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地域とともに歩む高齢者・障がい者への歯科治療 第6回(最終回):未来を見据えた訪問歯科診療の可能性

地域とともに歩む高齢者・障がい者への歯科治療 第6回(最終回):未来を見据えた訪問歯科診療の可能性
地域とともに歩む高齢者・障がい者への歯科治療 第6回(最終回):未来を見据えた訪問歯科診療の可能性
一般の歯科診療だけでなく訪問歯科診療においても、テクノロジーの活用が新たな展望を切り開いています。たとえば、ポータブルデジタルX線装置や口腔内スキャナー、CAD/CAMの普及により、訪問診療で提供できる治療の幅が広がりつつあります。これらの技術は、患者さんの通院負担を軽減し、複雑な治療の実現を可能にするだけでなく、診療の質の向上と効率化も期待されます。

また、訪問歯科診療の未来を見据えるうえで、地域内の医療・介護関係者との連携をいっそう強化する必要があります。特に、歯科医療と在宅医療、介護サービスの垣根を超えた多職種協働の取り組みが重要です。

たとえば、ケアマネジャーや訪問看護師といった他職種と定期的に情報共有を行い、患者さんの生活全体を支える包括的なケアを実現することが重要となると考えられます。また、地域住民との信頼関係を築くために、住民を巻き込んだ啓発活動やワークショップを開催することも重要かもしれません。訪問歯科診療の存在意義や利用方法について理解を深めてもらうことで、必要な患者さんがサービスを利用しやすい環境が整います。地域ぐるみで高齢者や障がい者を支える仕組みをつくることが、持続可能な訪問歯科診療の基盤となると考えられます。

人材不足が叫ばれるなか、訪問歯科診療を担う人材の確保は引き続き重要な課題です。これには、次世代の歯科医療従事者への教育や研修の充実が必要です。訪問診療に特化したスキルや知識を体系的に学べる機会を提供し、地域の歯科医師会や大学と連携して研修プログラムを強化することも重要となると考えられます。

高齢化社会が進むなか、訪問歯科診療の意義はますます高まると考えられます。その存在は単に個々の患者さんの健康を守るだけでなく、地域全体の医療費削減や介護負担の軽減にも寄与するでしょう。特に、オーラルフレイルの予防や早期対応がもたらす社会的な恩恵は計り知れません。訪問歯科診療が地域に根付き、広がっていくことで、地域社会の持続可能性を支える重要な柱となることを目指すべきです。そのためには、行政や保険制度のサポートを得るとともに、地域のニーズに応じた柔軟なサービス提供を模索していく必要があると考えられます。

訪問歯科診療は、地域とともに歩む歯科医療の新しい形として、その可能性を広げ続けています。これまでの取り組みを礎に、最新の技術や地域連携、多職種協働をさらに進化させ、高齢者や障がい者が住み慣れた地域で安心して暮らせる社会を目指し、訪問歯科診療の未来をともにつくり上げていきたいと考えています。




著者
喜多大作
喜多デンタルクリニック院長

略歴
2002年 徳島大学歯学部卒業
2002年~2005年 医療法人鳳友会 中村歯科勤務
2005年~2012年 医療法人宝樹会 福西歯科クリニック分院
デンタルクリニックデコールに副院長として勤務
2009年~2012年 スタディグループ5-Djapan講師
2012年~2014年 医療法人一縁会 よこいデンタルクリニック勤務
2014年 喜多デンタルクリニック開業(徳島県)

著者高野 栄之

喜多デンタルクリニック、徳島赤十字ひのみね医療療育センター歯科

略歴
  • 2002年 徳島大学歯学部卒業
  • 同年 徳島大学歯学部第一口腔外科入局
  • 2010年 口腔内科学分野
  • 2015年 口腔科学教育部博士課程修了
  • 2016年 徳島大学病院口腔管理センター副センター長
  • 2024年 喜多デンタルクリニック、徳島赤十字ひのみね医療療育センター歯科
高野 栄之

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