代から第2世代は"歯列幅径の減少"(左右幅)、第3世代は"咬合高径の減少"(上下幅)、第4世代は"前後径の減少"(前後幅)と3次元的に口腔容積が減少している様に感じている。

本メルマガの読者には、先輩の小児歯科医や矯正歯科医、それに咬合・機能を専門家が数多くおられるだろう。

先に述べておくが、筆者は大学で咬合や機能の研究に携わってきたのではない。

40年間、診療室や幼稚園等での歯科健診を振り返ったものであり、考え違いもあると思うが、あくまで私見としてご容赦いただきたい。


まず、第1世代の空隙歯列弓から,第2世代の閉鎖型歯列弓の増加ついて考えたい。



第2世代においても、左から右に変化しているように感じている。



①上顎前歯に空隙はあるが、下顎前歯にはない。(最初に下顎に閉鎖型歯列弓が見られた)
②上下顎ともに閉鎖型歯列弓。(上下ともに閉鎖型歯列弓)
③歯冠幅径の増加(高たんぱく食?の増加による乳歯の大型化)

このような閉鎖型歯列弓は、いつ頃から登場したのだろうか?

さて1970年頃、筆者の師匠 兵庫県の小児歯科医 徳永順一郎先生が勤務されていた名古屋のライオンファミリー歯科診療所でのこと。

故桑原美代子先生から「この子 珍しいよ!乳歯列なのにまったく空隙がない。永久歯になったらどんな歯並びになるのか心配ね」と言われたという。

それから50年、乳歯の閉鎖型歯列弓は当たり前、空隙歯列弓が珍しい時代になった。

続く

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識 「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

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