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第4回:医師だからこそ歯科受診を勧める

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医科歯科ボーダレスな診療を目指して
第4回:医師だからこそ歯科受診を勧める

医科歯科ボーダレスな診療を目指して<br>第4回:医師だからこそ歯科受診を勧める
医科歯科ボーダレスな診療を目指して
第4回:医師だからこそ歯科受診を勧める
あれ?第3回とタイトルが同じでは?と思った読者はいらっしゃいませんか?「医師も」→「医師だからこそ」に変わっています。前回ご紹介した「オーラルヘルスと全身の健康」2011年改訂版に書かせていただいたことの要点をまとめると、以下のとおりです。

①医科医師は歯科受診していない方へアプローチできる存在
②口腔は消化器(消化管)の入り口
③口から始まる消化器系臓器の存在意義は、栄養素の消化と吸収
④内科の診察において口(口腔)の視診は不可欠
⑤口腔の健康は全身の健康の上流にありその源泉
⑥医科歯科連携は周術期、集中治療室、高齢者の慢性期診療など各分野で進んでいるが、今後の展開として摂食嚥下の領域で進むことを期待する
⑦医科歯科連携の本丸は「予防」における連携

この冊子の著者の中に名古屋のA大学歯学部のI先生がいらっしゃいました。そのご縁で2012年にA大学講堂で開催された講演会に演者としてお声がけいただきました。その後I先生とはメールやSNSを通じて交流を重ねさせていただき現在も継続中です。このご縁がさらに昨年コロナ禍のなか、名古屋の医科歯科連携の旗手O先生との出会いにつながったことは偶然ではないと思っています。

時代は2008年頃に戻ります。患者さんの口腔を診ることにのめり込んでいくなかで、もっと歯科のこと知りたい、歯科的視点に近づきたいと思うようになりました。

そこで以前より親交のあった歯科開業医Y先生にお願いして、歯科医院での月1回の全体ミーテイングに参加させていただきました。専門用語などを教えてもらいながら、歯科医師と歯科衛生士の症例提示、ミニレクチャーなどを拝聴させていただき、たいへん勉強になりました。基礎疾患をおもちの患者さんも少なくありません。内科医師として基礎疾患、投薬内容や血液データについてコメントさせていただくことができましたので、少なからずにお役に立てたのではないでしょうか。これがその患者さんの内科主治医だったら最高ですね。そのような医科歯科連携がしたいと思うようになりました。

医科診療の現場で、患者さんの歯科口腔衛生の改善と維持について、医師をはじめとする医科医療者に何ができるのか?それは、「オーラルヘルス改善と向上へのきっかけづくりと動機付け」の一言に尽きると思います。それが「医師も」ではなく「医師だからこそ」であることは、ここまで読んでいただいた皆さんには説明不要ですね。

2008年から2009年を振り返ると、もう一つ想い出されるのが雑誌「看護師の口腔ケア」です。歯科用ルーペや歯科専売の歯ブラシで知られるO社の関連会社から発刊されました。少数ではありましたが看護師の中に歯科口腔衛生への意識が高く、それを臨床現場で実践し、インフルエンサーとしても活躍されている方々がいらっしゃいました。創刊から8号目で絶版となったのですが、それは2009年時点での医師や看護師のオーラルヘルスへの意識がまだ十分ではなかったことを示していると認識しています。

2008年は「特定健診・特定保健指導」が開始された年でもあります。当初、「口腔衛生と口腔機能の評価」が「特定健診」に盛り込まれていたことを覚えていますでしょうか?健診を担当する医師はとりあえず口をみなければならなくなり、慣れない「反復嚥下テスト」を行うことになりました。医師の歯科口腔への意識が高まるきっかけになると私は期待したのですが、いきなり医師にそれをさせることは難しかったようです。「口腔機能評価」は現在、65歳以上の対象者と後期高齢者健康診査に「生活機能評価」として継続した形にはなっているようですが……。

この20年で8020達成率は増加したものの、口腔衛生の向上や口腔機能の増加とは別の問題のようです。医師の私としては、歯周病検診を含めた口腔衛生の評価と口腔機能評価によるオーラルフレイル検診が期待されているのではないかと感じています。

著者細田正則

ほそだ内科クリニック 院長・医師・医学博士

略歴
  • 1964年 米国ミシガン州生まれ
  • 1990年 京都府立医科大学卒業
  •     医師免許取得
  •     京都府立医科大学第三内科(現在の消化器内科)入局
  • 1998年 京都府立医科大学大学院修了 医学博士号取得
  • 2011年 ほそだ内科クリニック 開院
所属学会・専門医など
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本消化器病学会認定消化器病専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医
  • 日本医師会認定産業医
細田正則

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