人に“ちょっと嫌なこと”を頼む時、お国別の話し方があるらしい・・。 ドイツ人には、「これは規則だから!」と言うと、やってもらえるという。 アメリカ人には、「これをするとヒーローになれる!」と言う、目立ちたがり屋が多いのだろうか。では日本人はどうだろう・・?
正解は、「みんなやっているから!」である。 確かに、筆者自身も言われてきた覚えがある。 これは日本、独特のものだろう。 さて、“イエスセット”という言葉の使い方がある。 これは、子どもに“はい”や“ウン”と答えるような言葉がけを続ける。 例えば「この前は上手に出来たね。」 「ウン!」 「お父さんやお母さんは、よく頑張ったって誉めてくれたでしょう。」 「ウン!」 「きれいになった歯、幼稚園の先生やお友達にも見せてあげた?」 「ウン!」 「それじゃ!今日もむし歯さんをやっつけよう!」 「ウン!」という誘導の方法だ。 さて、治療終了後も,“心に貯金”をして帰すための言葉がけが必要だ。 簡単な治療でも、「今日治してきれいになったところ、お母さんに見せてあげようね。きっと上手にできたから褒めてくれるよ」と伝える。 あらかじめ、待合い室の保護者にも、退室時におおげさに褒めて欲しいと伝えておく。 さらに子どもには「治した歯、お父さんが帰ってきた時、見せたらきっと驚くよ!」などという。 もちろんお母さんには、お父さんもほめてあげる様に伝えてもらう。 かくして、子どもは歯科治療に自信を持つようになる。 “言葉がけ”は、得意技になるので、思いつくままに書いてきた。 しかしこれは、子どもを意のままに操ったり、あしらったりするためのものではない。 術者やアシスタントの心から出てくる言葉で、「心と心をつなぐ」ためのものである。 “言葉がけ”には台本がないのだ。
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著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!
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