将来有望な歯科医師志望の若者を歯科業界として迎えるにあたり、現在の歯科医師希望者の将来設計や考えていることを把握することは、歯科医院を経営している歯科医師にとって、大切です。
国家試験に合格し歯科医師になれた時、どのような未来を思い描いていたのか?大学病院に所属する若手歯科医師の先生に『リアルな声』を聞いてみました。
※本記事は若手女性歯科医師の率直な考えや意見を引き出すため、匿名でのインタビューを行っております。
若手女性歯科医師のの所属先の選び方
インタビュアー
本日はよろしくお願いいたします。歯科医師として忙しく過ごされていますが、現在所属されている大学病院はどのような経緯で選ばれたのですか?
若手女性歯科医師
エビデンスに基づいた歯科治療ができるようになりたいので、見聞を深く広めるために、病院の中でも大学病院所属を選んでいます。
正直、給料、休日、福利厚生などは二の次だと思っています。
今は少しでも自分のスキルを上げることが最優先だと思うので、大学病院で修行しています。
インタビュアー
世間一般の新卒就活生は福利厚生や休日の多さなどライフワークバランスを重視する傾向がある中、スキルの向上を優先して大学病院で働かれるとはすごいですね。
スキルを向上する上で、所属先は『歴史のある病院』、『最新設備がある病院』もしくは『その他(先輩・横のつながりなど)』どれが一番優先順位が高かったですか?
若手女性歯科医師
どれも優先順位がつけられなくて...
歯科医師は1つの医院にしか所属できないというわけではないので、欲張りですが、色んな利点があるところで、色んな先生の治療を学んでいきたいです。
インタビュアー
所属できる医院は1箇所ではないのですね。『色んなことを学べる』という先生の考え方、素晴らしいと思います。
勤務医として働く場合、勤務場所は都心か地方のどちらがいいと思いますか?
若手女性歯科医師
個人的に言うと、私は人生で一度も都心から離れたことがないので都心希望です。
歯科医師はセミナーや勉強会に参加しないといけなく、開催場所は都心が多いので、参加のしやすさを考えても都心の病院の方がいいと思います。
インタビュアー
若手の歯科医師の方が最新技術や勉強会に参加されていることを知れて、患者さんの立場としてとても心強いです。
若手女性歯科医師のリアルを追求
インタビュアー
勤務医として働いていて、良い点・悪い点をそれぞれ教えてください。
若手女性歯科医師
良い点は、複数人へ相談ができる、さまざまな方向の解決策が聞ける、すぐに質問できることですね。
現在の所属先には同期・先輩・後輩が多いので、診療内容で困ったことがある時は複数人へ相談ができます。
さまざまな方向の解決策が聞け、尚且つ、わからないことがあったらすぐに質問できる環境がとても良いと思います。
大学病院の場合は、雑務が多い点は少し悪い点かなと感じます。
開業医に比べて歯科衛生士が少ないので、歯科診療以外の仕事が多くなってしまうんです。
インタビュアー
なるほど、、「思い描いていた仕事と違う」と言いたくなりそうですが、歯科医師になってみて、理想と違うところはありましたか?
若手女性歯科医師
理想と違うことはなかったですが、想像していた以上に働き続ける限りずっと勉強をし続けなければならないことを日々実感しています。
インタビュアー
日々勉強...独り立ちするには、勉強することがたくさんあると思うので、勉強の日々が続きますね...
勉強をし続ける中で、現状への不満はないですか?
若手女性歯科医師
仕事内容ではないですが、職場が遠くて通勤に時間がかかるが不満ですね。
早朝勉強会があったり、仕事が終わらず夜遅くまで病院にいる日はかなりつらいです。
インタビュアー
確かに、通勤に時間が取られると辛いですよね。
仕事に不満がないとおっしゃっていましたが、歯科医師を目指す方や歯科医院の経営者は、院内で働く人たちのリアルな人間関係を知りたいのではないかと思います。ぜひお聞かせいただけますでしょうか。
若手女性歯科医師
リアルな人間関係...リアルという感じではないですが、歯科衛生士も含めると、男女比が同じくらいなので病院内の雰囲気は良いと思います。
歯科の世界は『歯科医師が男性で歯科衛生士が女性』というイメージが強いと思いますが、最近では女性の歯科医師も増えてきました。
増えたといっても男社会なので、体力なども含めて男性の歯科医師に負けないように頑張らないといけないことは多いですね。
歯科医師が男性の先生が多いのに対し、歯科衛生士は女性がほぼ100%なので、将来開業した際は私を含め女性だけの職場になると、揉め事も増えることもあると思うので、正直、人間関係には不安が残ります。
インタビュアー
歯科医師は体が資本、非常に体力がいる職業かと思います。医師不足の問題や世間では選択週休3日制などの働き方改革に注目が高まっています。 先生は休日をどう過ごされていますか?
若手女性歯科医師
今は大学院生医員なのでアルバイトもあるので、今は週休1日で過ごしてます。
インタビュアー
週休1日ですか!?体力もそうですが、どういった過ごし方でリフレッシュされているのでしょうか?
若手女性歯科医師
数少ない休みなので勿体無いと思い、積極的に体を動かしたり、外に出たりしています。
流石に毎週だとリラックスできないので、月に1回程度は家でゆっくりして身体を休めています。祝日で連休をもらえると、ゆっくり休めるので嬉しいですね。
将来は開業医希望
インタビュアー
大学病院の勤務医として活躍されていますが、ご自身の将来について、詳しく教えてください。
若手女性歯科医師
開業医になりたいですね。父が歯科医院を経営しているので、後を継ぐことも視野に入れています。
インタビュアー
歯科医師家系なんですね!独立して開業医になるまでに、今の所属場所を変える(転職)お考えはありますか?
若手女性歯科医師
あります。大学病院を退職したあとは、開業医勤務を何箇所か掛け持ちして、開業医として必要なノウハウを身につけてから、最終的に独立したいと思ってます。
インタビュアー
開業医を目指す方はとても計画的な転職計画をお持ちなんですね。
働く側に立った時にどういった歯科医院が理想だとお考えでしょうか?
若手女性歯科医師
仕事内容をしっかり分業できている歯科医院が作りが理想です。
インタビュアー
大学病院では、多くの業務もご経験された先生だからこその発想ですね。
独立して歯科医院を経営したら、年収も上がりますよね。率直にお聞きしたいのですが、ご希望される年収はいくらでしょうか?
若手女性歯科医師
希望ですが、最終的に年収1500-2000万円を目指したいです!笑
インタビュアー
すごいですね!先生のお話を聞いて、この記事を読んでくださった方も歯科医師希望者も気が引き締まったのではないでしょうか。
最後に、これから歯科医師を目指す歯学部の学生に対して、メッセージがあればお願いします!
若手女性歯科医師
辛いと思う時期が来るかも知れないですが、学生や研修医の時に頑張れば、将来出来ることが増え、選択肢も多くなります。
働き続ける限り勉強することが一生続きますが、さまざまな意味で自分の人生を豊かにすることができると思うので、まずは歯科医師免許取得まであと少し頑張ってください!
まとめ
今回は大学病院に所属されている若手歯科医師の方に、今のお考えやご意見を率直にお伺いいたしました。
歯科医院経営者にとって、歯科業界の将来を担う若手歯科医師を育成するための職場環境の構築は重要です。今回のインタビューが参考になれば幸いです。