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歯科医院の税務調査とは?実施理由や流れ、準備や指摘されるポイントまとめ

歯科医院の税務調査とは?実施理由や流れ、準備や指摘されるポイントまとめ
歯科医院の税務調査とは?実施理由や流れ、準備や指摘されるポイントまとめ
国税庁は、毎年一定の法人に対し、「正しく税務申告を行っているか」を調査しています。
歯科医院はその対象となり、申告内容に不備があれば、修正申告や追徴課税の納付をしなければならない可能性もあります。
今回は、税務調査の概要や種類、歯科医院での実施理由、調査の流れや準備、指摘されるポイントを解説します。

税務調査とは?

税務調査とは、税務署などの国税庁管轄の組織が、納税者が正しい税務申告を行っているかを調査することを指します。 毎年、全法人の約6%が調査されるため、10年に一度来るか来ないかの頻度です。  

税務調査の対象者

国税庁は、調査対象となる会社の選び方を公表していませんが、 ・消費税の還付を受けた会社 ・売上や利益が急激に伸びている会社 ・度を超えた経費計上で利益を抑えている会社 ・同業他社と、収益と費用の割合が異なる会社 ・経営者が代わった会社 ・事業規模に変化があった会社 ・設立から3年目の会社 などが選ばれる傾向にあります。  

税務調査の種類

税務調査の種類は、「任意調査」と「強制調査」の2つです。 ▼任意調査 基本的な調査です。 税務署などから、前もって調査に出向く旨の連絡が会社に入ります。 「任意」といっても会社側が自由に受諾・拒否できる訳ではありません。 調査官には「質問調査権」が認められており、受けた質問に黙秘・虚偽の申告を行うと罰則を科される可能性があります。 丁寧にウソ偽りなく答えましょう。 ▼強制調査 国税局調査部(通称:マルサ)が行うのが強制調査です。 事前の通告なしに、裁判所の令状で権限を得たマルサの調査官たちが会社へ立ち入ります。 当然ですが、会社側は拒否も準備もできません。 強制捜査では、調査官に「納税に関わる資料を押収する」権限が認められています。 強制調査の対象は、 ・脱税額が1億円を超えること ・脱税の隠蔽工作が悪質なこと を満たす可能性がある会社です。  

税務調査の日程・期間

税務調査は、毎年8月〜1月頃を中心に実施されます。 「7月1日が税務署の人事異動日で、それまでに調査業務を終えておく必要があること」や、「年度をまたいでの税務調査が望ましくないこと」などが理由でこの期間に行われているようです。 もちろん、一般的な傾向であり、1月以降に調査が行われることもあります。 税務調査の日数は、会社の規模によりますが、一般的には1〜3日程度です。 3日を超えることは、上場企業など一部を除いてほとんどありません。 ただし、この日数は調査官が現場へ訪問している期間です。 事前の調査や調査の許可を得る期間を含めると、さらに長い日数になるでしょう。  

申告不備が見つかるとどうなる?

申告内容の誤りがあった場合や、申告の義務がありながら申告していなかった場合、修正申告を求められることがあります。 修正申告は、帳簿書類などの修正が必要になるケースもあるため、税理士などの専門家に相談して進めることが望ましいでしょう。

歯科医院で税務調査が実施される理由・ケース

基本的には、一般的な会社の対象と同じ特徴のある歯科医院に対して、実施される傾向にあります。 ・売上や利益が大幅に増えた歯科医院 ・他の歯科医院と、収益と費用の割合が異なる歯科医院 ・院長が代わった歯科医院 ・分院などで事業規模の変化した歯科医院 ・設立から3年目の歯科医院

歯科医院の税務調査の流れ

基本的に次の流れで税務調査が実施されます。  

①調査前:事前の通知受理と準備

歯科医院(および税理代理の税理士)に、調査の開始日時・開始場所・調査対象税目・調査対象期間などが事前に連絡されます。 日時が診療に影響する場合は、休診日などに変更してもらう必要があるでしょう。 通知を受け取ったら、経理担当者は申告書や請求書、領収書、通帳や帳簿などの必要な資料を用意します。 税理士との打ち合わせが必要となる場合もあります。  

②当日:質問への回答と帳簿書類の提出

当日は、事業概要の説明を受けてから実際の調査に移ります。 調査官から受ける質問への回答や、帳簿書類の提出要求に応じましょう。 経理部門は、調査中その対応に追われるため、通常の業務を行うことは難しくなる可能性があります。  

③調査後:結果の通知と修正報告の有無

税務調査を終えたら、結果の通知を受け取ります。 もし、申告内容の不備や申告義務の漏れなどがあれば、修正申告を求められます。

歯科医院の税務調査への準備

税務調査への対策として、過度な節税は避け、取引を証明する資料を保存しておくことは必須です。  

過度な節税は避ける

⻭科医院の節税を重視するあまり、過度な経費計上を⾏っていると、不正につながる可能性があります 不正が発覚した場合は追徴課税だけではなく、「重加算税」も払わなければなりません。 普段から健全な会計処理・税務処理を行いましょう。  

取引を証明する資料を保存する

税務調査では、取引のあいまいな部分を中心に質問されます。 そこで、あやふやな回答をしたり証明する材料を用意できていないと、あらぬ疑いをかけられかねません。 取引を証明できる資料を残しておきましょう。 なお、領収書の保管期間は、法人で7年間、個人事業主で青色申告7年間、白色申告5年間と定められています。 保管期間中に破棄しないよう注意してください。

歯科医院の税務調査で指摘されるポイント

歯科医院では、税務調査で指摘される可能性がある次のポイントをチェックしておきましょう。  

自由診療

金額が大きく、患者さんへの半面調査(調査対象の顧客への調査)が難しい自由診療。 かつては、売上から自由診療の収益を除外する「領収書隠し」を行うケースがありました。 近年では、患者さんの多くが医療費控除を申告しているため、領収書隠しでの脱税は減っています。 ただ、インプラントは治療の長期化で決算期をまたぐことから、「期ズレ」が起こりやすいです。 歯科医院側が気づかずに、未収金のまま放置してしまわないよう、計上のタイミングには注意しなければなりません。  

生活費・交際費

帳簿上の収入に対し、高級車を購入するなど派手な生活費や、高級クラブでの豪遊など過剰な交際費の経費計上には、疑いを持たれる可能性があります。 交際費などの領収書には、あらぬ疑いを持たれないよう、接待相手の名前などを記載しておくことが望ましいです。  

棚卸資産

歯科医院の材料や薬品、歯科技工所にある在庫まですべて棚卸資産の対象となります。 在庫漏れのないよう、管理には気をつけなければなりません。 また、回収した金歯の売却や、院内にある自動販売機の収入も、雑収入として計上する必要があります。  

家族への給与

法人税対策として、個人事業主から法人化した際、家族を役員にしてその給与を損金にすることが一般的です。 合法的に赤字を作り出すことができるためです。 しかし、家族への給与が「適切な金額であるか」「給与に見合う働きをしているか」に注意しなければなりません。 例えば業務にほとんど関わりのない妻に、月数十万円を支払っていれば、疑いを持たれる可能性があります。

日頃から税務調査を見越して準備しておきましょう

実際に税務調査を受ける際は、焦ることなく丁寧に対処すれば問題ありません。 「税務調査がいつ来ても構わない」くらいの基準で日々会計管理をしておくことが、一番大切です。 変な疑いを持たれる取引や経費処理を行わず、領収書など必要書類の管理を日頃から徹底しましょう。

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