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第3回 歯の萌出状態から考える離乳食の進め方(1)

2019/4/26 デンタル〇〇デザイン

離乳食開始と離乳初期(ゴックン期)

まず、この時期は離乳食の意味をお母さんたちに理解してもらうことが大切です。 (図1)生後6か月の口腔状態 哺乳は本能ですが、口の中で食べ物を処理して飲みこむ動作は、学習により獲得されるものです。 そこで離乳食を進めていく意味は、"食べさせること"ではなく、自分で食べられるようになるまでの子どもの体と心の発達過程をサポートすることにあります。だから離乳食を進めていく時は「食べたからいい」「飲み込んだからいい」というのではなく、赤ちゃんの表情や動き、口の中の状態もしっかりと見てあげながら進めていくことを指導する必要があります。

1.離乳食開始の目安

月齢ではなく、子どもの様子から判断します。 チェック項目を挙げます。 (1)原始反射の一つである哺乳反射が消失し、口に指を入れても舌で押し出さないようになる。日本人の場合、大体6か月半ごろといわれている。 (2)首が座り、体幹がしっかりし支えがあればお座りができる。 (3)大人が食事をしているのを見て欲しがったりよだれを流したりする。 (4)自分の指やおもちゃ舐めをして、口の中に乳首以外のものが入ってくる準備ができている。 哺乳反射が残っているうちに離乳食を開始すると、食べ物をすぐ舌で押し出す動きが出てしまうため、離乳食を食べてくれないと悩む母親は多いですが、赤ちゃんは日々成長しています。今日できなくても明日できることの連続です。離乳食を飲み込めるようになるには口唇、舌などのさまざまな機能の発達が必要ですので、多少の時間がかかります。また、初めて母乳(ミルク)以外の味を口にする体験をするわけですから、まずは味や感触に慣れさせることが最大の目的です。ゆったりとした気持ちで赤ちゃんと向き合い離乳食を食べる時間をつくるよう指導してください。

2.姿勢について

離乳食開始の頃は、授乳時と似た姿勢つまり少し後ろに傾けるようにすると飲み込みやすくなります。 (図2)離乳食開始時の姿勢(出典:外木徳子『歯と体の発達に合わせた赤ちゃんと幼児のごはん』婦人之友社)。 慣れてくると、次第にまっすぐに座って口をスプーンの方に突き出してくるようになります。

3.口唇、舌の動きの発達について

この頃はまだ上唇はほとんど動きません。平たいスプーンを下唇に持っていくと、唇を内側に引き込んでチュッチュと吸うような動作をします。舌は哺乳時と同様の動きが主体です。つまり舌尖はほとんど動かず、乳首を引き入れてしごくような動きと舌背にたまった乳汁を咽頭に流し込む動きで、下顎と一緒に動きます。スプーンの3分の2くらいまで口の中に入れて離乳食を少し流し込むようにすると、舌の中央にたまったポタージュ状の液体が流れていくのですが、おっぱいを飲んでいる時と違って口腔内は密閉状態ではないため口唇を閉じてごっくんと飲み込む練習の時期です。 口唇のより強い閉鎖活動は、やがて舌の運動パターンが前後から上下方向に変化し、下顎の動きと分離する一つの重要な因子となります。また、スプーンを上から持っていくと上唇を使わずに下顎を動かして捕食する姿勢となってしまいます。そのため、スプーンは水平もしくは少し下方からアプローチすると上唇が下りてきやすくなります。口唇が閉じたらスプーンをゆっくりと抜きます。離乳食の形態は、最初は均一ななめらかさのポタージュ状態ですが慣れてきたら、もう少し粘稠度のあるべたべた状に進めていきます。「ごはんですよ~」「おいしいね~」などと声をかけスプーンに乗った食べ物を見せてあげながら下唇をちょんちょんと触るとお口が開いてくるようになります。そして、下顎の安定とともに、舌の不要な前後運動はなくなり開いた口の中で安静状態を保つことができるようになります。この状態は、スプーンから食物を取り込む上唇の動きを発達させるための土台となるものです。上唇が動くようになってきたらスプーンの頭の3分の2くらいを入れて上唇が下りてくるのを待ちます。下りないときは指で少し誘導してあげましょう。 この時期は上唇でスプーン上の食べ物を取り込む最初の段階が始まっていますが、まだ、上唇を下方に下した後、内側方向へ動かすことはできません。舌や口唇の動きは歯の萌出により大きく発達していくのです。