歯科医院は内科などに比べると苦手意識や恐怖感が大きいと言われており、患者さん側にとって口コミによる情報は重要です。
施術は痛くないか、費用はいくらくらいかかるのかといったことはもちろん、スタッフ同士のコミュニケーションはきちんと取れているか、院内の雰囲気は暗くないか、施術後のケアはしっかりしているのか、など施術外のことも重要視されます。
施術のみの問題ならすぐに改善することは可能ですが、施術外となると一朝一夕というわけにはいかず、日ごろから取り組む必要があります。
歯科医院は、院長先生の腕がいくらよくてもスタッフの患者さんへの対応が悪いと患者さんはやってきません。
患者さんが来ないということは売上が上がらず、経営自体が難しくなってしまいます。
そして医院の評判を左右するのが口コミであり、評判を上げる=売上を上げるためにはスタッフ育成が重要です。
今回は、歯科スタッフの育成に必要とされるミーティングの重要性やポイントをお伝えします。
歯科スタッフミーティングが重要な3つの理由
売上アップにおいて重要なことは、スタッフ育成です。
同じ歯科医院で働く者同士がバラバラの方向に進んでいれば雰囲気が悪くなり、患者さんへの対応も上手くいくはずがありません。
そして、売上にも影響を及ぼします。
歯科医院の方向性を共有し、円滑なコミュニケーションをとること、そしてスタッフ同士が歯科医院にとって大切な仲間だということを認識させることが必要となります。
その最も効果的な手段が「スタッフミーティング」です。
まずは、スタッフミーティングの重要性を理解しましょう。
働く目的意識を感じてもらう
歯科医院に限らず、働く上で何か目的を持っていなければ良いパフォーマンスは生まれません。また目的が皆バラバラな場合でも同じです。
目的なく働けばやる気がだんだんとなくなり、言われたことだけしかしないスタッフばかりとなってしまいます。
自分で考えて行動ができない指示待ち人間が増えると院内は殺伐とし、効率化も図れません。これでは患者さんは離れてしまいます。
そうならないためにも、この歯科医院では何を目的として働いて欲しいのかを明確にし、スタッフに共有するようにしましょう。
そしてそれを共通目的として意識させることができればおのずと団結力が芽生えます。
同じ方向に向かって働くことで「今自分が何をすればいいのか」が自然と見えてくるようになり、院内が上手く循環すれば結果的に患者さんの満足度を上げることができます。
円滑にコミュニケーションを図る
スタッフミーティングを行うことでスタッフが何を思っているのか、何を考えているのかが分かるようになり、その人の性格や悩みが見えてきます。
話す機会が増えるようになるとミーティング以外でも話すことが増え、自然とコミュニケーションが取れるようになってきます。
そもそもコミュニケーションは、信頼関係の上に成り立ちます。
お互いを知るにはまずは話をしなければなりません。そのきっかけとしてミーティングは必要な場でもあります。
コミュニケーションが円滑になれば、スタッフ同士の仕事での連携もとりやすくなり、業務効率がよくなります。
言った・言わないといった伝達ミスもなくなり、相互フォローの気持ちが自然と生まれるでしょう。
必要な戦力だと感じてもらう
働くということは誰かの役に立つことですが、それが感じられないとなると途端にやる気が失われます。
院長がいくら心で戦力になると思っていても相手に伝わっていなければ意味がありません。
ミーティングでスタッフへの感謝を具体的に伝えることで、「自分は必要とされている」という意識が芽生え、モチベーションアップに繋がります。
また特定のスタッフを褒めたいときは、影で認めてもらうよりも、皆の前で認められる方が自信に繋がります。
ただし、そもそもの人間関係が良くない場合は嫉妬に繋がる恐れもあるため、院内の雰囲気や褒める内容に応じて1対1が良いかミーティングで伝えるか判断するようにしましょう。
もっと認めて欲しい、もっと役に立ちたいという気持ちがスタッフに芽生えれば、相乗効果で院内に活気が溢れます。
院内の雰囲気が明るくなることで患者さんも気持ちよく診察を受けられます。
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歯科スタッフミーティングでやる気を上げる3つのポイント
ミーティングは重要ですが、単純にその日の報告を話し合うだけでは何の意味もありません。
そこにしっかりとした目的や意思がなければ、それはミーティングではなく、ただの報告会です。
ミーティングをやるならきちんとした準備が必要です。
そのためにも、これから紹介する3つのポイントを押さえた上で、ミーティングを行うようにしてください。
ミーティングに臨む姿勢をまず明確にし、どのようなスタンスで参加するのかをスタッフに納得してもらいます。
納得できていないようなら無理に先に進まず、納得できるまで話し合いましょう。
明確な目標数字を掲げる
やる気を上げるには目標の設定が大切ですが、単純に「今月も頑張ろう」といったものでは意味がありません。
明確な数字を掲げることが一番モチベーションアップに繋がります。
売上や患者さんの数、満足度などを数値化して目指すべき目標数字を設定しましょう。
満足度などは患者さんからアンケートなどを取る必要がありますが、現状の院内の問題点などが分かるいい指標となります。
中でも一番取り掛かりやすく、結果がすぐにわかるため達成感を得られやすい指標が売上です。
目標数字までの売上をグラフ化する、イベントを企画してコンペ式に売上を競う、など工夫するようにしましょう。
また目標数字を掲げることでスタッフが一枚岩となります。
目標が不明確だったりバラバラだったりすると、まとまることができず、結果的に不満へと繋がる恐れがあります。
不満はスタッフのモチベーションにも影響を及ぼし、売上にも大きく関わってきます。
とはいえ最初からあまりに高い目標を設定すると、かえってモチベーション低下となります。
目標数字は手が届く範囲で設定しましょう。
スタッフにも経営者の視点を持ってもらう
院長だけでなく、スタッフ全員が経営者—どうすれば売上が上がるのか、経費を削減できるのかなど—の視点を持ってもらうことで、あらゆる視点から現状の問題点を浮き彫りにすることができます。
それらをミーティングで出し合い解決していくことで、経営視点から職場環境の改善に繋がります。
院長だけでなく、スタッフにしか分からない問題や担当業務での無駄などが見えてくるでしょう。
課題や問題点を自由に発言できる場としてミーティングを活用しましょう。
スタッフを指導する場として活用するだけでなく、スタッフから指導を受ける場としても開催することで、スタッフのやる気も自然と上がり、当事者意識が芽生えます。
スタッフに積極的に頼る
院長が何でも自分ひとりでやってしまうと、「信頼されていない」「ワンマン経営だ」「自分たちの意見は受け入れられない」といった不満につながる可能性もあります。
院長としては、スタッフに頼ることで不安や心配も生まれますが、あえてスタッフに積極的に頼ることで自信をつけさせることができます。
失敗した場合は、責めずに原因や改善方法を考えることで、それがマニュアルとなり、財産となります。
普段の仕事だけでなく、ミーティングの運営もスタッフを主体として任せてもいいでしょう。
重要なことは、自分たちで考えて行動させることです。
まとめ
スタッフミーティングは、業務報告だけの場ではありません。
上手く活用することでスタッフ一人ひとりのやる気が上がり、職場環境が劇的に変わります。
スタッフがやる気に満ちれば、おのずと患者さんへの対応も良い方向へと変わっていきます。
そして患者さんからの評判が上がれば、すなわち売上に直結します。
まずは、月に一度時間を取ってミーティングを開いてみてください。
スタッフの意識改革は一筋縄ではいきませんが、続けることで必ず成果が出ます。
売上アップの施策の一つとして、ぜひミーティングを導入してみてくださいね。