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スタッフに愛される歯科医院づくり第5回:あなたのスタッフは蝶になれるのか

スタッフに愛される歯科医院づくり第5回:あなたのスタッフは蝶になれるのか
スタッフに愛される歯科医院づくり第5回:あなたのスタッフは蝶になれるのか

自立発信型の優秀な歯科衛生士、じつは……。

約5年前にスタディグループ「Hygeia」を立ち上げて以来、すばらしい講師の先生や志の高い優秀な歯科衛生士さんと出会うことが格段に増えました。たくさんお話しさせていただくなかで少し意外だったのは、「自立発信型の優秀な歯科衛生士さんには、以前は劣等生だったり問題児だったりした人が案外多い」ということです。皆様の歯科医院にもいませんか?「なかなか印象採得が上手にならない」「最後臼歯部にいつも歯石の取り残しがある」「頻繁に2、3分の遅刻をする」「身だしなみに自己主張が強すぎる」「診療中の私語が多すぎる」「すぐ泣く」……。 ついついぼやきたくなりそうな行動ばかりですが、さまざまな劇的ビフォーアフターを知った今の私から見れば宝の山、ダイヤの原石だらけです。

技術を身につけるプロセス

歯科衛生士は、技術職としての側面が大きく占め、その技術の習得には個人差もあります。とくに教育システムが十分でなければ、苦手分野を残したまま"劣等生"のらく印を押され、歯科衛生士としての能力を発揮できないまま仕事を続けなければならないことも少なくありません。歯科衛生士本人だけでなく、歯科医院にとってもストレスとなり、大きな損失です。 しかし、そのような歯科衛生士さんが苦労しながらもしっかり技術を習得できたとしたら、どうでしょう?きっと、その後同じように技術習得に時間のかかるスタッフが採用されたとしても、現行の教育システムに足りない細かなサポートを、自身の経験をふまえてプロフェッショナルに導いてくれるのではないでしょうか?そのような良い循環をつくりだすためにも、教育がうまくいかないスタッフさんには、教育担当や手法を変えるなど、「ピンとくる教えを一緒に探す」という視点と「あきらめない」という姿勢をもちながら取り組むことが必要です。

弱みを強みに変える逆転の発想

要するに、今見えている"短所"は、実は「長所なのかもしれない」と考えることが大事なのです。 「頻繁に2、3分の遅刻をする」「身だしなみに自己主張が強すぎる」、このような"ルールをきちんと守れないスタッフ"は、実は「ルールの枠に収まらないエネルギーにあふれたスタッフ」や、「物おじしない強さをもったスタッフ」といえるかもしれません。実際、上記のようなスタッフの教育を担当したことがありますが、"この分野を学びたい"と目標をもつと、調べものをするためだれよりも早く出勤してくるようになったり、症例発表をカッコよくキメるために美容院で落ち着いた髪の色に変えたり……。他人の言うことを素直に聞くことは難しくても、自分の目標のためであれば、いとも簡単に行動を変えることができるのです。 同じように「診療中の私語が多すぎる」「すぐ泣く」……ちょっと感情的なスタッフは、男性の院長先生にはもっとも理解しづらいかもしれません。しかし、こういったスタッフも実は「優しさがある・ホスピタリティがある」や、「コミュニケーション能力が高い・ラポール形成が得意」などといえるかもしれません。このようなスタッフがいることでスタッフ間の連携がうまくいったり、初診や気難しい患者さんにうまく対応していて診療がスムーズに進んでいたりということが、今すでに起きているかもしれません(そのような数字になりにくい功績は目立たないものです)。また、スタッフ自身がその強みを自覚すれば、スタッフのまとめ役や院長との間を取りもつ管理職として、おおいに力を発揮してくれることでしょう。

スタッフが美しい蝶へと変身するために

実は、かくいう私も問題児だったのです(笑)。大したこともできないくせに鼻っ柱が強かった新米チーフの私に、「自分の信じるようにやってみたら?」といつも温かく見守ってくださった太田秀人先生(おおた歯科クリニック院長)。どんなチャレンジもほぼ背中を押してくれて、「自分でやりたい」という意見が強かった私には、本当にありがたかったです。 あなたのスタッフは蝶になれるのか――。それは、まださなぎのスタッフの羽根の美しさを想像し、美しい蝶へと変身することを信じて歯科医院の環境をつくれるか、そこにかかっています。

著者西依亜矢

株式会社DentalHygeia 代表取締役社長・歯科衛生士

略歴
  • 九州福祉医療専門学校(現・九州医療専門学校)歯科衛生士科卒業。福岡県の開業医に勤務後、医療法人季朋会王司病院歯科(山口県)にて、有病者・障がい者歯科や訪問歯科・ターミナルケア等を学ぶ。
  • その後異業種への転職(住宅営業)なども経て、おおた歯科クリニックの開業にチーフとして参加。同所属時に、結婚・出産・親の介護とライフステージを変化させながら、副院長就任・講師業開始・スタディグループ設立(DHスタディグループHygeia)とキャリアを重ねる。
  • 2018年、株式会社DentalHygeiaを設立。スタッフ教育やスタッフ採用・定着について、歯科衛生士目線でのサポートを中心に事業展開。現在は、臨床では乳幼児の口腔機能育成を中心にフリーランスとして臨床・講演活動を行う。「0歳からの健口長寿研究会」(増田純一会長、佐賀・マスダ小児矯正歯科院長)の設立メンバー。
西依亜矢

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