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2023年5月のピックアップ書籍

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ザイゴマインプラントを変えたZAGAコンセプトのすべてがこの1冊に! ZYGOMATIC IMPLANTS 日本語版 The Anatomy-Guided Approach

Carlos Aparicio・著 安藤正実・訳 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 24,200円(本体22,000円+税10%)・284頁 評 者 細川隆司 (九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野) ザイゴマインプラントで著名なDr. Aparicioによる名著、『ZYGOMATIC IMPLANTS』の日本語版がようやく出版された。本書のサブタイトルに由来するZAGAコンセプトとはZygoma Anatomy-Guided Approachの頭文字を取った造語であり、直訳すると「解剖学的な特性に沿ったザイゴマインプラントの治療アプローチ」を意味している。ザイゴマインプラントは20年以上使用され、多くの臨床研究では良好な結果が示され、高度な骨吸収を示す上顎無歯顎症例で有効なことは認識されている。しかし、副鼻腔炎などの併発症や手術時のトラブルなども報告され、侵襲やリスクが大きな術式として捉えられてしまい、批判的な意見も少なくなかった。しかし、それを見事に覆し世界中で高い評価を受けたのが本書である。 著者らは、高度な骨吸収を示した上顎無歯顎症例に対して、ザイゴマインプラントを患者の解剖学的特性に合わせた術式で用いれば、大がかりな骨移植やそれにともなう大きな侵襲なしに、短時間でスクリュー固定の上部構造を装着でき、実際は極めて低侵襲な術式といえること、また、適切な診断と術式選択、周術期管理を行えば、極めて安全・確実な治療アプローチであることを丁寧に、かつ科学的根拠に配慮して解説している。この科学的根拠を重要視する背景には、Dr. Aparicioがイエテボリ大学に在籍していたことが大きく影響していると思われる。実際、本書ではLars Sennerby博士が執筆協力しており、Tomas Albrektsson博士が序文を執筆していることも注目に値する。本書は、背後にある理論的根拠、解剖学的および生体力学的事項、画像診断、副鼻腔への配慮、禁忌、補綴学的考慮、合併症の管理など、ザイゴマインプラントに関する基本事項をすべて網羅している。この本は、ザイゴマインプラントに取り組む臨床医だけでなく、批判的な立場の臨床医にこそ読んでいただきたい名著である。 訳者の安藤正実先生とは、10年以上前にリスボンのCLINICA MALOで偶然出会って以来の知己であるが、現在は東京でZAGAセンターを運営されており、訳者としては最適であろう。Dr. AparicioのZAGAセンターはスペインのバルセロナにあるが、スペイン語でzagaとはどういう意味かご存知だろうか? zagaとは、後ろ、最後の守りという意味であり、サッカーではセンターバックをzagaと呼んでいるらしい。まさにザイゴマインプラントは、骨吸収が顕著な上顎無歯顎において、患者のQOLの維持、向上を図るうえでの最後の手段、堅固な守りとも思える。これまで、やや異端視されてきたザイゴマインプラントに関して、本書によって、患者個々の解剖学的特性に合わせた術式選択や、安心・安全な手術、適切な周術期管理などの正しい理解が深まり、インプラントを諦めていた患者の一人でも多くの機能回復とQOL向上につながることを祈りたい。

美しい臨床写真により解説された超現実的で実践的なCR修復テキスト 必ず上達シリーズ 必ず上達 CR(コンポジットレジン)修復 トラブルを防ぐための診断とテクニック

樋口克彦・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 9,350円(本体8,500円+税10%)・148頁 評 者 木村英生 (福岡県・木村歯科医院) 松本歯科大学歯学部の同窓であり、評者も所属するスタディグループ北九州歯学研究会、筒井塾、経基臨塾などでも同朋である樋口克彦先生が、このたび「必ず上達 CR(コンポジットレジン)修復−トラブルを防ぐための診断とテクニック−」を上梓された。 樋口先生は私の後輩であるが、以前から臨床に対して非常に真面目に、実直に、真摯な姿勢で取り組み続けてこられ、目覚ましい臨床結果を挙げておられる。また、若い頃から筒井塾や上田塾等の先輩方に厳しく鍛えていただき研鑽を続けてこられた結果、今や確固たるご自身の臨床哲学をもち、独自の臨床スタイルを確立しておられる、心から尊敬できる臨床家である。その樋口先生がこのたび、このようなすばらしい書籍を上梓されたことにあらためて敬意を表したい。 本書を初めて手にして目をとおした時に、まず提示されている美しい臨床写真や器具・機材を紹介する写真、考え抜かれたわかりやすいイラスト等々に目を奪われた。日常臨床におわれる日々のなかで、これだけ数多くの説得力のある写真やイラスト等を揃えるだけでもたいへんな労力が必要だったであろうことが、容易に想像できるであろう。 さらに、美しいのは臨床写真だけではなく、顎模型や治療ステップ説明の写真や図表なども同様であり、どうすれば読者に読んでもらえ、伝えたいことを伝え、筆者の真意を理解してもらえるのかを、考えに考え抜いて執筆された結果であろう。とにかく、提示されている写真や図表を眺めているだけで、樋口先生の臨床の世界(すばらしい異世界)に引き込まれるような錯覚を覚えるほどであった。これほど懇切丁寧に、美しい臨床写真や図表をふんだんに使用して構成された臨床テキストは、過去にも極めて少なかったのではないだろうか。 書籍タイトルの副題として「トラブルを防ぐための診断とテクニック」とあるが、歯種別、窩洞別にイラストや口腔内写真、器具・機材の写真等を駆使して解説がなされており、理解しやすく、かつ超実践的な内容となっている。また、CR修復の捉え方、長所と短所、接着臨床の基本的事項、守るべき要点、適応症と窩洞設計、歯髄保存への取り組み等々を歯種別、部位別、ケース別にわかりやすく美しい臨床写真を使用して細部まで詳細に説明されている。さらに、読者の失敗を回避をするため失敗症例についても多くのページが割かれており、これまでにない超現実的で実践的なCR修復のテキストである。 樋口先生の、臨床結果にかけるすさまじいまでの執念と強い意志、もって生まれたセンスと弛まぬ努力により培われてきた臨床センスが、この1冊にみごとに結実している。本書を手に取った読者は間違いなく感嘆し、自分もCR修復に取り組んでみようと思わせるすばらしい書籍である。

即戦的な治療手順、リスク対応について、ずばり、サポート 超速でわかる  有病者にやっていい治療、だめな治療 病気のある患者の歯科治療

坂下英明/柴原孝彦/近藤壽郎・編著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 5,280円(本体4,800円+税10%)・112頁 評 者 白川正順 (元・日本歯科大学口腔外科学教室第1講座主任教授、明海大学歯学部客員教授、(一社)日本有病者歯科医療学会前理事長) 有病者歯科診療が日常臨床のなかに大きなウェイトを占めるようになって久しい。かつては、一次医療で代表される開業歯科医院における有病者の歯科治療は禁忌とされていたが、これだけ有病者人口が増えると、開業歯科医院とて避けては通れないのが実状といえよう。そのため、歯科一般臨床医が有病者診療を安心・安全に行える有病者診療のHow to本が必要不可欠になる。 今春、クインテッセンス出版から発刊された本書は、今までに見ない有病者歯科臨床の実践書なので、ぜひ、一読されることをお薦めしたい。また同時に、この機会を得て、内容などについても紹介したいと思う。 さて、早速、頁をめくってみたい。本書は大きく2つのPARTに分けて、整理されている。PART1では「有病者に注意すべき歯科治療と基本的戦略」と題し、有病者に対する局所麻酔、抜歯、投薬、歯周治療(SRP)などについて、“どういう場合はいいのか、だめなのか”を的確に捉え、読者の側に立って、かなり深い部分まで掘り下げ、教えてくれている。この章では、読者の理解度を深めたいと願う著者らの熱意が伝わってくる。 次に、有病者治療の実践で、基本中の基本であるバイタルサインのチェックあるいはモニタリングについて、その要領、手順について詳述されている。バイタルサインの精査は有病者歯科治療の要と言えるが、日常的にバイタルサインをチェックすることによって、病気の早期発見やリスクの回避につながるので、修練を積むことを推奨している。率直にいって、もっとも歯科医師にとって苦手なバイタルサインチェックの日常化、全人的診かたについて繰り返し論究されている。このポイントは有病者治療の目を養う点で、大いに役立つだろう。 PART2では「超速でわかる各病気のポイント」という表題で、日常、よく遭遇する心疾患などの循環器疾患、糖尿病、肝疾患、認知症、BP製剤服用患者などの疾患の病態を解説し、実際の問診のポイントや、診療のポイントなどを具体的・実践的に詳述している。視覚的にも読者が見やすく、わかり易く、見開き両ページにコンパクトに整理されているのも、学習する側にとっては嬉しい構成になっている。 本書の全体的な構成の特徴をまとめてみると、従来の有病者歯科読本と異なり、Part1に有病者歯科治療のHow toが先行して登場するので、回りくどくなく、臨床に溶け込みやすいという効果を引き出している。つまり、即戦的な治療手順あるいはリスク対応について、ずばり、サポートしてくれる。 また、本書の編者や著者は有病者歯科学に造詣の深い口腔外科の教授に加えて、臨床最前線の豊富な知識を持った歯科医師によって書かれている点も特筆される。 このような点から、あなたの明日の臨床に役立つ座右の書として本書を推薦したい。

求人の応募者数アップ、スタッフの定着率上げる“秘訣(ルール)”ここにあり! 7日間で構築できる労務管理制度 優秀なスタッフが集まる! 歯科医院のための採用から退職までのルールブック

太田隆充・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 3,960円(本体3,600円+税10%)・208頁 評 者 中島航輝 (東京都・世航会デンタルオフィス理事長) 本書は、スタッフ問題で悩む院長先生のために、労務管理のノウハウをわかりやすく社労士側の目線で書かれています。7日間でなくても、1日で全部読み終えることができる量でまとまっており、これから開業を考えている歯科医師や、労務体制を再度強化したいと考えている院長先生に最適な1冊となっています。 本書の7日間に分けた内容を見ると、「1日目人材集めのルール」では、やみくもに条件だけを良くするよりも、まずは内部のルールや環境を強化することが求人につながることが書かれています。評者も経験からそのとおりだと考えており、求人条件をアップする前に、院内の改革が重要なことを再認識できます。明確な目標として「1年間で離職率10%以下にする」「健康保険の選択」「厚生年金をどの段階で加入すればいいか」など、開業前の歯科医師に有益な情報が満載です。「2日目時間のルール」では、労働時間、有給休暇と就業規則の重要性という、経営者に必須の内容がスラスラとわかりやすく入ってくる文章で解説されています。「3日目お金のルール」は他書ではざっくりとしか書かれていない、基本給と諸手当が具体的に示され、そのまま使える内容になっています。皆勤手当、資格手当、役職手当、通勤手当などの諸手当を、基本給とは別に設定することの重要性、項目例まで丁寧に書かれています。必見のページです。さらに給与の締め日と支払日の設定方法、賞与についても理解度が高まる内容です。「4日目人材定着のルール」は、内定通知書、雇用契約書、誓約書の書き方と活用ポイント、あったら便利な労務管理書式例などが案内されています。事前に知っておくと社労士と相談しやすくなると思います。「5日目就業規則のルール」は職場の憲法である就業規則の重要性についてです。絶対に記載しなければならない事項、ルール作りに必要な事項などがわかりやすく書かれています。就業規則の策定は、院長自身でかなり慎重にチェックが必要な儀式ですので、このページも必見です。「6日目採用のルール」では、履歴書の見るポイント、面接時に聞いてはいけない事項など、院内の採用担当者とも共有したい情報が書かれています。面接時に15分でできる適正検査の重要性と、そのまま使える例があります。適正検査は、評者は特に歯科助手の面接時で重要であり、実施するとしないではスタッフの質が大きく変わると感じます。面接時からスタッフのスキルチェックにもなり、今後の医院運営をスムーズにできるポイントだと考えます。ハローワークの重要性も再認識できます。「7日目評価と育成のルール」では、能力、行動、目標管理で組み立てるスタッフ評価が理解できます。 7日かけてじっくり読むもよし、1日でササっと見るだけでも、院長先生の今後の労務管理能力が、ワンランク以上アップします。求人で悩む院長先生、これから開業の先生にぜひ読んでいただきたい1冊です。

気道に関する知識や経験豊富なエキスパートの先生方が勢ぞろい! 別冊ザ・クインテッセンス 気道“Airway”を診る 日常臨床に生かす三次元CT&解析ソフトウェア活用術

外木守雄 ・編著 井上敬介/筒井武男/古畑 升・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 6,050円(本体5,500円+税10%)・96頁 評 者 荒井昌海 (東京都・エムズ歯科クリニック) 2017年、私はラスベガスで行われた、とあるシンポジウムに参加していた。シンポジウムのメインテーマはデジタル機器を用いた補綴治療&インプラント治療であった。3日間にわたって行われるそのシンポジウムの会場へ行くと、なんと初日最初の基調講演のテーマは「無呼吸症候群への治療」であった。当時、日本ではまだあまり馴染みがないそのテーマに、大勢の米国の歯科医師が熱心に聴講していた。それが私と無呼吸症候群の最初の出会いであった。 私は帰国してすぐに無呼吸症候群に関する歯科の書籍を3冊購入して読んだ。そして、気道が解析できるソフト(SICATエアー、デンツプライシロナ)と、睡眠検査装置(フィリップス・コダック)も2種類購入して早速患者を探して加療した。今までの治療にはなかった、完全に新しい視点で、気道を意識して診査・診断するきっかけになった貴重なターニングポイントとなった。 あれから6年がたち、今回別冊ザ・クインテッセンス「気道“Air
way”を診る」を拝読した。一般的には診療することを「診る」と表記するが、この別冊の巻頭アトラスにあるように、今や気道を目で視覚的に「見る」ことが可能になった。しかもカラーで色分けされ、3Dの立体的な形をあらゆる角度から診査・診断することが可能になっている。なんと見やすいことだろうか。また、本書では、日本で購入可能な「気道を診る(見る)」ことができるCTやソフトごとに、気道のエキスパートの先生方のすばらしい症例を閲覧することができた。最初の古畑升先生の症例では、われわれがどうしても咽頭付近に目が行きがちな点に対して、上気道の鼻腔にもアデノイドのような原因があることに気づかせてくれる。続いて外木守雄先生の症例では、物理的に気道が狭い患者に対して、上顎骨・下顎骨をそれぞれ外科的に前方移動させるすばらしいケースを供覧することができる。Dolphin Imaging(ジーシーオルソリー)というソフトを完全に使いこなし、すばらしい治療計画を立てていることに脱帽する。3症例目の井上敬介先生とは私は何回かお話させていただいたことがあるが、たいへん熱意のあるすばらしい先生で、いつもながらとてもわかりやすく、かつ詳細にその症例報告を仕上げている。子どもの気道の成長発育に関して造詣が深いことは間違いない。今回の症例も筋機能療法を活用しながら、とても丁寧に仕上げているのがわかる。最後の症例の筒井武男先生は、顎関節から気道の診断までを包括的に行い、AirwayDrivenともいえる歯列弓を拡大して舌房を確保した治療計画を立てているのが印象的であった。まさに包括診療といえる。 日本ではまだまだ馴染みの薄い無呼吸症候群診療ではあるが、その発生率は欧米と日本で変わらないといわれている。われわれ歯科医師がいち早く発見し、患者のQOL向上と、心臓や脳などに起こるといわれる合併症の予防に貢献したい。

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