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「覆面調査」、
実は税務署でも実施しています

2018/11/19 歯科医院経営

前回は、経営に活かす「覆面調査」のお話しをお届けしました。「覆面調査」では、第三者が実際に患者さんの立場を体験することで、そこで得られた情報を分析、医院の改善に活かすというもの。院長先生など提供者目線では見落としがちな点に気付くことができるというのがメリットです。

実は、この「覆面調査」、税務調査の一環として、税務署がこれを行うこともあります。

今回は、テントゥーワングループにメンバーとして在籍する「ベテラン元国税調査官」の経験とノウハウを交えながら、税務調査のポイントを見ていきましょう。

【税務署が行う覆面調査では】

税務署の「覆面調査」では、「外観調査」と「内偵調査」とを行い、事前に問題点を把握します。 □「外観調査」では、店舗の外からの観察を行い、客層や来店人数などを観察。 □「内偵調査」では、実際に税務職員が立場を明かさず、客として入店、内部を観察。 「内偵調査」では、客層や来店人数に加え、スタッフの数、販売商品や単価、レジの運用や管理状況などを細かく観察します。「内偵調査」が飲食店で行われるときは、昼食時や夕方時、混雑時や閉店直前に、客数やレジ打ち、伝票番号を観察。客数や客単価をもとに売上を推計、これを確定申告している売上と突き合わせ、申告されている売上が適正であるのかを検証します。

【医業の税務調査の現状は】

自由診療が多い歯科や産婦人科は税務調査が多くなる傾向にあります。自由診療が少ない診療科目では税務調査が少ない傾向にありますが、ベッド(病床)数が多い病院は、診療科目に関係なく、定期的に税務調査が行われる傾向があります。

【歯科の税務調査のポイント】

医業のなかでも税務調査が多い歯科医院。 その税務調査のポイントを整理してみましょう。 □保険収入と窓口収入の関係に矛盾はないか 「保険収入:窓口収入≒7:3」になっているか(3割負担の場合)など、保険収入と窓口収入との整合性を確認。これらが理由なく整合しない場合、窓口収入の計上もれの疑義が。 □自由診療収入に計上や申告もれはないか カルテやアポ帳などから、収入の計上もれがないかを調査。院長先生の個人名義、医療法人名義の預金口座も確認されます。カルテの調査は、その収入把握が目的であるため、「それは患者さんの個人情報だ!」という理由で、税務職員へのカルテの提示を拒否することはできません。また、医療法人だから、「個人名義の預金口座は関係がない!」との理由で通帳を見せなくとも、税務職員は銀行に行き、銀行でその口座情報を確認することができます。また、金額の大きな自由診療を受診された患者さんは、自らの確定申告で医療費控除を受けることも。患者さんが申告した医療費控除の申告内容をもとに、収入の計上もれがないかが調査されます。つまり、患者さんの申告内容と、医院の申告内容とが整合しているか、の検証です。 □歯ブラシなどのオーラルケア用品についてのお金 医療法人において、これらのお金が院長個人名義の預金口座に振り込まれ、その収入の計上がもれているのではないか、などの調査が行われます。税務調査では、ほぼ間違いなく、これらが収入として計上され、もれなく申告されているのかが調査されます。つまり、そのお金が収入として、もれなく計上されているか、です。 □その費用は、業務に必要な支出であるといえるか 院長先生の親族への報酬や給与の支払いは実態があって妥当であるのか、交際費や福利厚生費として、飲食費や贈答品などに個人的な経費が含まれていないか、親族だけの慰安旅行やレクリエーションはないか、なども調査されます。百貨店外商部からの高額な商品の購入があれば「これは?」の質問につながり、高級飲食店の領収書があれば、やはり「これは?」の質問へと。

【知恵を健全な経営に活かす】

「これは?」の意図は、「この支出は業務に必要であるのか?」です。例えば、高級外車を所有、減価償却費などとしてこれを経費にしている場合、「そもそも高級外車が業務に必要であるのか」、との質問へとつながります。その質問に対する答えを知るのは院長先生だけではないでしょうか。 だからこそ、院長先生においては、「これは?」の質問を受けたときに、「それは、具体的にこういう理由で業務には不可欠である」と胸を張って回答できるよう、支出の都度に、また定期的に、これを整理そして管理しておくことが望ましいといえます。 税務調査は、誰にとっても、あまり気分の良いものではありません。他方、税務調査をきっかけとして、取引業者や従業員の不正が発覚するケースもあります。第三者である税務調査を受けたことで、今まで気が付かなかった「不正がなくなりすっきりした!」という結論に至る場面も。この効果は、前回にお届けした「経営に活かす覆面調査のお話し」と、同じような効果かもしれません。 合法的な節税は大切です。 しかしそれ以前に、健全な利益を生む適切な経営の管理体制が不可欠です。上記のポイントを、「税務調査をやり過ごすための知識」として利用するのではなく、「健全な経営で成長するための知恵」として活かしてみてはいかがでしょうか。