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診療室の片隅でのつぶやき 第6回(最終回):
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2020/9/18 デンタル〇〇デザイン

コロナ禍で私の勤めている職場が特別診療体制で診療縮小を余儀なくされていたとき、口腔外科の先生と話をしたことがきっかけで本連載が始まりました。

今回で最終回となりますが、コロナ禍における患者さんへの接遇はどうでしょうか。ちなみに「接遇」とは「人を迎えてから送り出すまでの一連の行動」を指します。一般的な接客をともなうサービス業とどのような違いを感じていますか?基本的なことに違いはないと考えられますが、『はじめての医療接遇』(ごきげん元気出版)の序章で次のように定義されています。

医療における「接遇」とは、治療という目的に向かって、関係者(患者・家族とすべての病院関係職員)が情報を共有し、関係性をコミットするためのコミュニケーションスキルとマインドである。

詳細については参考図書を読んでいただくとして、必要なことは7つの習慣、「①挨拶、②感謝、③謝意、④提案、⑤時間と約束、⑥整理整頓、⑦身だしなみ」とされています。しかしながら日々時間に忙殺されている医療職者では、このあたりが必ずしも徹底されていない感が見受けられます。そのため患者サービスの一端を担う部署なども疲弊してくるのが現状であると言わざるをえません。図1に示すように、歯科医療相談室での事例のほとんどは接遇に関するものと捉えられます。そのあたりをきちんとおさえていれば防げることであるとも言えます。


図1 歯科医療相談室で多い事例


図2 接客の基本

先に挙げた7つの習慣に加えて必要なことは、図2に示す基本的な事柄です。このあたりについては一般的な接客をともなうサービス業であれ、医療職であれ変わりないでしょう。また不満・苦情については大規模な組織であれば独立した部門で対応していただくことも可能ですが、小規模な事業所などでは複数の業務をこなすことが求められ、その一環で話を聞くことになるのが一般的です。その際に必要な事柄を図3、4に示します。


図3 外来・受付で不満・苦情の対処


図4 不満・苦情対応の基本


図5 歯科医療相談室のあり方

不満・苦情などに対する歯科医療相談室のあり方として、基本的な対応については図5に示したとおりです。しかし、大切なことは「あくまでも中立な立場である」、「病院・医院を抱えこまない(代表として対応してはいけない)」ことです。ここまで記したことに加えて環境整備にかかる事柄として、最後に医療現場の5Sについて図6に示します。


図6 5Sの定義

ここで気づく方も多いと思いますが、先に挙げた「医療接遇」と「5S」に共通する事項として「整理・整頓」が入っているということです。

特に病院のような大きい組織では人の入れ替えが激しく、前任者たちが残したものがあったり、個人の歯科医院などでは物品の新規購入などで物が増えたりと日常的にどこかで線引きを行わないと雑多になってしまうことが考えられます。したがって定期的に「整理」「整頓」を行い環境整備に努める必要があります。現在のコロナ禍において長いスパン、短いスパンで捉えたときにそれぞれに行うべき課題は明確にしておいた方が良いでしょう。第1回で取り上げた「マンダラート」もその手助けをするためのツールの一つです。

皆さんは今年に入ってから8か月間でどう変わりましたか?(了)


参考文献
1.瀧本禎之、阿部篤子、赤林 朗、ケースブック患者相談.東京:医学書院、2010.
2.近藤和子.はじめての医療接遇.患者のための心のこもったおもてなし.東京:ごきげんビジネス出版、2018.
3.(一社)日本ホテル・レストランサービス技能協会(監).西洋料理 料飲接遇サービス技法.職業訓練教材研究会、2016.
4.高原昭男、竹田綜合病院、磐田市立総合病院.ミス・事故をなくす医療現場の5S-ものの5Sから業務の5Sまで-.東京:JIPMソリューション、2011.