フレイルには“身体的”・“社会・心理的”、そして“栄養・口腔”の3つがある。(図1) まず身体的フレイルは、加齢により筋肉量が減ったり、骨が弱くなる。さらに腰やひざなど関節の病気が増える。 それとともに、徐々に歩くのが遅くなる・握力が低下する・ 転びやすくなってくる。 読者は、次の症状がみられないだろうか? ① 最近、早く歩くと息切れする。 ② ペットボトルのフタが開けにくい。 ③ ちょっとした段差で足を引っかける。(図2) 筋肉が衰えると、外出することがおっくうになる。さらに転倒し大腿骨を骨折すると入院し、車椅子のお世話にならなければならぬ。 そこで筋肉量のチェックをしてみよう。 まず、指で輪を作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲む(指輪っかテスト)。(図3) このテストは、下腿部の筋肉量を表している。 ひとつ試していただきたい。 いかがだろうか? ① ちょうど囲める。 ② 太くて囲めない。 ③ 囲むと隙間ができる。(図4) 足は細い方が・・と思われがちだが、隙間があると筋肉が落ちているので要注意だ。 隙間があるグループは、囲めないグループより、筋肉量が減るサルコペニアが6.6倍多いという。 でもメタボよりましかと思われるだろう。 確かに、中年までは生活習慣病に気をつけなければならない。 しかし、高齢になると栄養不足が問題になる。 実際、65~79歳の高齢者を11年追跡した結果、BMI(体格の指標)の低い(痩せ)グループは、死亡リスクが高かった。(注1) BMIはメタボの指標であったが、65歳以上になると当てはまらない可能性がある。 これが“BMIパラドクス”だ。 過剰なダイエットは、問題なのである。 さて、ここまでは通常のフレイルの話。 さてさて、動物園の動物にもフレイルがあることをご存じだろうか?(図5) 注1: Tamakoshi Aら.Obesity(Silver Spring).2010;1826 2-9.
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
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