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コラム

しくじり先生の小児歯科 その27 言葉がけに台本はない

しくじり先生の小児歯科 その27 言葉がけに台本はない
しくじり先生の小児歯科 その27 言葉がけに台本はない
人に“ちょっと嫌なこと”を頼む時、お国別の話し方があるらしい・・。
ドイツ人には、「これは規則だから!」と言うと、やってもらえるという。
アメリカ人には、「これをするとヒーローになれる!」と言う、目立ちたがり屋が多いのだろうか。



では日本人はどうだろう・・?



正解は、「みんなやっているから!」である。
確かに、筆者自身も言われてきた覚えがある。
これは日本、独特のものだろう。

さて、“イエスセット”という言葉の使い方がある。
これは、子どもに“はい”や“ウン”と答えるような言葉がけを続ける。
例えば「この前は上手に出来たね。」
「ウン!」
「お父さんやお母さんは、よく頑張ったって誉めてくれたでしょう。」
「ウン!」
「きれいになった歯、幼稚園の先生やお友達にも見せてあげた?」
「ウン!」
「それじゃ!今日もむし歯さんをやっつけよう!」
「ウン!」という誘導の方法だ。

さて、治療終了後も,“心に貯金”をして帰すための言葉がけが必要だ。
簡単な治療でも、「今日治してきれいになったところ、お母さんに見せてあげようね。きっと上手にできたから褒めてくれるよ」と伝える。
あらかじめ、待合い室の保護者にも、退室時におおげさに褒めて欲しいと伝えておく。
さらに子どもには「治した歯、お父さんが帰ってきた時、見せたらきっと驚くよ!」などという。
もちろんお母さんには、お父さんもほめてあげる様に伝えてもらう。
かくして、子どもは歯科治療に自信を持つようになる。              

“言葉がけ”は、得意技になるので、思いつくままに書いてきた。
しかしこれは、子どもを意のままに操ったり、あしらったりするためのものではない。
術者やアシスタントの心から出てくる言葉で、「心と心をつなぐ」ためのものである。
“言葉がけ”には台本がないのだ。






著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識 「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

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