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“呼吸”と“嚥下”はコインの裏表 その6:笑いヨガ

“呼吸”と“嚥下”はコインの裏表 その6:笑いヨガ
“呼吸”と“嚥下”はコインの裏表 その6:笑いヨガ
笑いが健康に良いと言われても、同じネタでは何度も笑えない。
しかも、そのツボは個人によって異なる。
そこで笑うことをエクササイズにした“笑いヨガ”がある。
そもそも“笑う動作”を行うだけで、体は誤認識する。
これを繰り返すと、脳から“幸せホルモン”のみならず、ストレス抑制ホルモンまで分泌される。

日本笑いヨガ協会では、笑う動作を体操の一つとして位置つけている。(図1)

無理に笑うのではなく、大声で「ハ・ハ・ハ・ハ」と30秒間笑い続けると、かなりの運動量となり身体が活性化する。
ここで少し、声を出して笑っていただきたい。
まず横隔膜が大きく動く。
また内肋間筋の働きで胸郭を狭め、息が吐ける。
すると腹直筋や胸鎖乳突筋、それに斜角筋など呼吸補助筋も動く。
さらに顔面表情筋を駆使し、肺の空気を出し切るつもりで大笑いをする。
主宰者の高田佳子氏は、この筋肉を“ゲラゲラ筋”と名づけている。
こうして呼吸筋を鍛えることで、呼吸が深くなるのだ。(図2)


ここで例をあげてみよう。
*ライオン笑い: (図3)

①目と口を大きく開き・思い切り舌を出す。 ②そのまま「ハッハッハ」と息を出す。これにより、顔面表情筋や舌筋、呼吸筋が鍛えられる。さらに唾液分泌量が増加する。

他にも・・・。(図4)

*歯みがき笑い:①前歯を磨くつもりで、口を横に伸ばし「イッヒッヒッヒ」と笑いながら歯ブラシを横に動かす。②大きな口を開け「ハハハ・・」と奥歯を磨く。 ③右から左手に持ち替え繰り返す。
*うがい笑い:①口を膨らませできるだけ長く「ムグムグする」。②水を思い切り遠くに飛ばすつもりで「ハ・ハ・ハ・ハ」と笑う。
*梅干し笑い:①世界一すっぱい梅干しを食べると想像する。②それを口に入れ、酸っぱそうに「ハ・ハ・ハ・ハ」と笑いながら食べる
*ムンクの叫び笑い:①顔はそのまま、眼だけ真上を見る。手を顔の横にもって行き②ムンクの様に「ホホホ」と言いながら叫ぶ などがある

笑いヨガは、よくテレビの健康番組でも紹介されているので、検索し参考にしていただきたい。
このように、呼吸筋を鍛えることは、健康な生活を送るうえで欠かせない。
また、“嚥下力の衰え”は、“呼吸の衰え”に繋がり、“呼吸の衰え”は“嚥下力の衰え”に繋がる。
“呼吸”と“嚥下”はコインの裏表なのだ。
“息苦しさ”は“生き苦しさ”であり、“長息は長生き”につながるのである。(図5)


参考:高田佳子:ボケないための笑いヨガ  春陽堂2013、高田佳子:笑いヨガで超健康になる!マキノ出版ムック  2014、高田佳子:大人の笑トレ ゴルフダイジェスト社 2015

著者岡崎 好秀

前 岡山大学病院 小児歯科講師
国立モンゴル医科大学 客員教授

略歴
  • 1978年 愛知学院大学歯学部 卒業 大阪大学小児歯科 入局
  • 1984年 岡山大学小児歯科 講師専門:小児歯科・障害児歯科・健康教育
所属学会等
  • 日本小児歯科学会:指導医
  • 日本障害者歯科学会:認定医 評議員
  • 日本口腔衛生学会:認定医,他

歯科豆知識 「Dr.オカザキのまるごと歯学」では、様々な角度から、歯学についてお話しします。
人が噛む効果について、また動物と食物の関係、治療の組立て、食べることと命について。
知っているようで知らなかった、歯に関する目からウロコのコラムです!


岡崎 好秀

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