歯科医院の経営を続けることは難しく、開業から10年以内につぶれる事例が多く見られます。
歯科医院が潰れる原因として、開業の前の準備不足やスタッフの管理ができていないことが挙げられます。
この記事で、よくある歯科医院の倒産の原因と、10年続けられている歯科医院経営のポイントを勉強しておきましょう。
つぶれる歯科医院の共通ポイント【1】エリアのマーケティングをせずに出店する
開業するエリアのマーケティング・市場調査を軽視することが、つぶれる歯科医院の共通点の1つです。
つぶれる理由は他の歯科医院と過当競争(※)になりやすいからで、そのエリアで厚い信用がある医院と真正面からぶつかっては勝ち目がありません。
※一般的には(同業の企業が市場占有率を拡大しようとして起こる過度の競争状態。価格が引き下げられ、正常以下の利潤しか得られない。)
【引用】デジタル大辞泉 - 小学館
まずは、どの歯科医院が何を得意としているのか、どの治療分野に穴があるのかを調べましょう。
たとえば、齲蝕の治療で評判が良い歯科医師が近所にいた場合、審美歯科など別の分野で勝負する経営方針を立てることで同じエリアでの共存が可能です。
しかし、その他にも複数の歯科医院が固まっているのであれば、新規参入を行うことはやめた方がよいでしょう。
このように、事前に開業予定エリアの競合を調査しておくことで、開業後に患者さんを呼べる見込みがあるかを確認することができます。
つぶれる歯科医院の共通ポイント【2】広告や販促活動をしない
高度な知識と技術を持つ歯科医師は、独立する時の宣伝広告を軽視しがちです。
しかしビジネスは、いかに自社のサービスを知ってもらうのかで成否が決まります。
広告や販促をしない歯科医院は、いくら腕が良くても患者さんに知られないため、すぐにつぶれてしまう恐れがあることを忘れてはいけません。
治療した患者さんからの口コミだけで利用者が増える時代ではなく、歯科医院経営ではWEBの広告費を計上することが必須です。
開業の前には、歯科医院のホームページの開設とWEB広告を行いましょう。
ネットの検索エンジンで「歯科医院+エリア名」と調べてくる患者さんに対して、リスティング広告などを利用すれば、新規のユーザーを集患することが期待できます。
また近年では新規の患者さんの大半がネット経由の来院であるため、歯科医院を紹介するメディアに掲載するなどの施策も集客に効果的です。
つぶれる歯科医院の共通ポイント【3】接客・スタッフ対応が悪い
患者さんへの接客の仕方が悪いことも、歯科医院の潰れる原因となりかねません。
歯科医院経営はサービス業であることを自覚して、全スタッフが心地よい対応を行えているかどうかを定期的にチェックを行いましょう。
独特の音や刺激による治療は、事前の説明によってかなり印象が変わります。
患者さんの口の中は本人が見られないため、写真を撮影してモニターで映しながら説明するなど、不安を取り除くような接客方法が必要です。
また、歯科医院のサービスは、受付スタッフと歯科衛生士の患者さんへの対応によっても品質が変わります。
歯科医師が丁寧な診療に努めているにもかかわらず、それ以外のスタッフがおざなりに接していては意味がありません。
院長が気づかないまま口コミで評判が下がっていき、売上が振るわない原因すら分からずに経営が失敗しまった事例もあります。
つぶれる歯科医院の共通ポイント【4】インプラント治療をやたら勧めてくる
自由診療のインプラント治療は、歯科医院の儲けどころです。
しかしながら、患者さんが求めている治療とは限らず、うかつに勧めると重大なトラブルになる恐れがあります。
インプラント治療には高度な専門知識と技術が要求されるため、勉強不足のまま患者さんに手術を行うことは厳禁です。
強引な勧誘や適当なインプラント治療を受けた患者さんの口コミは、あっという間にネット上で拡散される恐れがあります。
歯科医師の勉強会に参加すると、「術後の痛みが治まらなかった」「事前の説明が少なかったので料金トラブルに発展した」などの声も耳にします。
インプラント治療の事例をよく知っている歯医医師ほど、患者さんに勧めるべきかどうかを慎重に判断しています。
現在は患者さん側がインターネットで情報収集し、むやみに高額のインプラント治療を勧めてくる歯科医院は避けていることも覚えておくべきです。
10年経営を続ける歯科医院が大事にしていること
開業から10年以上も経営を続けている歯科医院は、下記の4つの項目を大事にしています。
全ての項目は相互につながっているため、取りかかりやすい項目から見直していきましょう。
WEBマーケティングをしている
インターネットを通して流入する患者さんを重視していることが、成功している歯科医院の共通点です。
歯の治療に関するキーワード検索で有利にするためのWEBマーケティングを行っており、さまざまなルートで新しい患者さんを獲得しています。
有料のWEB広告に加え、SNSによる情報発信や公式サイトの運営を行うことで「あの歯科医院なら信用できる」と評価してもらえるようなブランド化を続けた結果として、長期的な歯科医院経営が見込めます。
ご近所の口コミだけでなく、インターネットでの拡散力を重視し、きちんとWEBマーケティングも行なっていくことが大切です。
ホームページの立ち上げは、プロの制作会社に任せることで解決できます。
【関連】歯科医院にホームページは必要?作成メリットや注意点や費用を解説
接客やサービスを大事にしている
固定の患者さんがいるからとあぐらをかかず、新規患者さんに対しても接客やサービスの品質を追求する必要があります。
引越しで通えなくなる固定患者さんがいらっしゃることも十分に考えられるため、固定患者さんを増やすために、再診を受けたくなる治療を続けなければなりません。
接客やサービスの品質は、患者さんの目線でチェックすることで初めて分かります。
アンケートなどを実施しても良いでしょう。
成功事例を熟知している歯科医院経営のコンサルタントに相談することも、有効な選択肢です。
自院の得意分野・専門分野に特化して治療を行い、それ以外の治療は信用できる他の歯科医院を紹介することもユーザーファーストの接客・サービスと言えます。
人にお金をかけている
対面式のサービスである歯科医院は、人、つまりスタッフにお金をかけることが大事です。
その理由は、支払う給料や福利厚生に見合った人材になるからで、10年続いている歯科医院はスタッフの重要性をよく理解しています。
例えば、歯科医院に入ってきた時に気持ちのいい挨拶があれば、初対面の患者さんは好感を抱き、提供されるサービスも高く評価される傾向にあります。(=初頭効果)
しかし、スタッフが挨拶もろくにしない、見るからに不機嫌な態度で感じが悪いとなれば、いくら凄腕の歯医医師がいても通う気になりません。
人へ支払うお金をケチると、歯科スタッフの接客品質が低下し、患者さんを逃すようなことになりかねないということです。
既存患者さんへの丁寧な診療を心がけている
定期的に通ってくれる既存患者さんへの対応は、歯科医院の将来を左右します。
既存患者さんの存在は、毎月の安定した売上のみならず、既存患者さんの家族や知り合いへの口コミにより新規患者さんを獲得するきっかけにもなるからです。
治療する前に歯科衛生士が、術前と術後のアフターケアの指導などを丁寧に教えてくれることが、次回以降のリピートにも大きく影響してきます。
また、スタッフの対応なども患者さんはよく見ているため、それぞれの患者さんに合わせた声がけなど、丁寧な対応を心がけるように指導することも大切です。
まとめ
つぶれる歯科医院が身勝手な経営であるのに対して、10年続いている歯科医院は患者さんの視点で動いています。
既存患者さんに継続して来院してもらえるような工夫をしつつ、その口コミで新規患者さんを増やしていることが、成功事例の共通点です。
インターネットを通した宣伝広告と情報発信も必要不可欠で、いかに患者さんに自分のサービスを正しく伝えるのかもポイントとなっています。
今回の記事を参考に、歯科医院経営を続けるための施策を実行してみてください。