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“呼吸”と“嚥下”はコインの裏表 その3:肺の弾力と老化

“呼吸”と“嚥下”はコインの裏表 その3:肺の弾力と老化
“呼吸”と“嚥下”はコインの裏表 その3:肺の弾力と老化
肺は、横隔膜や外肋間筋を利用して空気を取り入れる。
しかし、呼気時には働かない。肺は自力で動くことができないのである。
そのためゴムのような肺の弾力を利用している。 
しかしこれでは、風船を膨らませることができない。
息を吐ききる時には、内肋間筋が働くとともに、腹直筋により腹圧を上げる。
あらためて呼吸筋をじっくり見直すと、横隔膜を除き、主として吸気筋群は肺の上部、呼気筋群は腹部にある。
さて、肺の弾力は年齢とともに低下する。(図1)

肺が広がっても、ゴムのような柔軟性がなくなれば十分に縮むことができない。
最大限に吸い込んでも、肺が硬くなると呼気量が減少する。
肺に残った空気が残気量である。
横隔膜は吸気時に働くが、呼気では働かないため残気量を減らすことはできない。(図2)

そこで、通常の呼吸でも、息苦しさを感じ始める。これが肺の老化だ。
またCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を発症すると、息が吐ききれず残気量が増える。
そのため、次の吸気が十分入らず呼吸困難となる。
これは、水泳で使うシュノーケルを考えるとわかりやすい。
シュノーケルの容積の空気も出し入れするためには、余分な労力が必要となる。
残念ながら現在、肺のアンチエイジングは、不可能とされている。
そこで呼吸筋、なかでも呼気筋を衰えさせないことが重要となる。

そこで、深くてゆっくりした呼吸に誘導するトレーニングが必要となる。(図3)

 まず頸部筋や胸郭を広げるストレッチが優先される。
例えば、呼気と吸気の間に、息こらえを加える呼吸法がある。
①吸気(4秒):楽な姿勢で腹式呼吸を2〜3回繰り返し、鼻から息を吐ききる。続けて4秒息を吸う。
②息こらえ(4秒):4秒息こらえを行う。
③呼気(8秒):8秒かけて鼻から細く長く息を吐く。この時、腹圧をかける。
④これを数回繰り返す。
一般的な1分間の平均呼吸回数は16回(12~20回)とされている。
しかし、この呼吸法では、1分間の呼吸数は4回となり、深い呼吸に誘導される。
また息こらえにより、体外への二酸化炭素の排出が抑制され、血中濃度が高くなる。
これにより浅い呼吸で低下した、血中の二酸化炭素濃度を正常に戻すことができる。
続く

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識 「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
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岡崎 好秀

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