まず,このマンガを見ていただきたい。(図1) ある展示会で。 知ったかぶりをする女性:「この絵は“ルノアール”ね」 執事:「奥様,それは“フェルメール”でございます」 女性:「みごとね。この“フェルメール”」 執事:「奥様,そちらが“ルノアール”でございます」 女性:「あるそう。でもこれならわかるわ“ピカソ”ね」 執事:「奥様,それは鏡でございます」 笑っていただけただろうか? さて,笑いと健康について、たくさんの研究がある。 笑いの効用には、 ①ストレス・うつ症状の緩和 ②痛みの緩和 ③NK細胞の活性化(免疫力の向上) ④自己治癒力の向上 ⑤腹式呼吸による血流改善 ⑥血圧・血糖値の改善 ⑦自律神経のバランスを整える・・など数えあげればきりがない。(図2) 例えば、体は約37兆の細胞からなり、毎日コピーを繰り返し,新しい細胞に生まれ変わる。(図3) そのコピーミスが“がん細胞”で、毎日約5000個作られるという。(図4) しかし5分間笑うことで、体内ではNK(ナチュナルキラー)細胞が活性化し、がん細胞を退治するという。 この実験は、1991年に 大阪の“なんば花月”で行われた。 がん闘病者を含む19名に吉本新喜劇を見せ、その前後でNK細胞の活性度を調べた。 その結果、活性度の低い者は上昇し、高すぎる者は基準値の範囲に戻ったという。 さて肺は,横隔膜や外肋間筋を利用して空気を取り入れる。 そして吐く時は,ゴムのような肺の弾力を利用する。(図5) しかし,その柔軟性は年齢とともに低下するため肺の残気量が増える。 すると,たくさん息を吸えず,次第に呼吸が浅くなる。 駅の階段を駆け上がれないのは,“肺の老化”のためだ。(図6) 残念ながら,肺のアンチエイジング法は確立されていない。 しかし・・・である。 笑いは、連続的な呼気が続く。 すると残気量が減少し,呼吸が楽になる。 笑いは,呼吸生理学的にも健康に良いことがわかる。 ここでもう一度,同じマンガを見ていただきたい。(図7) 一度目ほど,おもしろく感じないはずだ。 でも,大丈夫・・・。 他にも笑って健康になる方法がある。
著者岡崎 好秀
前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授
略歴
- 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
- 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
- 日本小児歯科学会:指導医
- 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
- 日本口腔衛生学会:認定医,他
歯科豆知識
「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
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