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変わる世界を生き抜く、歯科イノベーションマインドのススメ 第4回:歯科イノベーションは人材不足!

変わる世界を生き抜く、歯科イノベーションマインドのススメ 第4回:歯科イノベーションは人材不足!
変わる世界を生き抜く、歯科イノベーションマインドのススメ 第4回:歯科イノベーションは人材不足!
これまでの経験や業界の当たり前に慣れてしまっている歯科医療者に対し、バイアスを外し、課題を見つけ、それを解決することでより良い医療を実現する。そんな仲間を増やしたいという思いで書いているこの連載ですが、今回お伝えしたいことは本当にこの一つだけ。

「考えてないでさっさと始めてください」
これです。このことを伝えるために、なぜか2,000字書いています。

口は災いの元

こんにちは長縄です。この連載も4回目となりいよいよ佳境(全6回)に入ります。読者の皆さんはそろそろ気づくころだと思いますがそのとおり、この原稿は電車の中で書いています。所々に車内の描写が散りばめられています(気が散りすぎ)。電車の中はとても楽しい。ツッコミ始めたら乗り過ごしてしまうほど楽しい(マジで乗り過ごしているので、本当はほどほどにしたい)。 さて、今日はどんな広告があるだろう。「抜け毛は医師にという人、増えています」といった某クリニック広告、誇大広告なんじゃないの?と思われる美容外科クリニック、全身脱毛業界最安級!(最安とは言ってない)など。 「口は災いの元」だぞと、意地悪くツッコミ始めたらキリがないのですが、同時に「ものは言いよう」だなと感心したりもします。とても楽しい。「それがどうした」と思った方はこれまでの記事を見直してから電車に飛び乗り、車内の広告たちにツッコミまくってください(電車じゃなくてもいい)。

ものは言いよう

さて、この「ものは言いよう」はとても便利です。少しでも人によく思われたい、自分を大きく見せたい、実験データをポジティブに解釈したい、スタッフのモチベーションをあげたい!など多様なシーンで使われています。「負けを認めなければ負けじゃない」もそう。 私たちが住む医療業界の日常にも「ものは言いよう」が溢れています。止め処なく。蛇口をひねれば水が出るのは当たり前。ものは言いよう先進国です。 例えば患者さんに、 「なかなか痛みが取れませんよね?」と言ったら、 「いやそんなことないですよ、以前よりはマシですよ。」 となる。 逆に、 「もう痛くないですよね?」と言ったら、 「いやまだ痛いよ」 となる。 ものは言いよう(正したい反射)は面談のテクニックになるくらい当たり前大国です(動機付け面接)。 さて、電車の中で記事を書いていることは読み流してもらい、本当にそろそろ気づいて不思議に思うことがあるとすればそれは、「ドヤ顔でイノベーションを語るおまえは誰なんだ」というやつです。まさかここにも「ものは言いよう」がブッ込まれているのかも。と、そのつもりでぼくの略歴を見てください。 厚生労働省教育訓練プログラム開発事業メディカルイノベーション戦略プログラム委員(どーん!)、千葉大学遠隔医療マネジメントプログラム委員(どどーん! キラキラ) 何がイノベーション戦略だ、よく言うわと思いますが、これを見ると、なんかこの人イノベーションに詳しそう!と思いますよね。まったく詳しくないんですけど。ぼくが社会や医療にインパクトを与えるようなイノベーティブな何かを生み出したことはありませんので、完全に名前負けしています。

始める人が本当に少ない!

とはいえ、これは誇大でも何でもなく、本当にこの仰々しい名前の委員をしているので仕方ないのです。この名前をつけた方はおそらくちょっとはカッコつけようと思っているに違いないです。 ちなみにこの連載も、「歯科イノベーションマインドのススメ!」とカッコイイタイトルですが、メディカルイノベーション戦略プログラムの委員が書いているので、ちょっと説得力が出ちゃいます、モノは言いようの効果が出ちゃっています。 繰り返しますが、ぼくが医療にイノベーションを起こした事実も記憶もないです。間違いなく一度もない。記憶喪失した記憶もない。遠隔医療はイノベーションじゃないかと言われても、多分違います。電話しているだけです。 ではなぜぼくがこの委員に呼ばれたのか?といえば、他に(歯科業界に)似たような人がいないからとしか言いようがありません。何も成し遂げていない自分に声がかかるくらい人材が不足しているのです。やばいです。やばいので、まずは下記のイベントに参加しましょう!
イベント事務局からプロフィールと肩書きを送ってくれと頼まれましたが、長々と書くのが胡散臭く思えて嫌で、「画家」と一言書いて提出したら鮮やかに却下されました。優秀なスタッフがいる真面目なイベントです。ホームページもご覧ください。 https://www.healthtechsum.jp/

やってみなきゃわからない

さて、イノベーション人材が不足しているのはなぜか。答えは簡単です。だれも始めないからです。 前回までのお話では、バイアスを外すための習慣、見つけた課題は自分の課題か、明確な理由があるか、を考えるところまできました。 多くの人がここまできます。頭の中で考えるだけなのでリスクゼロです。でも実際に始める人はごく少数。多くの人は考えているだけで始めません。始めるだけでレアキャラです。始めたらやりきりましょう。

職を失う訳ではないのでリスクは少ない

皆さんには国家資格の免許があります。新しい事業や取り組みがもし頓挫したとしても生きていけます。歯科医療を続けながら、まずは週末起業的にでも新しい挑戦をしてみたらどうでしょう。 来年はどなたか一緒に登壇しましょう。こちらのイベントもぜひ参加してください。 https://digitalhealthlab.tokyo/conference/ キービジュアルを描きました(シーラカンスとオウムガイ)。

著者長縄拓哉

歯科医師(医学博士)。ムツー株式会社代表取締役。

略歴
  • 東京歯科大学卒業。
  • 都内大学病院で口腔腫瘍、顎顔面外傷、口腔感染症治療に従事。
  • デンマーク・オーフス大学に留学し、口腔顔面領域の難治性疼痛(OFP)について研究。
  • 口腔顔面領域の感覚検査器を開発し、国際歯科研究学会議(IADR2015、ボストン)ニューロサイエンスアワードを受賞。
  • デンマークと日本の研究活動推進プロジェクトJD-Teletech日本代表。
  • (一社)訪問看護支援協会BOCプロバイダー認定資格講座総括医師。
  • 日本遠隔医療学会・歯科遠隔医療分科会長。
  • 日本口腔顔面痛学会評議員、同学会診療ガイドライン作成委員。
  • 日本口腔内科学会代議員。
  • 厚生労働省教育訓練プログラム開発事業 メディカルイノベーション戦略プログラム委員。
  • 千葉大学遠隔医療マネジメントプログラム委員。
長縄拓哉

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