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2024年12月のピックアップ書籍

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著者の肉声による動画解説が秀逸! 改訂版 インプラント外科 動画で理解! 基本手技と自家骨移植のポイント

堀内克啓・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 13,200円(本体12,000円+税10%)・160頁 評 者 石川知弘 (静岡県・石川歯科)   堀内先生は日本が世界に誇る口腔外科医である。評者は15年以上にわたり指導をいただき、何度も講演を拝聴し、ときには同じ演台に立ち、また、手術の助手にもつかせていただいたこともある。外科の基本から、骨移植、サイナスリフト、即時過重等のアドバンスな技術まで、多くを学ばせていただいた。 本書は2010年に発刊され、今改訂では、26本の手術動画が追加されてより実践的となった。インプラント治療は他の補綴処置では達成できない治療効果を有する治療で、外科処置が不可欠である。 第1章では、インプラント外科基本手技として、切開、剥離、埋入窩形成、埋入、縫合に関して、外科の初心者でも理解できるように、わかりやすく解説されている。骨造成は自家骨移植もGBRもフラップの一次治癒が達成されることが求められる。適切なデザインで、精密な切開面をもつフラップを正確に形成することは、手術の成功にとって最重要事項である。改訂版では動画によりとてもわかりやすく解説されている。 インプラント埋入に関しては埋入位置、骨質に合わせたドリリングと埋入のテクニカルポイント、ガイドの使用法など、著者の経験に基づいて実践的に解説されている。縫合に関しても、一次治癒を達成するためにもっとも大事なことと、それを実践するための手技が明確に示されている。 第2章では骨造成について解説、とくに減張切開は増大した移植骨の固定によって体積が増加した術部をテンションフリーで完全に被覆するために重要なステップである。しかし、術者間に差がでるステップで、経験が少ないと出血、神経損傷、術後腫脹など、合併症を懸念するあまり十分な減張を得られないことがあり、手術の成功に直接影響する。そこで本書の後半に超難症例を成功に導く著者のテクニックが動画とともに示されている。さらに著者の自家骨移植のテクニックは移植されたブロック骨の中にインプラントが埋入されるのではなく、ブロックを外側性スペース維持のために応用した粉砕自家骨移植であり、インプラントは早期にターンオーバーして新生した骨によって被覆される技術である。 第3章では自家骨採取について解説。GBRにおいても、残存骨量が少なく母床からの骨伝導が不利になればなるほど、つまり難症例になるほど移植材の自家骨の割合を高くすべきで、口腔内から合併症を回避しつつ、いかに効率よく採骨できるかが重要である。本章も動画も含めて、簡潔でわかりやすく実践的である。 第4章は水平的、垂直的骨造成の各論を症例ごとに、部位ごとのテクニカルポイントが詳述され、自家骨移植の可能性が存分に示されている。 160ページのコンパクトな書籍であるが、どこを開いても貴重な実践的なテクニックのポイントが詰まっている。インプラント外科がうまくなりたい歯科医師は経験の量にかかわらず、必読の書である。

“ここが変わった”待望の令和6年度医療・介護同時大改定準拠の最新版完成! よくあるケースでイチからわかる! 開業医のための 歯科訪問診療算定ガイド 2024年改定対応版

辻本恭久・監修 小林 平/佐久間利喜/菅原佳広/三橋 純・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 7,920円(本体7,200円+税10%)・152頁 評 者 大河原純也 (茨城県・ありす歯科医院) わが国においては総人口が減少するなかで、65歳以上の高齢者の人口は3,625万人と過去最多となり、総人口に占める割合は29.3%と過去最高となった(総務省による2024年9月15日現在の人口推計)。また、65歳以上人口の割合は、世界で最高(200の国・地域中)となっている。 さらに、全国の介護保険の保険者が策定した第9期(2024〜2026年度)事業計画から、2025年度時点で65歳以上の高齢者のうち、要介護・要支援認定者数は717万人で、認定率は19.9%にもなることが、厚生労働省の集計によりわかった。 こうしたことから、健常時には医院へ自力で通院していた患者さんの多くが、加齢や状態変化等により通院できなくなるおそれがあり、それにともない、自宅や入院・入所施設などへの歯科訪問診療を要請されるケースが、今後もさらに増えることが想定される。 こうした増大するニーズをふまえ、われわれ歯科医師は、厚生労働省が推進する地域包括ケアシステムにおいて、医師や薬剤師,さらにはケアマネジャーなど他の関係職種らと緊密に連携しながら、訪問診療に参画することが求められている。 本書は、歯科訪問診療が初めてという先生のみならず、不慣れな先生から経験豊富な熟練の先生に至るまで、幅広い層をターゲットとした絶好の保険請求の指南書となっている。ぜひお手元に置いて、日々の診療・保険請求にご活用いただきたい。 本書の具体的な特徴をまとめると以下のとおりとなる. 今年度は診療報酬と介護報酬のダブル改定となったため、巻頭企画」として冒頭に特設ページを設け、それぞれの新たな算定項目と変更点や「改定事例1〜6」と銘打った具体例で、わかりやすく説明している。 「第1章」では、訪問診療に行ったことがない、訪問診療に尻込みし、二の足をふんでいるなどの未経験な先生を対象に、基礎的な知識と準備事項についてQ&A形式(10項目)で懇切ていねいに説明している。また、不慣れな介護保険の請求にもスムーズに対応できるよう、きめ細かく解説している。 「第2〜4章」では、さまざまな依頼のケースに幅広く対応できるよう豊富な事例数(合計27例)を網羅し、表や写真も交えながら、わかりやすく詳細に解説している。さらに「知っておこう」「アドバイス」の各コラムでは知識や情報の深掘りに努め、ワンポイント的に補完している。 新規指導を含む個別指導にもしっかりと対処できるよう、カルテ記載が非常に充実している。また、算定や届出に必要な各種文書の書式と記載例も提示されており、大変心強い。 筆者は初版と第2版の編集にかかわったが、回第3版まで版を重ねたことに、これ以上の喜びはない。本書が歯科訪問診療に真摯に向き合い、地域医療をしっかりと支えている開業医の皆様にとって、未来永劫保険請求のバイブルであり続けるよう、願ってやまない。

88本の動画で視覚的かつ直感的に学べる点が最大の魅力! 別冊ザ・クインテッセンス マイクロスコープ動画88本で学ぶ! 精密補綴処置 支台歯形成,圧排,印象採得から,プロビジョナルレストレーションの調整,患者説明まで

辻本恭久・監修 小林 平/佐久間利喜/菅原佳広/三橋 純・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 7,920円(本体7,200円+税10%)・152頁 評 者 大河原純也 (茨城県・ありす歯科医院) マイクロスコープを使用した精密補綴処置は、より正確で確実な結果をもたらすことに異論はないだろう。評者自身もこれまで、補綴治療のさまざまな場面でマイクロスコープを活用してきたが、振り返ってみると、正式に教わったわけではなく、自分なりの使い方をしていたことに気づいた。多くの先生方、評者と同様に自己流で使用されているのではないだろうか。 そんななか、マイクロスコープ分野で名高い四大巨匠(小林平先生,佐久間利喜先生,菅原佳広先生,三橋純先生)による「マイクロスコープを用いた補綴処置の教科書」ともいえる1冊が出版された。これまでの補綴関連の書籍は堅苦しいイメージがあったが、この本は多くの写真や88本の動画で構成され、視覚的かつ直感的に学べる点が最大の魅力である。 とくに、支台歯形成に関しては、上顎前歯、下顎前歯、上顎小臼歯、下顎小臼歯、上顎大臼歯、下顎大臼歯の6つのパートに分かれており、各著者のテクニックを体系的に学ぶことができる。 術者や患者、マイクロスコープのポジショニングは写真で、支台歯形成のテクニックはマイクロスコープの動画で学べる点も、視覚的にわかりやすい工夫である。 とくに興味深いのは、同名歯の支台歯形成であっても、著者によってアプローチが異なる点である。その違いが、術者・患者のポジショニングやマイクロスコープ選びの基準にも表れており、注目すべきポイントとなっている。4名の先生方から良い点を吸収して、読者自身に合った支台歯形成法を確立するのもよいだろう。 さらに、本書のもう1つの大きな魅力は、基本的な補綴治療の手技や考え方が包括的に網羅されている点である。支台歯形成法だけでなく、口腔内スキャナーを含めた印象採得法、圧排糸の挿入法、咬合採得、プロビジョナルレストレーションの製作法など、補綴治療における基本的な技術を習得するための内容が充実している。 さらに、マイクロスコープ映像を使った患者説明の例も紹介されており、著名な先生方がどのように患者に説明しているのか、治療の必要性をどのように伝えているのかを知ることができる。 評者自身も、さっそく本書で学んだフレーズを使ったところ、補綴治療の契約を獲得することができ、経営的にも大いに役立っている。 最後に、本書は精密補綴処置のすべてをマイクロスコープ動画で学べる内容となっている。学生や研修医、これから開業を目指す先生方はもちろん、すでにある程度マイクロスコープを使った治療を実践している歯科医師にも、非常に有益な情報が満載である。 マイクロスコープ技術をさらに深めたい方はもちろん、補綴治療の基本をしっかり学びたい方にも、ぜひ一読をお勧めしたい。

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