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2026年9月のピックアップ書籍

2026年9月のピックアップ書籍
2026年9月のピックアップ書籍

デジタル補綴治療を深く理解するための“確かな道標” How to CAD/CAM加工 基礎から学べるミリングメソッド

藤松 剛・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 14,300円(本体13,000円+税10%)・184頁 評 者 窪田 努 (京都府・クボタ歯科) 評者がIOSを使い始めたのは2018年で、それを機に本格的にデジタル補綴治療に取り組むようになった。 デジタル補綴治療といえば、モノリシックジルコニアである。当時、デジタルに強いと評判の歯科技工士に仕事を依頼すると、それまでのジルコニアコーピングとは比較にならないほど適合とフィット感が良く、さらにポーセレンで製作された咬合面よりも小窩裂溝がシャープに削り込まれており、大きな感動を覚えた。 当時はCADデザインが優れているからだと思っていた。しかし、歯科技工士に話を聞くと、実際にはミリングマシンとCAMソフトの設定が重要なのだと教えられた。そして多くの人が、藤松氏と同じミリングマシンを使用し、同じ設定にしているからデザインどおりに加工ができるのだと口を揃えて言うのである。そんなすごい歯科技工士が同じ京都にいることをその時に初めて知った。 その後、評者が主宰するiSightのMacコースに参加してくれたのが、藤松氏と直接対面する最初の機会となった。その際、ミリングマシンについてさまざまな話を聞き、その知識量に驚かされた。やがて仕事を依頼するようになり、現在ではメインの歯科技工所として、評者の臨床を支えてもらっている。 IOSが普及し、今後、多くの歯科医院でフルデジタルによる補綴治療が行われるであろう。しかし、CAD/CAM、とりわけCAMソフト以降の工程を理解している歯科医師がどれほどいるのだろうか。多くの歯科医師は、スキャンしてデータを歯科技工所へ送れば、そこで仕事が終わったかのように考えている。その後、送ったデータがどのように処理されてクラウンが製作されているのかについては目が向かず、ミリングは歯科医師からもっとも遠い工程と思われている。しかし、よく考えると、完成したクラウンが歯科医院へ届き、それを患者に装着するわけである。すなわち、装着直前の工程はミリングなのだ。もっとも遠いと思っていた工程が、実はもっとも近くにあったのである。 より良い補綴装置を製作してもらうには、歯科医師もミリングを理解し、ミリングマシンで再現できる支台歯を形成する必要がある。最小の切削工具が入るように隅角を丸め、できるだけ良好なフィットが得られように滑らかなディープシャンファーに形成しなければならない。 本書は、CAMソフトとミリングマシンの扱いを、藤松氏が詳細に書き尽くした専門書である。正直に言えば、多くの歯科医師が進んで手に取る書籍ではなく、こうした内容に興味をもつ評者のような歯科医師は、かなりの“変わり者”であろう。しかし、補綴装置が実際に形になる最後の工程を知ることは、デジタル補綴治療を表面だけではなく、その奥深くまで理解することにつながる。歯科技工士の数が減り、院内加工を選択する歯科医院も増えていくであろうこれからの時代に、本書は確かな道標になる一冊になると考える。

自分の医院で今後、医科歯科連携を図るための情報が満載の1冊 患者さんにしっかり説明できる5 糖尿病と歯周病読本 医科歯科連携・患者対応・保険算定丸わかり

赤司朋之/関野 愉/松村香織/鈴木宏樹・監著 安藤壮吾/押村憲昭/樋口敬洋/山下智古・著 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 8,800円(本体8,000円+税10%)・120頁 評 者 松延允資 (福岡県・松延歯科医院) このたび人気シリーズ「患者さんにしっかり説明できる」の第五弾として、「糖尿病と歯周病読本」が上梓された。 評者が歯周病を学び始めた20年以上前から、糖尿病と歯周病の関連はperiodontal medicine(歯周医学)という名で知られていたが、その後証明されたさらなる関連性は、現在では広く世間に知れ渡るようになった。本書は、歯科医師が内科医と連携をとるために必要な糖尿病に関する情報が、基礎知識から実際の臨床現場での取組の他、管理栄養士の視点からも書かれており、さらにはスタッフや患者への説明用付録までが揃った、明日から自分の医院で取り入れることのできる情報が満載の仕上がりになっている。 本書の内容をかいつまんで紹介すると、まずCHAPTER1では嶋田病院の内科部長(糖尿病)で日本糖尿病学会専門医・指導医である赤司朋之氏から、糖尿病について非常にわかりやすく解説がなされている。評者も糖尿病については勉強していたつもりであったが、恥ずかしながらインスリンの働きはただ単に血糖値を下げるものとしてしか認識しておらず、その本当の役割について初めて知ったし、基本事項以外にも糖尿病に関する最新の知見を得ることができる。また、自分が考えている以上に糖尿病と歯周病にかかわりがあることがよくわかり、さらに糖尿病に関する医科歯科連携の方法を知ることができるだけでなく、そのための診療情報提供書が巻末付録に収載されていることもありがたい。 CHAPTER2では、糖尿病と口腔疾患との関連について、皆さんご存じの関野愉氏からエビデンスベースでの説明がなされている。糖尿病とかかわりがあるのは歯周病だけでなく、う蝕や歯内病変、インプラント周囲炎やその他さまざまな疾患に及ぶことを知ることができ、患者への説明に使えるであろう。 CHAPTER3は、糖尿病患者の歯科治療の注意点ということで、すべての本シリーズの監修を務めている松村香織氏が、観血的処置や投薬の際の注意点から保険点数の算定についても解説を行っており、われわれ保険医にとって非常に有益である。 CHAPTER4においては、押村憲昭氏、安藤壮吾氏、樋口敬洋氏などすばらしい臨床家が、自院での医科歯科連携について解説されている点がたいへん貴重である。それぞれの医院の規模は異なるため、読者ご自身の医院と近い環境を選んで参考に活用できる。さらに管理栄養士の山下智古氏より、糖尿病患者への栄養相談のポイントから、歯科衛生士が行える栄養サポートまでわかりやすい説明がなされており、他職種連携を理解するうえでも有用である。 医科歯科連携の必要性が叫ばれるなかで、実際の臨床現場で十分な連携が実現しているとは言い難いのが現状である。本書は、医科歯科連携を図るための一歩として非常に意義深い。ぜひ本書を手に取り、近医との連携に活用していただきたい。

歯科医院の全スタッフで読みたい、はじめてのインプラント実践書 歯科医師のためのインプラント入門 Q&Aで学ぶ絶対必須の“知識”と“実践”

一般社団法人日本インプラント臨床研究会・編 笹谷和伸/若井広明/岩野義弘/熱田 亙/ 井汲憲治/田中譲治/塩田 真/佐藤博俊/ 津川順一/水口稔之/安倍稔隆/諸岡朋子/ 酒井 嶺・編集委員 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 8,250円(本体7,500円+税10%)・128頁 評 者 小川勝久 (東京都開業・小川歯科) 本書は、これからインプラント治療に取り組もうとする先生方に向けて、ごく初歩的な内容や治療費用等の聞きにくい事柄もQ&A形式で、わかりやすいシェーマと適切な臨床写真や動画に加え、23本のコラムを収載し、解説している。 動画では、「顔面消毒とドレーピング」「インプラント埋入手術」「単純縫合」の実際の手技を視聴することができ、術前準備からインプラント埋入、縫合までの一連の流れを臨場感をもって学べる点も、本書の大きな魅力である。 PART1は「インプラント治療をする前に絶対に学ぶべき“知識”」として、3つのChapterから構成されている。 Chapter1「インプラント治療の基礎を知ろう」では、インプラントの構造やその骨接合の意味まで解説している。 Chapter2「インプラントの現実とは」では、インプラント治療費を決める因子や治療後のランニングコストにまでふれている。 Chapter3「インプラントの種類と説明とリスク」では、インプラントの形状や素材、患者さんへの説明事項や手術時のリスク等についても、丁寧に解説している。 とくに、安全に治療を行うための全身疾患との関係や、医療連携での対診の必要性・情報提供書の書き方にもふれている点は興味深い。 PART2は「はじめてのインプラント治療を成功させるための“実践”」として、4つのChapterから構成されている。 Chapter4インプラントは術前で勝負が決まる」では、術前診断の重要性についてCBCTの読影や埋入シミュレーション・症例の難易度の見分け方や術前準備の大切さも説いている。 Chapter5「さあインプラントを埋入しよう」では、切開・剥離の手技、埋入手術時のドリリング、初期固定の重要性だけでなく、埋入スタック時のリカバリーや縫合についても細かく、さらには術前・術後の投薬例に至るまで、実践的な内容が網羅されている。 Chapter6「埋入後は咬める補綴装置を入れよう」では、アナログとデジタル印象採得法やセメント固定・スクリュー固定法の利点と欠点、インプラントオーバーデンチャーのアタッチメントの選択法、コラムでは補綴形態についてエマージェンスプロファイルとインプラント周囲炎の関係性にも解説している。 Chapter7「インプラント長寿の秘訣はメインテナンスにあり」では、染め出しを活用した歯ブラシやフロス・歯間ブラシの使い方等、具体的に説明している。 タイトルには「歯科医師のため」とあるが、その内容は歯科衛生士や歯科助手にとっても有益であり、インプラント治療に携わるすべての歯科医療従事者にとって、日常臨床の指針となる実践的な入門書として推薦したい一冊である。

今知りたいを網羅!歯科・口腔外科関係者に贈る必携の最新版 別冊ザ・クインテッセンス/Quint-Med 口腔外科YEARBOOK 一般臨床家、口腔外科医のための口腔外科ハンドマニュアル’26

公益社団法人 日本口腔外科学会・編 クインテッセンス出版 問合先 03-5842-2272(営業部) 定価 7,480円(本体6,800円+税10%)・216頁 評 者 横江義彦 (京都府・洛和会音羽病院京都口腔健康センター京都顎変形症センター) 本書は、(公社)日本口腔外科学会の企画・編集による年刊の臨床リファレンスであり、一般開業歯科医から口腔外科医までが日常診療と専門治療の双方で参照できる実践的なマニュアルである。2026年版では「デジタル時代の顎変形症治療」を巻頭特集に掲げ、術前シミュレーションやデジタルワークフローをはじめとする近年の臨床動向を詳述するとともに、そのほかにも基本手技から高度な専門治療、全身管理、多職種連携までを幅広く収載している。 ビギナー向けに局所麻酔下で行う小手術(切開、剥離、縫合等)の基本手技が二次元コードよりアクセスすれば動画解説つきで紹介されており、すぐにでも研修医へのオリエンテーションの一環に活用できるものとなっている。また若手口腔外科医や一般開業歯科医にとって最初の高いハードルとなる下顎水平埋伏智歯抜歯のかんどころ、顕微鏡下歯根端切除術のポイント、インプラントのための骨造成治療の最前線、一歩進んだエキスパートのアドバンステクニックとして、顎下腺摘出術、頬粘膜癌手術の工夫、下顎枝矢状分割術と下顎枝垂直骨切り術といった基本的な顎矯正手術の術式選択について、具体例を挙げて解説されている。さらには局所進行・局所再発口腔がんに対する光免疫療法の実際、全身管理の観点から皮膚科との連携による口腔粘膜疾患診療とトラブル予防など、実践に直結するテーマが網羅されている。なかでも急性期病院における口腔ケアと摂食嚥下リハビリテーションの実際は、総合病院口腔外科の役割として、医科歯科連携、多職種連携の進め方や方向性を指南する特筆すべきものである。 各章は最新の診療知見を踏まえながらも、診療現場で活用しやすい解説や豊富な図表・症例を重視しており、単なる知識のアップデートにとどまらず、明日からの臨床判断や手技の確認に結びつく実用性を備えている。その点で本書は、若手の学習用資料としても、経験ある口腔外科医の知識整理のためにも有用である。 口腔外科最新レビューでは、インプラント治療における抗菌薬の使い方、人工骨充填材「レボシス®」の口腔外科における適応と実際、「高齢者口腔がん治療ガイドライン」のポイントと活用法が取り上げられている。さらに歯科・口腔外科領域におけるAI画像診断の現状と展望、診断・治療に役立つ臨床医学の基礎知識としての関節リウマチの病態と治療についても詳述されており、日常診療と専門治療の双方で押さえておくべき情報に多角的に触れることができる内容となっている。 個人的には、「歴代理事長が語る」と題してコロナ時代の理事長を経験された桐田忠昭先生の前書き「本学会の社会への責務と覚悟、そしてこれから」が、つい最近の出来事でありながら、すでに一つの歴史を読むような感慨を覚えた。臨床技術の更新に加え、学会と口腔外科が社会に果たすべき役割を考えさせる点にも、本書の読み応えがある。

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