Dental Life Design

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スタッフに愛される歯科医院づくり
第5回:あなたのスタッフは
蝶になれるのか

2019/11/28 歯科医院経営

自立発信型の優秀な歯科衛生士、じつは……。

約5年前にスタディグループ「Hygeia」を立ち上げて以来、すばらしい講師の先生や志の高い優秀な歯科衛生士さんと出会うことが格段に増えました。たくさんお話しさせていただくなかで少し意外だったのは、「自立発信型の優秀な歯科衛生士さんには、以前は劣等生だったり問題児だったりした人が案外多い」ということです。皆様の歯科医院にもいませんか?「なかなか印象採得が上手にならない」「最後臼歯部にいつも歯石の取り残しがある」「頻繁に2、3分の遅刻をする」「身だしなみに自己主張が強すぎる」「診療中の私語が多すぎる」「すぐ泣く」……。 ついついぼやきたくなりそうな行動ばかりですが、さまざまな劇的ビフォーアフターを知った今の私から見れば宝の山、ダイヤの原石だらけです。

技術を身につけるプロセス

歯科衛生士は、技術職としての側面が大きく占め、その技術の習得には個人差もあります。とくに教育システムが十分でなければ、苦手分野を残したまま"劣等生"のらく印を押され、歯科衛生士としての能力を発揮できないまま仕事を続けなければならないことも少なくありません。歯科衛生士本人だけでなく、歯科医院にとってもストレスとなり、大きな損失です。 しかし、そのような歯科衛生士さんが苦労しながらもしっかり技術を習得できたとしたら、どうでしょう?きっと、その後同じように技術習得に時間のかかるスタッフが採用されたとしても、現行の教育システムに足りない細かなサポートを、自身の経験をふまえてプロフェッショナルに導いてくれるのではないでしょうか?そのような良い循環をつくりだすためにも、教育がうまくいかないスタッフさんには、教育担当や手法を変えるなど、「ピンとくる教えを一緒に探す」という視点と「あきらめない」という姿勢をもちながら取り組むことが必要です。

弱みを強みに変える逆転の発想

要するに、今見えている"短所"は、実は「長所なのかもしれない」と考えることが大事なのです。 「頻繁に2、3分の遅刻をする」「身だしなみに自己主張が強すぎる」、このような"ルールをきちんと守れないスタッフ"は、実は「ルールの枠に収まらないエネルギーにあふれたスタッフ」や、「物おじしない強さをもったスタッフ」といえるかもしれません。実際、上記のようなスタッフの教育を担当したことがありますが、"この分野を学びたい"と目標をもつと、調べものをするためだれよりも早く出勤してくるようになったり、症例発表をカッコよくキメるために美容院で落ち着いた髪の色に変えたり……。他人の言うことを素直に聞くことは難しくても、自分の目標のためであれば、いとも簡単に行動を変えることができるのです。 同じように「診療中の私語が多すぎる」「すぐ泣く」……ちょっと感情的なスタッフは、男性の院長先生にはもっとも理解しづらいかもしれません。しかし、こういったスタッフも実は「優しさがある・ホスピタリティがある」や、「コミュニケーション能力が高い・ラポール形成が得意」などといえるかもしれません。このようなスタッフがいることでスタッフ間の連携がうまくいったり、初診や気難しい患者さんにうまく対応していて診療がスムーズに進んでいたりということが、今すでに起きているかもしれません(そのような数字になりにくい功績は目立たないものです)。また、スタッフ自身がその強みを自覚すれば、スタッフのまとめ役や院長との間を取りもつ管理職として、おおいに力を発揮してくれることでしょう。

スタッフが美しい蝶へと変身するために

実は、かくいう私も問題児だったのです(笑)。大したこともできないくせに鼻っ柱が強かった新米チーフの私に、「自分の信じるようにやってみたら?」といつも温かく見守ってくださった太田秀人先生(おおた歯科クリニック院長)。どんなチャレンジもほぼ背中を押してくれて、「自分でやりたい」という意見が強かった私には、本当にありがたかったです。 あなたのスタッフは蝶になれるのか――。それは、まださなぎのスタッフの羽根の美しさを想像し、美しい蝶へと変身することを信じて歯科医院の環境をつくれるか、そこにかかっています。