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発達期における咬合の変化 その22 第4世代の歯列弓 

発達期における咬合の変化 その22 第4世代の歯列弓 
発達期における咬合の変化 その22 第4世代の歯列弓 
本メイルマガジンであるスマイルプラスは、2008年1月2日のスタートであるから、今回で第360号となる。
ところで、それ以前はモリタ デンタルプラザのタイトルで発行されていた。
私の連載は、2003年8月18日号の「歯科医療におけるレベルアップ」からなので通算449話目となる。いよいよ今年で節目の20周年となる。
https://www3.dental-plaza.com/archives/8426
どこまで続けることができるかわからないが、今しばらくお付き合い願いたい。

さて、筆者は、乳歯列を時系列的に第1世代から第4世代に分けている。(図1)

これまで、第2世代“閉鎖型歯列弓”、第3世代“過蓋咬合”の増加の要因について私見を述べてきた。
過蓋咬合が進むにつれ、下顎の乳前歯は、上顎の歯列にロックされ舌側傾斜や叢生が生じると伴に下顎が後退する。
一方、上下顎の乳前歯が当たらないケースも散見される。
これが、第4世代と考えている。(図2)

筆者は、“下顎の後退位”と表現しているが、これは第1世代を基準としたものである。 本来、出生時に下顎は最後方位をとることから、下顎の前方への成長不全ともいえる。これは吸啜や口唇での捕食や前歯部の咬断する機会の不足と関係するが、姿勢との関与も深い。
   
さてこれは、1990年頃撮影した重度の脳性麻痺の男児A君(4歳)である。
過蓋咬合だけでなく、下顎が異常に後方にある。この写真は、第4世代の歯列に似ているような気がしてならない。(図3)

A君は、経管栄養で育ち、経口摂取の経験がまったくない。当時は、障害を持つから、この様な歯列になったと考えていた。
 しかしこれに類似したケースが第4世代であるならば、健常な小児が本来獲得するレベルまで発達していないと考えられる。
さて筆者は、多くの重度の脳性麻痺児の歯科診療に携わってきた。
B君(5歳)もその1人、チェアーに寝かせると、呼吸困難となり、激しく咳き込み顔が真っ赤になる。数十秒も仰臥位をとれないので、無理をすると大きなトラブルを引き起こしかねない。(図4)

当初、その理由がわからなかった
続く

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

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